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181話 進化してからの練習でございます!

<___、恋愛ってどう思う? は? お嬢様がいればそれでいいとか……そうか、それでいいのか>


<っ!? ち、違うって! 誤解だ。ただ偶然、寝てたらこういう形になってただけであって、何もしてないって、ほんとだって!>


<ねぇ、婆や。婆やにとってあのお兄さんってなんなの? へー、幼馴染なんだ! 違う? ただの腐れ縁だって?>



…………

………

……



 目を覚ました。

 なんだか久しぶりに前世の記憶だかなんだかよくわかんない夢を見たわね。

 まあ、未だに過去の自分の名前がわからないし、別人の体験をしてると考えれば楽しいものなのかしら。


 それよりも、よ。

 鍛冶屋のおじさんは、紹介した本人のパーツを彼の武器に使うなんて何を考えてるんだろ。

 ガーベラさん、私になにか気を使ってるところがあるから…武器を使いにくくなってたりしないかしら。それが心配。



「おはよう、アイリスちゃん!」

「ふああ……今日はみんな一斉に起きたね」

「そのようですね」



 背伸びして腰から離れた上寝間着の間から見える健康的なお腹とお臍が2人ともエロい。朝からいいもの見ちゃった。にしし。



「じゃあケル起こすね」



 幼体化してケル君専用丸ベッドに丸くなっていたケル君をロモンちゃんは起こした。この子は寝起きがいいからすんなりと目を開けたの。



【ファア…オハヨウナンダゾ!】

【はい、おはようございます】

【おはよー、ケル!】

【おはよっ!】

【キョーモ イイテンキ! マルデ オイラノ カラダ ミタイナンダゾ!】

【ええ、そうですね】



 ケル君はドヤ顔でそう言った。

 テキトーに受け流したけれど、実のところとても可愛らしい。進化した翌日の晴れ晴れとした気分は私にもわかる。

 私達は朝食を作って食べ、服を着替え(眼福タイム)、出かける準備を万端にした。でも行き先が決まっていない。



「今日はどうします? ダンジョンの攻略を続けるか、ケル君にモノを再び教え始めるか」

「そうだね、そろそろ身体を使った特技とかも覚えさせたいし、魔法も上級魔法に挑戦できるはずだもんね」

「それに私が言葉の聞き取りと流暢な念話の方法を教えるというのもありますね」



 案外やることはたくさんある。半分以上がケル君に関することだけどね。

 進化はしたけどまだまだ発展途上。そう、まるで日々成長していっているお二人のお胸のように。



「……? アイリスちゃんどこ見てるの?」

「へぁ!? い、いえ、なんでもありません。お気になさらず」

「そんなことよりどうする?」

「やっぱりここはケルに訊くのが早いよね」



 ロモンちゃんはケル君に念話をしはじめる。

 しばらくして、なんとも言えない表情をしながら結果を伝えてくれた。



「えっとね、魔法と体術特技を練習しながら、アイリスちゃんに言葉を教えてもらいつつダンジョン攻略しよう…だって」

「うわぁお」

「……大丈夫ですかね、覚えられますかね?」

「アイリスちゃんの特技の効果もあるし大丈夫じゃないかな?」



 というわけで私たちは前回の続き、つまりダンジョンの隠し部屋の中にワープしてきた。

 一回外に出たにも関わらず、本当に何も変わってない。

 つまりもう一度、リスドゴドラムリザードと戦うことはできないってことね。



【イマノ オイラナラ コノトキモ ナニカシラ オテツダイ デキタト オモウゾ】

【しかし進化してから一回もレベルを上げてませんので、当初よりステータスは弱いですよ…?】

【アッ…。ソウダッタゾ】



 魔法陣を剥がし、隠し部屋を出る。

 相変わらず廃坑みたいなダンジョンね。

 しばらく歩いて行くと、本日初の魔物、リトルリザードマンに遭遇した。



【ゾ…タオスゾ!】

【そうだね、まずはどのくらい強くなったか見せてよ!】

【リョーカイ ナンダゾ!】



 今度は何も補助をしない。ステータスはともかく、ケル君の経験という名の実力で勝負できるはずだし、Dランク同士の戦いだから。


 今回のリトルリザードマンは石器ではなく、鉄製の質素なナイフを握っている。

 ケル君の背中はナイフで刺されたことあるし…トラウマになっていたりしていないかしら?



