急過ぎます、仏様!
宣言通りタローを置いて帰った。
庭に開けた大穴は既に近衛アリに埋められてたので、そこで待機。
人1人分の穴だけが作ってあった。
その中は螺旋階段になっていて、下に降りる事が出来た。
その穴を塞ぐように座ってもらっておいた。
穴を降りると、仏様だけが残っていた。
「見てましたよ。死人を出さぬよう、頑張りましたね」
「ありがとうございます。ムガキ君、どうだった?」
「まだ腹は立ちますが、少しはスッキリしましたよ」
「そりゃ良かった。で、どうする?」
「はい。帰ろうと思います」
「そうか。仏様、そういう事になりました」
「判りました。
ステータスや技術はそのままで帰る事になりますので」
「あっ! そうだった! 仏様、ストップ!」
「どうしました?」
「いえ、ステータスそのままで帰ると、意外に困る事とかあるんですよ。
なので、吉田君達に会ってもらって、その辺をレクチャーしてもらう予定だったんです」
「そうですか。ではそのように。帰る時には呼んでください」
「はい。判りました」
「呼びやすいように、私の加護を差し上げましょう。ではまた会いましょう」
ちょっと!
最後に加護とかつけて行かないで!
しかも説明無し?!
ステータスを見る。
ちゃんと『仏の加護』って付いてるし……。
他に何か変わった所は?!
あっ! 技術に『結界』ってのがある! しかも『結界(-)』ってなってる。
(-)って何よ?! 普通A~Fでしょ?
ランクなんか無いって事?
……後で誰もいない所で使ってみよう。
馬車に乗ってギラアンスに戻った。
もう夜だったので、吉田君達は日本に戻っている。
会わすのは翌日だね。
ムガキ君はどうしようかと思ったが、うちに連れて帰った。
馬車の中や喋る馬に興奮してたけど、家に帰ったらすぐに寝てしまった。
やはりずっと緊張してたんだろうな。
って言うか、時刻は深夜1時。そりゃすぐに寝るわ!
俺もほぼ徹夜みたいになってるから眠いし。
翌日。
結局、昼まで寝てしまった……。
しょうがないよね! 皆も寝てたし!
今日も昼飯だけど朝飯を食べて、ギラアンスのお城に行く。
吉田君達は城で待っていてくれた。
と言うよりも、王様が泊まるように言ってくれたようだ。
そうか、結果報告もしなきゃね。
「福田殿、どうでしたか?」
「救出は全て成功です。あっちの王とは話だけはして来ました。
今日も行ってみる予定です」
「では、計画通りかね?」
「一応、そうだと思います。裏切らないように、庭にドラゴンを置いて帰ったのでバカはしてないと思いますが」
「ド、ドラゴン……。そ、そうか。
して、そちらの方が?」
「あっ、そうです。『巻き込まれた者』ムガキ君です。
ムガキ君。こちらはギラアンスの王様だよ。
この国は協力者だから大丈夫だよ?」
「あっ、えっと……ムガキです。よろしくお願いします」
「ああそんなに固くならなくともよい。自分の家だと思って寛いでくれたまえ」
「は、はぁ……」
いや、王様。
城を自分の家だと思うのは無理ですよ。
「あっちに居るのが、吉田君達だ。元勇者一行です。
色んな本を読んだなら、判るでしょ?」
「た、確かに!」
「福田さん! その紹介は無いと思います!」
「えっ? だって間違ってないでしょ?」
「そうですけど!」
「ステータスや技術を持ったまま、日本に帰った先達だから、色々聞いたら良いよ。
吉田君、お願いするよ?」
「判りました。福田さんはすぐに行くんですか?」
「うん。今日は夕方には帰るから」
タローに『転移板』を持たしておいたからね。
ちゃんと待機してるなら、簡単に行き来出来るはずだ。
居るよな? 移動して無いよな?




