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213話 デートの予定でございます!

「うん、バッチリ!」

「すごーく似合う!」



 別にいいって言ったのに、デートは大事だからってロモンちゃんとリンネちゃんに買い物に行かされた。

 いつもは買わないような少し高めの服やドレスを何着も購入してしまう。今は羽振りがいいし、これくらいの贅沢は良いのかもしれないけど。



「いいんですかね、私がこんな立派な格好」

「なーに言ってるのさ」

「デートのために着る服とはいえ、こんなにお金使ってしまって……」

「こんなにって……5000万ストンもらったうちの100万ストンくらいだよ? これはアイリスちゃんの大事な行事だから」

「そうそう。今使わないでいつ使うの」



 でもなぁ、私が着る服にしては胸元開いてるし(この世界では普通だけど)恥ずかしかったりする。いや、やっぱりせっかく二人が選んでくれた服だしもう断るわけにはいかないか。

 そもそも、もうお金払っちゃったしね。



「デートはいつになるかわかりませんよ?」

「今日話すんでしょ? 明日にしてきなよ」

「本当は今日でもいいくらいだよ」



 じゃあガーベラさんに明日だって提案しようかな。あの人もどうやら都合はつくような言い方だったし。

 


「でもデートか。いいなー、ぼく達も好きな男の人とデートしたりしたいなー」

「幼馴染のあのお二人が告白してきたではないですか」

「……だから、そういう目で見れないんだよ。ねー」

「ねー」



 幼馴染ってそういうものなのかしらね。

 前世ではどうも幼馴染というものがいたような気がしなくもないけれど、そういうのは今気にするべきことじゃないでしょう。



「とにかく頑張ってね!」

「はいっ……! ありがとうございます!」

「当日、こっそり見に行っちゃおうかなぁ?」

「えっ……と、それは」

「冗談だよ、冗談!」



◆◆◆



「お、彼氏ができたばっかりのアイリスだ」

「アイリスさん、ここ、ここ座ってくださいね」

「はい」


  

 また、ギルドに遊びに来た。

 いつものようにジエダちゃんの隣にすわる。ガーベラさんはまだ来てないみたい。



「かーっ、乙女って顔してるね!」

「そ、そんな……そうですか?」

「お、おい、彼氏ができたアイリスちゃんってどういうことだよ!」

「あ、あんたは昨日居なかったから知らないか。この子、彼氏ができたんだよ……まあ、こんな上玉、今までいない方がおかしいんだけどサ」

「ぬおおお!? だ、誰だ! まさかガーベラのやつか!?」

「そのまさかよ」

「んあああああああ」



 そうか、たしかにいつもの顔を合わせてる人で、昨日居なかった人って結構いたからまだ知らない人もいるのね。なんか反応が面白い。



「にしても、私はガーベラのやつがアイリスちゃんとくっついてまあ、悪くはないんじゃないかなーとは思うよ。ね? ジエダ」

「うん! あの人、まだ冒険者初めて日が浅いからみんなにいじられてるけど、この異常な速さでランク登って行ってるし……」

「ランクの件はアイリス達も同じなんだけどさ、なんやかんや言って、彼は性格も顔もいいのよねぇ……。もしアイリスがダメだったら、今度は私がもらおうかしら」

「えっ、えっ」

「ふふ、なんてねー」



 しかし二人の言う通りだとは思う。イケメンだし、事あるごとに私に優しくしてくれるし、ダンジョンをあのランクで単独でクリアしてしまう猛者ではあるし。

 そう思うと、今度は私が釣り合うかどうか心配になってきた。顔は……彼は良いって言ってくれるから、気にしないとして、性格はどうなのかしら。

 だって、女の子の裸見てハァハァ言っちゃう変態よ、私。キスやエッ…とにかく大人なことは未体験で技術なんてないし。

 お金は持ってるし、魔法にも自信あるけど……それくらいじゃない?



