ランテビオ侵攻作戦
やられた……。
完璧に仕組まれてた。
色々と後処理と出発の準備をしてた時に、宮廷画家がチョロチョロしてたんだよな。
勇者の首だけの絵を複製する話だと思って放置してたわ。
誰が言い出したのだろう? 小嶋辺りが怪しいな。
何をされたか?
あいつら、行く先々で俺の絵を配りやがったのだ!
しかも丁寧に『使徒様です』なんて言って回ってた!
町に出ると崇められるのです。
中には赤ん坊を連れてきて、頭を撫ぜてくださいとか。
最悪なのは、この子の名付けしてくださいとか!
俺に名前を決めさせるな! 子供の名前がポチとかになるぞ?!
文句を言いたいのだが吉田君達は今、南にある港町に行ってて会えない。
絶対計画的犯行だろ。有罪だ!
王様に相談したら、『事実じゃん?』って言われるし。
あんたも1枚噛んでるだろ! くそぅ!
ランテビオ王都襲撃の準備は、着々と進んでいる。
空を飛んで行くのが確実だが、航空戦力が無い。
そもそも飛ぶ方法が無い。
タローに運んでもらうって手もあるかなと思ったんだが、あいつは羽があるのに飛べないらしい。
ダンジョンに引きこもってるからだよ! 飛べ!
訓練しろと言っておいたけど、期待出来ないだろう。
ではどうするか。
上がダメなら下から行くのだ。
シロ率いる、アリ軍団が地下を掘り進んでいる。
全てのアリが集結して掘っているので、後3日くらいで到達するらしい。
ちなみに、この大陸の全ての首都に繋げる予定になっている。
お願いしに行くのに、近道が欲しいからね。
よく考えたら恐ろしい軍団だよなぁ……。
その間、捕まえた外交官への尋問は進んでいた。
城の内部構造まで聞き出してるようだ。
詳細な地図を渡されたからね。
エリクトニオス神は地下に椅子ごと幽閉されてるそうな。
地下で良かった。繋がったら、即行で救出だね。
『巻き込まれた者』の住んでいる場所も判った。
城から100mくらいしか離れてない場所の1軒屋。
そこで燻製を作って販売してるらしい。
人質にされたら困るので、神様と同時に確保だな。
吉田君達に頼む事になりそうだ。
おっ、良いきっかけになるね。呼び寄せよう。
ついで、あくまでついでだけど、ついでに問い詰めよう。
ちなみにナグラさんは現在もソロバンを手にニコニコ。
おいっ! 俺の姿絵の売り上げまで計算するな!
意外に売れてるから、後2・3ポーズ書いてもらえ?!
お断りだ!
そんなに言うなら、自分も書いてもらって売れよ!
えっ、もうやってる? そうですか……。
5日後。開通したとシロから報告が来た。
何でも岩盤があり、手間取ったらしい。
シュンとしてたので、問題無いよ、ご苦労さんと褒めておいた。
後はヒヨを渡しておいた。癒しになってくれ。
「行くのか」
「はい。お世話になりました」
「いや、世話になったのはこちらだ。
各国には手紙を出しておく。頑張ってくれ」
「お願いします」
王様と少し話をして、いよいよ出発。
で、トンネルに入ったんだけど……何これ?
馬車がすれ違う事が出来るくらい広いんですけど?
これを5日で開通? 凄くない?
えっ? タローでも通れるようにしたって?
あいつは飛ぶ練習中ですよ? 呼びませんけど?
ああっ! ウソウソ! 呼ぶから! シロ、泣かないで!
くそぅ! タローめ! シロを泣かすとは、折檻だな!