【ユクゾ! リシャイ! リシャイ!】



 どうやらそれは杞憂だったみたいね。

 特に何も気にした様子はなく、光弾を2発発射する。流石の命中精度で、両方とも見事にヒットした。


 リトルリザードマンは転倒する。

 その間にケル君はさらに中級光魔法を3発唱え、1発だけナイフで弾かれ2発命中。

 探知から反応が消えた。



【……ウゴカズニ、イリョクタカイノ ウッテルダケデ タオセタゾ!】



 なるほど、特技ってやっぱり効果高いわね。

 何も補正がなかったらもう少し当てなきゃいけなかっただろうし。



【すごいね、ケル! よし、どんどん行こうか】

【ゾ!】



 さらに進んで行くとEランクのトカゲ3体が立ちはだかった。しかしケル君の中級範囲光魔法の前では無意味で、あっという間に片付けられてしまう。

 そしてもっと進むと、またまたリトルリザードマンが現れた。



【……ネェ! アイツ ヲ マト 二 、オイラガ オボエルベキ ワザ ヲ ミセテホシイン ダゾ!】

【なるほどねー、うん、いいよ!】

【じゃあロモンの魔法からどうぞ。体術はそのあとね】

【うん。じゃ、まずは凍らせて……】



 ロモンちゃんは私がよく作る闇氷魔法を同じように唱え、リザードマンを捉えた。

 全く身動きが取れていないのが一目でわかる。



【じゃあいーい? まず普通に『リファイム』を撃つからね?】

【オネガイダゾ!】



 ロモンちゃんは普段の詠唱時間の2.5倍くらいの時間でリファイムを放った。

 試しだから見せるには適さない速さで撃ったのでしょう、真面目に覚えさせたい時は10倍くらいの速度でやるわね。

 ちなみにリザードマンは拘束されていない上半身だけこんがり焼けててちょっとグロい。



【……ゾォォ! ツギノアイテ ミツケテ モッカイ ミセテホシイゾ!】

【うん、もちろん! でもその前に少し仕組みを理解しようか】

【ゾッ! デモ……】



 ケル君は辺りをキョロキョロと見渡し、目をしばしばと瞑った。あれはおそらく、暗くてお勉強がわからないというアピールだろうね。

 ということは。



「……結局外でなきゃだめかー」

「まあロモンが全面的に飼育するんだし、それが最善ならそうしようよ」

「ごめんね、お姉ちゃん、アイリスちゃん。また私が先で……」



 ということで私たちは割とすぐに今日はダンジョンを出た。上級魔法だからね、いくらケル君でも1つ覚えるのに数日間はかかることを考えたほうがいい。


 そしてまた、別々に行動することになる。

 つまりそれって!



「いいよ、ぼくはアイリスちゃんとデートするから」

「私、最近してない…」

「近いうちしましょう、ね?」

「うん」



 リンネちゃんからのデートのお誘いキタっ!

 どうしようかしら、今日はどんなお店でどんなお洋服着てるところ見よう。普通のスカートは見たから…次のステップはゴスロリかなぁ。

 可愛すぎるし、ギャップで萌えるんだけだ、似合いすぎてて鼻血出しちゃう……かもしれない。



「デートですねぇ…ふふふ」

「あ、ごめんね。今日は剣の練習手伝って欲しいな」



 な、ななな、なん…だと。

 しかしリンネちゃんの頼みなのだから仕方ない。デートより先に強くやることよね。

 

 私は自分の剣を抜いた。

 あんまり剣として使わないこの杖剣で、いざ参らん。

 

 なんて意気込んでたんだけど、……結局数時間、うち合ってた結果は私の惨敗。リンネちゃんが嬉しそうな顔をしたから別にいいけどね。



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次の投稿は10/23です!

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