臨時の護衛?
女性陣は昨日と同じで宿に泊まってもらった。
翌朝、全員揃った所で朝食にする。
もうサンドイッチが2つしか無かったので、昨日買ったキャベツロールも出して食べた。
今日はスムーズに出発できそうだ。
しかし、食材や料理を買っておかないとピンチだなぁ。
今日には所子の町に着く予定なので、色々買わなくちゃね。
今日はやけにアサイさんが大人しいと思ったら、酔っていた……。
こんな揺れない馬車で酔うってどれだけだよ!
酔い止めなんか持ってないので、寝かせて放置しておく。
静かで良い。
道中は何故かずっと他の馬車が付いて来た。
抜く訳でもなく、離れる訳でもない。何か気味が悪い。
「カンダさん。あの馬車ずっと付いてきてるけど?」
「ああ。よくある事ですよ」
「そうなの? 危険は無いの?」
「危険は無いですね。あれは便乗ですよ」
「便乗? どういう事?」
「こちらの馬車は冒険者が5人乗ってますよね?」
「そうだね。正確には4人と役立たず1人だけど」
「それを昨日泊まった宿場町で知ったのでしょう。だからついて来るのですよ」
う~ん、いまいちピンと来ない。
こういう時はキジマさんだな。
御者席から中に入ってキジマさんに同じ事を聞く。
「あぁ便乗ですか」
「そう、それ。カンダさんは、こっちが冒険者ばかりだからって言ってるけど」
「そうですね。だからでしょう」
「どういう事?」
「馬車を見た感じでは、あちらは商人でしょう。御者の2人が護衛の冒険者だと思います。
つまり冒険者2人と商人が1人の、3人だと思います」
ちらっと見てみたが、そんな感じがする。
「うん。それで?」
「もし獣に襲われた場合は、護衛が対処するでしょう。
もし盗賊に襲われた場合は、2人では対処出来ませんので、荷物を捨てて逃げる事になるでしょう」
「そりゃそうだ。商人を守りつつ荷物も守るのは2人じゃ無理だ」
「そういう事です。ではそこに冒険者が5人加わったらどうですか?」
「守りが合計で7人なら、なんとかなりそうだな……えっ?」
「そうです。助けてもらうつもりでいるのですよ。それに人数が多いだけで抑止にもなります」
「でもさ、何も起きなければ知らない顔する気でしょ? ズルくない?」
「そう思われるのであれば、襲われても放って置いて行くだけですよ」
「う~ん……でも襲われてたら助けなきゃって気になるなぁ……」
「優しいですね。判りました。少々お待ちください」
キジマさんは御者席に移動して、カンダさんと何か話をしている。
すると馬車が左に寄って止まり、カンダさんが降りて後ろの馬車に向かった。
キジマさんは御者席で、剣に手をやって警戒している。
しばらくするとカンダさんが戻ってきた。
「話してきましたよ。1人1万で5万だそうです」
「ん? どういう事?」
「臨時の護衛代ですよ。所子の町までの仮の護衛で5万払うという事です。
ただ、仮ですので、移動は今までと同じです。何かあった時に助けるだけですね」
「保険みたいなものか」
「そうですね。そう思って間違いないです」
「町に着いたら払うって言ってましたよ」
「これで相手の意図が判ったので楽になったでしょう?」
「そうだね! じゃあその5万は2人の臨時収入にしたらいいよ」
「「えっ?」」
「だってどうしたら良いか決めたのはキジマさんだし、交渉したのはカンダさんだし。
襲われたら別だけど、お金を貰うような事を俺はしてないし」
「いえ、それでも貰う訳には行きませんよ?」
「あっ、じゃあこうしよう! その5万でキジマさんの腕時計を買おう!」
「えっ?」
「キジマさんだけ持ってないじゃん。無いと色々と不便だからさぁ。はい、雇い主の決定ね!」
「わ・判りました……ありがとうございます!!」
良かった。これで臨時収入の5万は有効活用出来るよ。
酔って寝てるアサイさんが、自分も欲しい!みたいな目でコッチを見ているが無視だ、無視。




