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福田くんの葛藤

城は崩壊した。

いや、正確に言えば沈んでいったが正解。

ズブズブと最初は地盤沈下して行ったんだよね。

でも途中から沈下速度が早くなり、それに伴い各所が壊れだした。

3分後には大きな穴の中に城だった瓦礫が山のように……。

これ、中に人が居たら生きてないだろうなぁ。


さて、周りを見てみる。

うん、誰もが唖然としている。

そりゃそうだ。まさか本当に崩壊するとは思ってなかったんだろうから。

そして、使徒(俺)の言った事が事実だったって事が、やっと頭に染み込んできたらしい。

叫ぶ者、泣く者、オロオロする者、様々な感情が溢れ出してる。


だが、彼らに共通するものがある。それは俺達に対する畏怖だ。

こちらを見る目は、正にそれ。

言ってみれば挙動不審だ。

まぁ、今まで相手にしてきたどの国も、1時間で城を崩壊させるような力は無かっただろうから当然かも。

これで、やっとこっちの話を聞いてくれるかな?


「聞け愚か者共よ!

 ここに王族を連れて来い! 隠居した者から生まれたばかりの者、配偶者、全てだ!

 隠す等した場合、今度はお前達貴族の家を1つづつ崩壊させていくぞ!」


この言葉は、恐怖を与えたようだ。

慌ただしく動き出すのが判る。

目の前で城が崩壊していくのを見たのだ。

次は自分の家かも。そう思えば保身の為に動くだろう。

そこには忠誠心など無い。


謁見の間に居た近衛騎士のトップみたいな人の姿も見えたが、歯向かう気は無いようだ。

ま、王の言葉に従いタローに喧嘩を売って全滅させられてるからね。

何故そこで逆らわなかったのか、とは思う。

でも、まぁ無理だろう。逆らえばその場で投獄。ヘタすれば死刑だったろう。

だからこそ、ムガキ君は凄いと思う。

勇者にはならないと宣言したのだから。

権力の怖さを知らなかっただけかもしれないが、それでも賞賛に値する。


30分後、俺の目の前に17人の人が集められた。

これが王族全員らしい。

誰もが凄く怯えている。子供も3人ほど居るが、今にも泣きそうだ。




ここまで非道になる意味はあるのか。

自分に問いかける。

既に死人も出ているだろう。

ぶっちゃけてしまえば、やりたくはなかった。

でも、しなければならなかったのだ。

何故なら、やらなければ世界の危機だったから。

日本人的な感覚で言えば、他の国の事だからニュースを見て大変だなとは思っても何も行動はしない。

島国ってのもあると思う。隣国でも海を挟んでいるのだから。

悪く言えば、平和ボケしてると思う。

話が逸れたが、今回無視した場合、間違いなく自分達が危機に陥る。

そしてそれを回避出来るのは自分だけ。

ならば、多少の犠牲が出ても動かざる得ない。


本音を言えば、他の人に任せたかった。

ナグラさんでも良いし、吉田君やムガキ君でも良い。

だが、自分が一番大人なのだ。自分がやるしかない。

神様に任せる? それが一番危険。世界崩壊の可能性もある。

今回の事は、俺が一生背負っていく罪だろう。

必要悪だとしてもしょうがない事なのだ。




さて、話を進めようか。


「王族はこれで全部か?」

「は、はい」

「お前は?」

「前王でした。今は隠居の身ですが」

「そうか」

「どうか、お許しを! 私が全ての罪を負います! だから子供は! 子供だけでも助けてください!」

「そう願った者は、この国に滅ぼされた国にも沢山居ただろうな。

 その願いをどうした? 聞いてやったのか?」

「そ、それは……」

「では、こちらからの要求を述べる。心して聴くように。

 昨日7つの事を伝えておいた。これは謁見の間に居た貴族が知っているからそちらから聞け。

 それを引退したというお前が王に暫定的に戻り実行しろ。

 次に、王族は全員平民に戻れ。子供はこちらで預かる」

「そ、そんな!!」

「心配するな。慈悲はある。子供は再教育するだけだ。

 親の元に居たのでは、教育の妨げになるからな。

 教育が終わり次第、次の王にする。勿論出来が悪ければ誰か他の人間を王にするがね。

 反論があるか?」

「……」


さて、子供の教育だけど、言ってみたもののどうしようか。

どこかに預けるのが一番良いんだけどさぁ。

いかん、預けるって考えると、ノートルダムの孤児院しか頭に浮かんでこない!

あそこはダメだ! スポットライトとか暗幕とか、変な事しか覚えない気がする! 

今までで一番シリアスな回です。

まぁ、長くは持ちませんが。

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