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129話 恋愛観念でございます!?

 1泊2日のお仕事が終わり、また何かあったら仕事を手伝い合おうとガーベラさんと約束してから解散した。

 まあ、いい人だったと思う。

 そのうちまた街を歩いてたらどこかでばったり出くわしそうな…そんな感じがするわ。



「おはよ! アイリスちゃん!」



 そういうわけで、あの仕事が終わってから一晩が明けた。昨夜も楽しく双子に挟まれながら寝たのよ。

 ……やっぱり最近胸が育ってきてるのか、1、2ヶ月前に比べて感触があるの。

 起きてきたロモンちゃんは小さく、可愛らしく欠伸をしている。



「おはよー! ロモン、アイリスちゃん」



 私に強く抱きついてたはずなのに、私がベッドから居なくなってからロモンちゃんに……ロモンちゃんが居なくなってから枕に抱きついていたリンネちゃんが、そのまま枕を抱きしめて起きてきたの。



「おはようございます、お二人とも。朝食がもう少しでできますからね」



 今日の朝食はトースト。

 …少しお金が多めに入ったから二人にはほぼパン1斤を二等分にし、それぞれ食べやすいようにスライスしたものを渡すの。

 あ、もちろん私のは普通に1枚だけです。

 スープもおかわり自由。5杯ずつは飲めるように作ってある。

 あ、もちろん私は1杯だけです。



「やったぁ! それなりに量あるよ!」

「昨日の売った素材がありますからね、奮発です。お昼ご飯もたくさん食べましょうね」

「「うんっ!」」



 二人はトースト1枚にかじりつく。

 全く食べ方が一緒だから面白い。

 私も優雅に紅茶をば……



「ところでアイリスちゃん、私的にガーベラさんってアイリスちゃんに脈があると思ったんだけど……どう?」

「ぶえっ!?」



 紅茶を吹きかけた。危ない。

 ロモンちゃんったら一体なにを言い出すのかしら!?



