腐
セキハイムは楽勝だった。王様が子煩悩だったのだ。
自分の子供でも無いのに、早速可愛がっている。
一応経緯は話してあるので、必要以上に甘やかしはしないと信じたい。
ちなみに経緯だが。
とある国の王族なんだが、その国の教育がなってないので引き取ってきた。
再教育が必要。ある程度の年齢になったら帰す予定。
って感じで説明してある。
どこの国とかは言ってない。
どうやらサイラス国と勘違いしてる感があるが、聞いてこないので俺も何も言わなかった。
ついでに言えば、セキハイムに残した子は10歳の男の子。
ロッツギルはもっと簡単だった。
預けたいと言うと、判ったと返事が来ただけ。
経緯の説明も無し。聞こうとしないんだもん!
で、どうなったかと言うと、早速起こし木刀を持たして鍛錬させてる。
ちなみに12歳の男の子だ。ここは厳しいぞ。頑張れ。
最後にノートルダム。
王には経緯を聞かれたので説明しておいたが、こっちはダヒュテムだと勘違いしたようだ。
孤児院に入れ、ある程度の年齢になったら学校にも通わせると言ってくれた。
一番まともだよ。魔法バカって思っててゴメンね。
まぁ、不安なのは孤児院の方なんだけどさ。
そこは行きません。王様、いや、陛下、お願いします。
ちなみに6歳の女の子。
これで懸念は払拭されたね。
12歳の子が15歳くらいになったら一旦戻してみても良いかな?
3年もあれば、ちゃんとするだろう。戦闘狂になってない事を祈る。
おっと、時刻はもう夕方か。
ギラアンスに行きましょう。
ムガキ君は吉田君達と仲良くなったようだ。
やはり話しやすいのか、男同士が仲が良い。
んん? ナグラさんと菜箸の娘、何をグフグフ笑ってるんだ?
イヤな予感がする。『隠蔽』を使って、こっそりと近づいて聞き耳を立ててみよう。
「やっぱり、吉田受けよね?」
「でもムガキ君は華奢だし、ムガキ受けもあるでしょ?」
「え~、ヘタレ攻めが良くない?」
「いやいや、ムガキ総受け! 王道はこれでしょ!」
……腐ったお話中でしたか。
グフグフ笑ってたんじゃなくて、腐腐腐でしたか。
この2人のセットは危険だ! 隔離しなくちゃ!!
離れた所で『隠蔽』を解いて、皆の所に行く。
「やぁ、話は出来たかな?」
「ええ。日本での振る舞い方とかも聞けました!」
「それは良かった」
「失敗談とか面白かったですよ」
「おいおい、それは言わないでくれよ」
「そうですか? 福田さんも聞きたいと思いますよ?」
おい、2人。ふざけ合うのは良いよ。仲良くなった証拠だ。
だが、ちょっと後ろを見てみ? 腐腐腐って笑ってるのが居るよ!!
「福田さん、今日は土曜日なので、泊まって行きますよ」
「あっ、そうなの? 連絡しなくて大丈夫?」
「携帯電話で連絡したので大丈夫です。友人の家に泊まるって事にしてますけど」
「後ろの女子は?」
「私達も泊まります。お互いにお互いの家に泊まるって事にしましたけど」
「それ、親同士が話したらアウトじゃね?」
「大丈夫ですよ。いざとなったら吉田君の『強運』で何とかなります!」
「あっ、そう……。ナグラさんは?」
「私も一緒に泊まろうかな? 福田さんも泊まるんでしょ?」
「う~ん、ま、たまには良いか。泊まるとしようか」
あっ! 今ニヤッとしただろ!
男3人で……とか考えたな!!
腐ってる、腐ってるぞ!!




