11話 特訓するのでございます!
私は目が覚めた。
というか、意識をとりもどした…かな?
どうやらもう朝みたいだね、というかちゃんと寝れたんだね私。
意識をシャットアウトして寝るのってどうかと思うけど。
睡眠欲求はないのに寝ることはできるんだよ。
…となりにいる美少女はまだ寝てる。
昨晩はなんとか押しつぶさずに済んだみたいだね。
寝相が悪かったら、ロモンちゃんの細い指くらいだったら骨折させたてかもしれない。
それにしても寝顔が可愛いよ、たべちゃいたいくらいに。
「んん~……ぅあ……アイリスちゃん? おはよう」
お、ロモンちゃんが起きたみたいだ。
寝起き顔もなかなかに可愛い。
【おはようございます、ロモン様。よい朝でございますね】
「んーーーーっ! そうだね! いいあさだよ!」
ググッと背伸びをしてロモンちゃんはベットから降りたから、私もつづけて降りる。
少しベットの上を整えてからリビングへと向かった。
「おはよう! ロモン、アイリスちゃんや。ロモン、朝ごはんを作ってあるから食べなさい」
「うん、わかったー」
そう言いつつ、ロモンちゃんはテーブルについた。
「おはよー」
リンネちゃんが、お人形のクマさんを抱きかかえたまま降りてきた。
え、なにそれ可愛い。
「これ、リンネや、またクマさん持ってきとるぞ」
「あ! 本当だ。置いてくるね」
トタトタと音を立てながら自室に戻っていくリンネちゃん。
剣士目指してる女の子が普段クマさん抱えてねてるってすごい可愛い、ギャップ萌ってやつ?
朝からいいもの見れたねー。癒される。
「えへへー、改めておはよう!」
「おはようお姉ちゃん」
「おはようリンネや」
【ファァ…オハヨウナンダゾ】
【オハヨウ、リンネちゃん】
【おはようございます、リンネ様】
ケル君とガーナさんも起きたね。
これで全員起きたみたいだ。
「それじゃあ朝食を食べるとするかの、いただきます」
「いただきます」
みんなが朝ごはんを食べ始める。
一方で私は瞑想にふける。食欲は我慢で押し切るのだ。
【行動ボーナス! MPと魔力がとても上がりやすくなった】
あ、どーもです。
これ、やる度に増えるのかな?
だったらみんなが食事をする度に私は瞑想をすればいいよね。
「「ごちそうさま!」」
「やっぱりはやいのぉ」
どうやら二人とも食べ終わったみたい。
おじいさんの言う通り、早い気がする。
今度からはこれを合図に瞑想を止めようかな。
「よし! アイリスちゃん、鍛錬手伝って!」
そう、リンネは私に声をかけてきた。
私はそれに応えるようにスクッと立ち上がる。
【はい、では今日は打ち込みを基本に……】
「あ、ちょっとまって!」
「【ん?】」
ロモンちゃんが外に出ようとしている私達を呼び止めた。
「私、アイリスちゃんと魔法のお勉強したいから…午後は空けといてくれないかな?」
「わかった、でもアイリスちゃんは魔法使えるの? ゴーレム属が魔法使うのってあんまり聞いたことないよ? 溶岩地帯にいる炎のゴーレムとかは火の魔法を使うらしいけど……」
ここでロモンちゃんが可愛らしくドヤ顏を決めてこう言った。
「なんとですね! ロモンちゃんは昨日、回復魔法を使えるようになったのです!」
私も多少胸を張って、相槌をうつ。
【そうなんです】
「え!? 本当に! お母さんは知能的に回復魔法はゴーレム属が覚えるのは無理だって………あ、頭いいんだった」
「はっはっはっ! 本当にすごいのぉアイリスちゃんは。ほかのゴーレム種とは全く違うわい」
「えっへーん」
【えっへーん】
私達二人は腰に手を当てて、あまりない胸を突き出した。
私は天才なんだね!
イケメンにも美少女にもなれなかったけど、天才ならまぁいいか、この傀儡人生を有意義に楽しめるね。
「わかった。でも先にぼくね! 午後から魔法の練習しなよ」
「うん、そっちが先約だもんね」
「そゆことー! 行こ、アイリスちゃん」
【御意】
この私を奪い合うのがまたなんともいいよね。
美少女に奪い合いをされる私……つまり人気者!
