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121話 ダンジョンのボスでございます…!

「ゴール…なんだ。やっとだね。じゃあ補助魔法とか一旦かけ直したほうが良いよね」

【そうですね】



 私はいったん、全員にかかっている補助魔法を解除し、もう一度、限界ギリギリまでの回数補助魔法をかけた。



「どうする? 本当にボスに挑む?」

【ボスとの戦闘最中でも転移魔法陣を使えば逃げることができますから、倒すつもりで挑み、敵がSランク以上だった場合は逃げ帰りましょう】

「うん、やっぱりそれが良いか。行こう!」



 リンネちゃんのその言葉の後に、私たちは残り数百メートル分の道をとりあえず警戒しながら進む。

 間も無く、大きな空洞の目の前まで辿り着いた。



「こ…ここがボスの部屋…」

【気を持ってしっかりと持って臨みましょう】

「だね! ……あ、まって、アイリスちゃんアレ見える?」



 リンネちゃんがその空洞の奥を指差した。

 普通にみたらギリギリ何かあるということしかわらかない。けれど小石視点を使ってみてやっとわかった。



【祭壇と……盾ですね。恐らくアーティファクトでしょうか】

「アーティファクト!」



 祭壇の上に置かれているのは、テントウムシのような模様をした小さめの丸盾。

 色は赤を基本として、黒い6つの円が真ん中の1つの水晶色の丸い玉を囲むような感じのデザイン。

 可愛らしさも感じる一方で、その高級さと強さがこの遠目からでも伝わってくる。



「よぉし…じゃああのアーティファクトと手にはいるであろう他のお宝をしっかり持って帰るためにも、まずはボスを倒そう! 二人とも…準備はいい?」



 モンスアーガもしてもらってるし、補助魔法もかけた。

 さらに私はエンジェルゴールままの姿でいるし。

 準備は万端だといっていいでしょう。



【はいっ!】

「私もいいよ、お姉ちゃん!」

「それじゃあ突入!」



 そのリンネちゃんの指揮の元、私達はボスステージとなる空洞の中に飛び込んだ!

 



 中は普通の空洞で、まあどこかのドームの中身くらいの大きさかもしれない。

 祭壇以外は特に変わったとこはないね。



「ここの真ん中くらいまで行ったら魔法陣が出てきて、ボスが現れるんだっけ?」

【確かそうですね。一番頑丈な私が様子を見ましょう】

「…うん、お願い」



 私は左手から回復魔法をいつでも、即座にかけれるように込めておいてから、祭壇に近づいていった。

 なんだかこういうのって、妙な緊張感がある。

 ともかく警戒心を強めつつも素早く歩いきてゆき、ここの空洞の半分をほんの少し過ぎた頃ついに。



「アイリスちゃーん! 魔法陣っ!」

【そのようですね】



 私と祭壇を分けるように魔法陣が出現。

 ちなみにこれを模倣して編み出されたのが封書らしい。

 私は一旦素早く動ける人間体に変身し、ロモンちゃんとリンネちゃんの前まで退避をする。



「……ボスが出てきたね、ついに」

【はい、どうやらアレは______】

「プロミネンスレディバだね」



 プロミネンスレディバ。

 ランクはAランクの「中」。

 Sランク以上がまだ発見されてないヒュージレディバ系の、今の所の最終段階と言われる魔物。

 

 身体というか…羽がまるで燃え盛る太陽の半球がそのまんまくっついてしまったかのように見えるのが特徴。

 いえ実際、プロミネンスレディバの羽はものすごい温度なのだとか。

 見た目通りに得意な魔法は火の魔法。

 だけでなく、風魔法と土魔法も扱えるという虫のくせに謎のハイスペックぶり。


 さらに羽はハードネスレディバと同等の硬さをもち、故にお腹を攻撃するしかないんだけど、やっぱり羽が熱いからそうそうひっくり返せないという仕様。

 

 そしてもちろん空も飛ぶ。

 空を飛びながら魔法を放ってくる。


 Aランクにふさわしいといえる魔物ね。



「でも…あれ普通のプロミネンスレディバじゃないね」

「……そうみたいだね…なんか帯電してるし」

「それに普通のプロミネンスレディバってハードネスレディバと大きさ同じだけど…あれは半周りくらい大きい」


 