「な、に…そんなこと…」

「あはは…アイリスちゃん動揺してるよ! かわいい!」

「だってお仕事中、ずっとアイリスちゃん見てたし」



 そうなの? 気づかなかった…。

 性的な目で見られたらすぐ気がつくんだけど…やっぱり半魔半人が珍しかったのかしらね。



「それは私が珍しいからでしょう。幻想を抱かないで下さい」

「真偽はわからないけどね。まあ仮に本当にアイリスちゃんに気があったとしても、私達もまだアイリスちゃん可愛がり足りないから渡さない!」

「うんうん!」



 そう言うなり、二人は立ち上がって私の頭を撫でてくれる。撫でられると気持ちいの。



「「さてと、食べ終わったよ!」」



 私がナデナデの余韻に浸っている間にどうやら二人は大量の朝食を食べ終わっちゃったみたいだ。

 相変わらず食べるのがお早いことで。



「アイリスちゃんはゆーっくり食べてね」

「ぼく達は紅茶でも飲んでるよ」



 ……そういえばこの子達、私の恋愛について色々言ってるけど自分たちはどうなんだろう。



「ロモンちゃんとリンネちゃんはご自身の恋愛についてどう思ってます?」

「ふえっ!?」

「ぷえっ!?」



 紅茶を吹き出しそうになったのか、身体を仰け反らせて我慢してるみたい。自分の背中をトントンと叩き落ち着かせてる。ちなみにここもタイミングが完全に一致してるの。



「なんでそんなこと言うの!?」

「アイリスちゃん仕返し?」

「ええ、まあそうですね」



 内心にやり…いえ、もう顔に思いっきり表情が出てるのだろう。勘のいいロモンちゃんにはバレてしまった。



「むむむ…ぼくは自分の恋愛のことなんて全く考えてないよ」

「私もお姉ちゃんと同じ」



 なるほど、そう言ってあたかも恋愛とは自分は無関係だと主張しますか。しかし私は手札がある。



「でも誕生日の時に告白されてたではないですか」

「「むっ」」



 再び紅茶に口をつけようとしていた姉妹はビクリと身体を震わせる。紅茶がティーカップの中で荒ぶってるわ。

 実際、二人は三度見くらいしたくなるような美人だし、夜中に居る冒険者達もそうやって裏で褒めまくってる。

 モテてるのよかなり。



「あ、あれはほら…別れの時の儀式みたいなものじゃないかな?」

「私もそうだと思う。うん」



 ふっ…あくまで現実から逃避するつもりなのね。

 残念ながら私にはまだもう一つ手札があるのよ。



「ならば…この間ナンパされてましたよね? やっぱりお二人はモテるのですから、恋愛に関してはよくよく考えないと_____」

「えー、あの人は女の子に言い寄ってるだけでしょ!」

「アイリスちゃんが嫌いなタイプだよね」

「ええ」



 話してみると気さくでいい感じの人だったけど、やっぱりあのナンパの軽い感じは大嫌いなの。

 ま、この二人の前では悪印象を抱いてるってことにしましょう。



「実を言うと、あのあと私にも言い寄ってきましてね…」

「え、あのときのアイリスちゃんって小さい女の子だよね?」

「えっ…ええ?」



 あ、もしかして余計なこと言った?

 あの人の印象を最悪悪にするような…。



「「変態さんだったんだ!」」



 これは完全に引いてます。

 ま、まあいいかな事実だし…もう会うことも無さそうだしね。いいよね、『チャラ男に捕まるな』っていう、二人の教訓にさせてもらおう。



「危ない…万が一にもついていかなくてよかった」

「ねーっ」



 そうそう、こうやって信頼できそうな人を見極めてくことが大切なの。それはそれとして。



「それで、あの幼馴染のお二方に告白された件についてですが、実際のところどうなんです? 断ってましたよね?」

「うん。私達の夢があるからね! あの土壇場で告白されても…」



 確かにあれは土壇場すぎたよね。



「では仮に土壇場でなく、お二人が上京する予定がなかった場合どうでした?」

「えっ……うーん、嬉しくはあったかな。良いってお返事するかは別として」

「よく一緒に遊んでたからなぁ……」



 そう、二人はしみじみとしだした。

 あー、これ、あの告白してきた二人のこと思い出してるって言うよりあの村を懐かしんでる感じだ。

 この二人もまだ14歳だし恋愛の話は早かったのかしらね。



「結局…お二人はあまり恋愛には興味なさそうですね」

「んー、まあね」

「恋愛っていう意味で男の人を好きって思ったことないからね」



 ずっと鍛錬や魔物の勉強に勤しんできたっていう二人(そもそも勉学もこの世界の普通の子より進んでた)だから、そんな感じで当たり前なのかも。

 てことはまだまだ私は可愛がってもらえるわね。

 ふっふっふ。



「でもさ、理想のタイプならあるよね!」

「うんうん」



 ん、この二人の理想のタイプ……?

 それってもしかしなくても…。



「「お父さんみたいな人!」」



 やっぱりね、そうだろうね。

 この二人はファザコンの気もあるから…。

 それにお父さんもこの娘達のことを溺愛してるから、この二人の恋愛に関しては厳しそう…相手側に。

 そもそもお父さんがハイスペックすぎるから、この条件を満たす人なんて世の中にはそうそういない。

 いつか二人もそのことに気がついて成長してゆくのね。



「でもお父さんってすごいじゃん? お父さんみたいな人が良いって言っても、難しいよね」

「ね、やっぱりお父さんすごいよ! ぼく大好き!」

「私も大好き!」


 

 あ、もう現実見てましたか。そうですか。

 今の言葉をお父さんが訊いたら破顔しそう。

 ……そう考えたその時だった。ドアをノックする音が聞こえたのは。



「すいません、ターコイズさん? お荷物が届いていますよ」



 その主はこの宿屋の奥さんの方。



「はーい、いま出ますよ!」



 いち早く気がついた私は、部屋から出た。


 

 

######


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