眷属決定
ネモト卿と話してる間に、事態は急速に展開していた。
気づけば教会を立てる所まで話が進んでいる。
中には俺の立像を置くと言うので、それだけは阻止したが。
よく考えれば、信者が増えればこの大陸では常に回復状態になる。
悪い話ではない。が、恥ずかしい。姿絵なんか優しい物に思えるほど。
凄く難しい問題だ……。
ところで、今思ったのだが。
常に回復するって事は、即死ダメージを受けない限り死なないんじゃないだろうか?
神様が普遍の存在ってのは、こういう力が働いてるからなのかも?
ま、試そうとは思わないけどさ。
今日の会議は終わったようだ。
聞けば明日も話し合いたいとの事。
さすがにタローの所には宿泊施設が無いので、ニーベル国の城に連れて行く事になった。
王が許可したのだから問題無い。
と言うか、ヌマタ卿もネモト卿も喜んでいる。
何でだろうと思ったが、どうやら各国の特産品を聞くつもりのようだ。
既に交易の予定を立てているのか。さすがです。
俺は自宅で仏様の訪問を受けている。
家に帰ったら居るんだもん。ビックリだよ。
「話し合いの結果、決定しました」
「えっと、何がでしょうか?」
「眷属の話ですよ」
「あ、あぁ、それですか」
「ルシファーまで加護を与えているようですね。
話し合いの場に乱入してきたので驚きましたよ」
「言ってませんでしたっけ?」
「聞いていませんでしたよ?
再度言いますが、位の高いのは、閻魔・シヴァ・カーリー・カオス・アテナ、そして私です。
そこにルシファーも入るので、全部で7人で話し合いました」
「そ、そうですか……」
凄い神様が勢揃いだな。
なんか怖いわ、その会議。
「結論から言いますと、私とルシファーの眷属という事に決定しました」
「2柱でも良いのですか?」
「そこは問題ありません。
そして、福田さんは使徒にもなりました」
「……は? どういう事なんでしょうか?」
「つまりですね。我々の代わりに、この世界を見守って頂こうという事です」
「え~と、意味が判りません」
「我々、神も常にチェックはしていますが、今回のように見落としも多くあります。
細かく見てる訳ではありませんからね。
民からの陳情等は膨大な数で、それも全てチェックするのも不可能。
そこで福田さんです」
「嫌な予感がしますが……」
「福田さんが各地の事を知り、その中で重要な事を我々に伝えてくる。
その為の眷属であり、使徒でもあるのですよ。
これは7人全ての総意です。問題ありません」
「いえいえ! 問題ありますって! そこに俺の意志が入ってないじゃないですか!」
「メリットを考えたら受けて貰えると信じていますので」
「メリット? シャンプーですか?」
「欲しいなら差し上げますが?」
「冗談を真面目に返さないでください……」
そんな大役を受けるメリットってあるのか?
どう考えてもデメリットしかないと思うんだが。
「まず、次元の違う存在になります。
と言っても1つだけズレてるだけなので、ほとんど変わりはありませんが」
「それのどこにメリットが?」
「貴方に対する攻撃、これは全て無効になります。効かないのではなく、当たりません。
ナイフ等刺さっているように見えても刺さって無いのです。
これは次元が違う為にそうなります」
「攻撃だけですか? そういう存在になるって事は、物にも触れなくなるのでは?」
「だから1つだけズレるのですよ。物を触る事も出来るし飲食も出来ます。
ただ攻撃が当たらないだけです。
ちなみにこの場合の攻撃とは、福田さんに対する物理的な損傷を与える行為という意味です。
なので、魔法攻撃も当然ですが、火山の噴火等でも攻撃とみなされるので、全く問題はありません。
ウイルス等も受け付けませんので、病気にもならないでしょう」
「自分の内部からの病気はどうなんです? 例えば癌とか」
「常に健康な時の状態を維持しますので、なりませんね
へ~。マグマに入っても死なないのね。
入る事は無いだろうけど。
簡単に言えば、死なないって事なんだろうな。
難しく言うなら、健康な状態の俺をセーブしておいて、常にコピーが動いてるって感じか?
ダメージ受けた瞬間に新たなコピーと入れ替える。
それを無限に行う事でダメージを受けないし死なない。
……なんじゃそら。合ってるのか?




