アイテムの行方
さすが三途の川の管理者、役立たずに見えても知っているようだ。
「何かバカにされた気がする……」
「気のせいだ。教えれる範囲で良いから、教えてくれよ」
「アサイちゃんと呼ぶなら教えてあげましょう!」
「くっ……アサイちゃん、お願いします」
「フフ~ン、良いでしょう! 教えてあげます!!」
ムカつくけど、こればっかりは聞いておかないと。
俺にも関係する事だからな。
聞いた後に復讐はするけど。
「まず最初に。『アイテムボックス』と『マジックボックス』、どこに仕舞ってると思ってます?」
「えっと、異次元のカバンという似た物があるので、異次元じゃないっスか?」
「正解! コタニちゃんには飴をあげましょう!」
どっから出した?! 何も持ってないんじゃなかったのかよ!!
「正確には異次元と言うよりも違う世界なんですけどね。
そこは言わば『貸し倉庫屋』だと思ってください。判りますか? 貸し倉庫」
「お金を払って倉庫を借りるって事かな?」
「カンダちゃん、正解! はい、飴。
その『貸し倉庫屋』はお金の代わりに魔力を貰っているのですよ。
そこには『お預かり期間は1ヶ月となっています』っていう決まりが存在します」
「つまり死んでから1ヶ月は保存されてるって事なのか?」
「そうですよ福田君。質問じゃないので飴はあげませんよ?」
「いらないよ! 続き!」
「1ヶ月を過ぎたら中の物は全て出されて、その倉庫は違う人に貸し出されます。
その出された物は、実は集めてからこっそりとオークションに出されています!!」
「「「「オークション?」」」」
とんでもないワードが出てきたぞ!
オークションと来た。誰が参加してるんだ?
「オークションに参加してるのは、王様とか領主の人ですね。何故だか判りますか?」
「「「「……」」」」
「チッチッチッ、ブッブー! はい、時間切れです。
正解は『オークションで使うのはお金ではなく、魔力』だからで~す!」
「王様とか領主の人は魔力が高いのか?」
「普通の人ですよ? 共通してる事を考えてくださいよ~」
「え~と、領民が居るって事?」
「はい! キジマちゃん正解!! これは難しい問題だったので飴を2個あげちゃいます!」
「領民が居るとどうなるんだ?」
「例えば領民が10万人いる都市があるとしましょう。
その1人1人から魔力を1づつ貰ったら、10万の魔力が手に入ります。
『魔力=お金』と考えたら判りますか?」
「その魔力でオークションに参加するんスね!」
「そういう事~。貯める装置でも持ってたら、10日で100万になるよね?」
「でもアイテムボックスの中は、お金の事が多いって話じゃないか?」
「お金はオークションには出ません。そのまま『魔力1=1円』で交換してもらえます。
さっきの例で言えば、1年で3650万のお金と交換出来るんです。お金持ちですね!」
「そのオークションは個人では参加出来ないのですか?」
「出来ますよ~。でも参加するほどの魔力を個人で持ってる人は、すごく少ないと思いますよ?
ちなみに研究しても解明されないのは、偉い人が邪魔してるんでしょうね。頑張り損ですね。プークスクス」
笑ってやるなよ。解明しようと頑張ってるんだよ!
邪魔してる方が悪いんだから。
ん? 悪いのか?
消えて無くなるはずのお金を手に入れて、税収として民の為に使う。これは悪い事じゃない気もする。
勿論、個人的に利用するなら泥棒と同じだと思うけどさ。
「住民の方達も、ほとんどが魔法を使わないので1減っても気づかないでしょうね~。
国によっては2とか3とか取ってるかもしれませんけど。
あっ、後、魔力の多い犯罪者は牢屋の中で0になるまで吸われてますね。電池扱いですね」
俺以外、電池が判らないので首を捻っている。
電池扱いはイヤだなぁ。
「所で魔力が0になったらどうなるんだ?」
「気力が無くなったような感じになるそうですよ。何もする気になれないそうです。
なので、戦闘中は0にならないように気をつけなければ危険ですよ」
犯罪者は0にされるのか。脱走する気も起きないのなら、良い方法かもしれない。
それにしても聞いといて良かった。俺も戦闘中は気をつけよう。