そんなことはさておき、私とリンネちゃんはロモンちゃんを後に、外に出て双剣の練習を始めた。
まずは打ち込み、その後、私の受け方についての教授をした。
【ここはこう、ガードするも良いのです】
「なるほど、その手があったか」
【それと、私がリンネ様の攻撃をなぜ見切れるかですが____】
私は彼女に少しずついろんなことを教えていく。
こうして強くなって行ってくれればいいよね。
私が教えてる時に目をキラキラさせるて話を聞いているのが、またなんとも教えがいがある。
人の努力してる姿を見るのはいいものだよ。
それに、攻撃、守備、器用、素早が何回か上がりやすくなったらしい。
私にとってもメリットがあるんだよね。
この時の練習時間は朝から4時間ほど、途中で30分くらい休憩を入れながらだった。
「お姉ちゃん、ごはんだよー!」
「はーい! 今行く! あー、訓練終わりちゃったね。また明日、お願いね」
【承知しました】
私とリンネちゃんは家に入り、私は無の瞑想、リンネちゃんとロモンちゃんは昼食をとった。
午後からはロモンちゃんと魔法のお勉強だ。
◆◆◆
「じゃあ、アイリスちゃん、魔法のお勉強をしようね!」
【はい】
「トゥーンゴーレムが魔法を覚えようとするのは至極貴重だからな、わしも見物していいかな?」
「いいよ、おじいちゃん!」
「ありがとの」
こうして、おじいさん加わってお勉強をすることになった。
「アイリスよ、覚えた『ペア』をやってみてくれんか?」
【承知】
私は自分の中に流れてる魔力を、回復させる方向にイメージしつつ、体の一部(手のひら)から放出。ちゃんと成功して、緑色の優しい光が現れる。
一度コツをつかんだたら、もう魔法の詠唱はいらないみたい。
「本当にできるんじゃのう! これまた驚いた、魔物の常識が大きく覆るぞ」
ウォルクは目を丸くして、嬉しそうにそう言った。
「じゃあ、私は魔物補助術を頑張るね!」
唐突にロモンちゃんはそう言い放ったが、私は魔物補助術がわからない。
【魔物補助術とはなんですか?】
「魔物補助術はね? 魔物使いのMPを消費して仲魔の補助をするんだよ! 中には2パターンあって、一つは効果が高いけど、その仲魔が受けたダメージが魔物使いにも返ってくるの。もう一つは……えっと……なんだっけ? おじいちゃん」
「本で調べるといい」
「そ、そうだね! えっと……」
本か…そういえば、私ってどうもこの世界の文字が読めるみたいだし、書こうと思えばかけるみたいなんだよね、試したことないけど。
少し読ませてもらおうかな。
【本を少し見せていただけませんか?】
「えー? それはさすがに…難しいんじゃないかな?」
【そうでしょうか? 私は昨日、鍛冶屋様の看板が読めましたし、書こうと思えば書く事もできるのではないでしょうか?】
「「ええっ!?」」
二人が私の方を見てものすごくこの上ないくらいに驚いてる。
まぁ、流暢に話すだけでもすごいらしいし、やっぱり驚かれちゃうよね。
「え……だって魔物って文字の読み書きできない……って…人間にもできない人いるのに……」
「と、とりあえず、なにか書かせてみよう。ほれ、紙とペンじゃ」
【わかりました。…『私はアイリスです』と書いてみますね】
「あぁ、そうしてくれ」
私はペンを非常に持ちにくい手だけどなんとか持って、紙に『私はアイリスです』の後ろに付け加えて『こんにちわ』と書いた。
【はい、どうぞ。書けました】
「なになに……『私はアイリスです、こんにちわ』……アイリスちゃん、中身、人間ではあるまいな?」
「私もそんな気がしてきた……」
驚きを通り越して変に疑われている……。
さっさと話を切り替えてしまおう。
【そ、そんなことより、魔法の練習をですね】
「いや、話をはぐらかそうとしても無駄じゃよ。アイリスちゃんは天才じゃ」
「すごい……もう魔物じゃない……」
【と、とにかく私に本を見せてください】
「おお、そうじゃな。ロモン、見せてやりなさい」
「う、うん」
私はその本を受け取って内容を見てみた。
【もう一つのパターンは……能力上昇は普通の補助魔法レベルのもので、普通の補助魔法と重複かけ可能……か。ロモン様、1パターン目の方を使うのはよしてくださいね】
「読めたね……うん、1パターン目はいざという時にしか使わないよ」
「ほぉ……すごいのぉ…」
やっぱり、本の内容じゃなくて本を読めることに驚いてるじゃん!
それじゃあ練習のいみがないよ!
【ロモン様、ウォルク様、そろそろ驚くのをやめて練習いたしましょうよっ!】
「ああ、そうじゃな」
「わわっ! ごめんね? 私は引き続き魔物補助術のお勉強してるから」
そう言って、やっと驚くのをやめ、ロモンちゃんは本を読み始めた。
「ふむ……わしらはどうする?」
私はとりあえず、回復魔法の上のやつが欲しい。
ゴーレムは守備力が高い、それなら回復魔法が加われば向かうところ敵なしといったところか。
【私はペアの次の魔法を練習したいです】
「ペアの次……リペアじゃな、わかった教えよう」
【…ありがとうございます】
あ、そうだ今のうちに一つ聞いてみるか。
レベルのこと。
【もひとつ、よろしいですか?】
「いいよ」
【トゥーンゴーレムって5レベルで進化すると聞いたのですが、私は今、7レベルなんですよ】
「ああ、それはな……亜種進化のためじゃ」
亜種進化? 亜種進化ってなによ。
もしかして進化できるの?
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