 ロモンちゃんとリンネちゃんのいう通り、目の前にいるプロミネンスレディバは電気を帯びていた。

 大きさもたしかにハードネスレディバと比べて大きい、



【亜種以上ですね】

「うん。それかダンジョンだから特別にそうなってるっていうのも考えられるけど……」

【どっちにしろ強敵には変わりありませんね】



 まあでもSランクとかじゃなくてとりあえず良かったとは思う。そんなの出てきたら、まだ敵わない可能性が大きいからね。



「……くるよっ!」



 リンネちゃんがそう叫ぶ。

 ボスのプロミネンスレディバから黄色い魔法陣が出現し、間も無く、それは発射された。

 大きな雷球。

 この魔法が「リゴロゴ」か「リゴロゴム」であることは確か。やっぱり雷魔法も使えるんたね。


 その雷球を私達は……私が「リシャイム」…光球を放ち、相殺。

 ううん、それどころか勝ち越してしまい、光の塊がプロミネンスレディバにヒットした。



「まだだね」

【ええ】



 光と煙がすぐに晴れる。

 主に煙は巻き起こった風…それも羽の羽ばたきによってかき消されていた。

 姿を現したプロミネンスレディバは、すぐさま上へ飛ぶ。

 


【空を飛びながら魔法を飛ばしてくるか、体当たりを仕掛けてくると思いますが……私達はどうします?】

「……うーん、とりあえずここは一番頑丈なアイリスちゃんが追って飛んで、プロミネンスレディバにダメージを与えてみる?」

「こっちに魔法が放たれたら、ぼくが弾くから安心してやりなよ」



 リンネちゃんがそう、かなり頼もしく言ってくれた。

 ならそうしようかな。



【では…飛びます!】



 私は羽を広げ、テントウムシが居る天井へ。

 私が飛んでから奴に追いつくまでの間に、リンネちゃん達に魔法がいくつか飛んでいったけれど、うまくかわしてるみたいだ。


 私も頑張ろう。

 初めてフライトしてみたその日に空中戦をするというのはちょっと緊張するけれど、やれるはず。


 私が空中に来たことに気が付いたのか、プロミネンスレディバは身体の周りにバスケットポールくらいのサイズの火球を浮かせ始めた。

 あんな呪文は聞いたことないから、おそらくこいつオリジナルなんだろう。

 

 そしてそれらを私に向かって放ってくる。

 とりあえず威力が知りたくて、本当は魔流創気で壁でも作れば完全回避できるんだろうけれど、うち1球だけわざと左手を犠牲にしてみた。


 このミスリルに近い性質の手に焼けこげ跡ができる。

 中々に高い威力の火球みたいだ。

 でもそれももう尽きた。


 周りに浮いていた物をすべて撃ち終わったプロミネンスレディバの次の行動は、普通に魔法を放ってくるだけ。

 しかも私に向かって。

 つまりロモンちゃんとリンネちゃんに対しての攻撃は今はできないみたいで。



【ロモンちゃん、リンネちゃん! そこから遠距離攻撃できますか!?】



 少し距離があって声が届きにくいと考えたのか、ロモンちゃんから念話でお返事が来る。



【……わかった! やってみる】



 言うが早いや、ロモンちゃんから単体魔法、リンネちゃんからは魔爆斬などの遠距離攻撃で支援がされ始めた。

 二人とも日頃から練習をしてるので、私に当たることはない。


 そして私も相手の魔法を相殺するついでに、光の単体魔法で攻撃を繰り返す。

 


【何だかいけそうじゃない?】

【ええ…そうで…】



 ロモンちゃんに返信しようとしたその時、攻撃を多く受けて少しボロくなったプロミネンスレディバが空中で唐突なUターンをし始め、私と向き合う形となる。

 と同時にプロミネンスレディバのお尻からジェット噴射のように火が噴出し、脚には電気を帯びて、それが何かを弾くように流れ始めた。

 ほほう、どうやら素早さを補強したようで。


 プロミネンスレディバは私に決心のぶちかましを食らわして来たの。


 


######


次の投稿は2/21です。

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