「逆に私があの人と釣り合うかどうか心配になってきましたよ」

「はぁ? なんでそんなこと気にするのよ」

「アイリスさんはなにも心配する必要ないと思いますよ!綺麗で可愛くて、勉強も魔法も近接格闘も、なんでもできるじゃないですか! 特に回復魔法なんて神様みたい!」

「性格は……」

「あ、私の前で自分の性格卑下しちゃいますか? 私と弟はアイリスさんのお陰で過ごせているし、私に至っては命まで……」



 ジエダちゃんは少しムッと顔をしかめた。

 た、たしかにジエダちゃんにとっては良い人になるのかもしれ…ない。ギャンブルに付き合わせたりきたはずなんだけど。



「そ、そうですね。すいません」

「謝ることじゃないですよ! ただ、もっと自分に自信を持ってくださいね?」

「そうよー、案外自分で思ってるより欠点ないよ、アイリス」

「えへへ……そうですかね」



 何回も言われると流石に照れる。



「そうやって照れてる顔も可愛いしね」

「ですよねー」

「あぅ……」

   

 

 自分で自分の顔を確認でしないのがまた恥ずかしい。

 化粧直しとかは普段しないし、する時があったとしても御便所の鏡やそこら辺のガラスを鏡代わりするくらいで、手鏡なんて持ってきてないし。


 

「ん……お、やってきたみたいだよ、アイリスの王子様」

「えっ」


 

 ギルドのドアがあいた。そこからガーベラさんが入ってくる。服装はいつもと同じ。私を見るなり照れ臭そうにハニカムと、こちらにやってきた。

 昨日よりちょっとかっこいい気がするのは、気のせいかしら。



「や、やあアイリス」

「ガーベラさんっ……! あ、お二人にご報告と予定が合わせられるか聞いてきましたよ」

「そうか……じゃあ早速、そこの隅で話を……」

「ガーベラ、ここで堂々と話しなさいよ」

「そうだよ! アイリスさんを隅に追いやっちゃだめ」

「ほーら、ここ譲ってあげるから」



 お姉さんが一人分の席を私との間に開けた。

 ガーベラさんはすこしお辞儀をしながら、そこに座る。おお、近い近い。



「ほ……ほんとに付き合ってるぅ…」

「同志よ、そう落ち込むな」

「そうだ、アイリスちゃんが選んだんだ」

「ステータスなしで徒手格闘対決をして勝ったら要求を飲む、そうアイリスちゃんは言って、ガーベラは見事勝ち取った」

「悔しいけど……仕方ないっ」



 私と彼は少しだけ目線を合わせた。でも、まだまともにお互い目を合わせられないみたい。

 


「「あ、あの!」」

「あ、すいません……どうぞ」

「ごめん……で、えーっと、いつデートできる?」



 つい言葉が合わさってしまった。ちょっと周り、あまりニヤニヤしないでほしい。



「あー、明日なんてどうでしょうか。予定は大丈夫ですか? もしダメなら……」

「全然明日で大丈夫……!」

「そうですか! 何時頃にしますか?」

「あ、えーっと……え?」



 お姉さんはガーベラさんに耳打ちをした。ガーベラさんはコクコクと頷く。大人な女の人のアドバイスは的確なはず。それに従うのね。



「なるほど。午前10時、ギルドの前で待ち合わせなんてどうだろう」

「よろしいですよ!」



 時間はいつでも大丈夫! でもあまり早すぎるとお化粧とか身だしなみを完璧に整える時間が足りなくなるから、確かに10時だと助かるかも。さすがお姉さん。



「じゃあ、その時間で」

「はいっ」

「ガーベラ、ちゃんとした格好しないとダメよ?」

「わ、わかってる」

「アイリスさんに恥かかせちゃダメですからね」

「わ、わかってる!」



 二人に念を押されたガーベラさん。明日はどんな格好してきてくれるのかしら。

 何気に私服って数えるくらいしかみてないからなぁ……気になるわね。



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