出発前
さて、色々検証してたら時間になってしまった。
あっ、シャレじゃないよ?! 『色々』なんてさ!
昼食を皆と一緒に取って、それから王を迎えに行く。
うん、準備万端のようだ。
今回は何故か王様1人だけだ。
近衛とか宰相とか軍師とかは付いてこない。
気になったので聞いてみよう。
「王様1人だけですか?」
「そうだ。大勢連れて福田殿の馬車を専有してもいけないしな。
馬で並走しようにも貴殿の馬には追いつく事も出来まい」
「いや、馬車の事はお気になさらず」
「いやいや、迷惑であろう?」
あっ、馬車の事を説明してなかった……。
いや、説明はしたんだよ。主に攻撃力と防御力の事を。
定員とか話してなかったわ。見た目はちょっと大きいだけの馬車だもんな。
えっと、馬車の中の部屋はどれくらい空きがあったかな?
俺の部屋とナグラさんとコタニさんの部屋、で3つ。
それからカンキジコンビの部屋で1つ使ってる。
確か6部屋くらいあったから王様に1部屋。後1つはあるな。
「メイドさん3人くらいなら乗れますよ?」
「何、自分の事は自分でするわい」
「いや、料理とかですね? 風呂とかですね?」
「うん? 料理は判るが風呂?」
「あ~、見てもらった方が早いですね」
王様を馬車に招待する。
中に入ってアングリ。着ているローブが肩からズレてますよ。
そんなマンガみたいな驚き方しなくても良いのに。
「1部屋空いてるので、そこにメイドさん3人くらいは入れますよ?
同じ部屋ですみませんが」
「い、いや……。じゃ、じゃあ、お願いしても良いかな?」
「ええ。どうぞ」
王様は慌ててメイドさんを3人連れてきた。
メイドさん達も、最初は「野営とか経験無いので」みたいな事を言ってたが、馬車に入ると静かになった。
「手前の部屋を王様がお使いください。
メイドさん達は、すみませんが一番奥の部屋でお願いします」
部屋に案内すると、また驚かれた。
普段はもっと簡素な部屋なんだそうな。
いかん、このくらいの部屋が当たり前になってきてる!
そのまま馬車の中の設備の説明をする為に、あちこちを案内した。
何で王様も付いてきてるんだろうか?
「そう言えばヒムカ王子は入った事あるのに、聞いてませんでした?」
「言っていたかもしれんが、話がループするのでな。よく聞いて無いのだ」
納得です。
大興奮だったもんなぁ。
多分、馬が!→馬車の防御力はですね!→馬が!→馬車の攻撃力は……→馬が!!、って感じじゃないか?
そりゃ聞き流すよね!
はっきり言えば、鬱陶しいです。
ま、これで道中の料理の懸念は払拭された。
家に帰って食べても良いんだけどさ。王様を連れて行くのはなぁ。
馬車の中で完結出来れば、その問題も解決!
メイドさん、頑張ってください。
では、出発しましょうか。
ちなみに吉田君達とムガキ君は付いてこない。
日本に帰るのです。
吉田君達には、また来てもらうけどね。
行った先の国で布教活動が待っているのだから。
ナグラさん? まだ城でソロバン弾いてるよ?
そうそう、俺と吉田君2人を一緒に書くって言ってたけど、それだけは止めさせておいた。
腐った匂いがしたからね! そっちの布教は許しません!




