勇者救出?
深夜。
深夜と言っても0時過ぎだけど。
いよいよ作戦実行である。
手順はこうだ。
ランテビオを良く思わない過激派(城の兵士だけど)が宿を強襲。
勇者とその他の外交員を分断。
外交員はあらかじめ決めておいた、勝手口に誘導する。
双方に怪我をさせない為に、そこにはレイを配置してある。
心地良く眠ってくれるだろう。
勇者は忍者に化けた俺が、秘密の通路を使って部屋から連れ出す。
外に出たら運を使って捕まえる。
ナグラさんは、もし勇者が逃げた場合の足止め要員。
俺が隠し通路にスタンバイしたので、作戦開始だ。
早速過激派が行動を起こした。
かがり火を付け、玄関を破城槌で攻撃。
これで全員目が覚めただろ。
実際には音だけで、玄関は既に開いている。
なので、邸内には既になだれ込んでいるのだ。
勇者の部屋は3階。その他の者は2階だ。
3階はスイートルームなんですよ、と言ってあるから疑う事無く分断出来た。
外交官は一緒が良いと主張したらしいけど、勇者が拒否したみたい。
スイートルームを独り占め。夢ですね。そりゃ断るわな。
2階と3階を繋げる階段は既に壊されているはず。
驚く事に、元々壊れるように作られてたのだ。
元々住んでいた貴族が、こういう時に逃げられるようにそういう造りにしたらしい。
無駄な事に心血を注いでるよな。
ちなみにその貴族は、城で捕まったそうな。アホか。
これで分断出来たな。
では勇者の下に行きましょうか。
おっと、初対面になるね。
パレードの時はフードを被ってたから、上からじゃ顔が見えなかったんだよね。
「使者殿、こちらから外に出られます」
「何者だ?!」
「私はギラアンス王族に仕える忍者で御座います。
お助けに参りました」
「何が起きている?!」
「過激派による攻撃です。50人は居るものかと」
「ふん! それくらい俺が倒してやる!」
「既に2階へ続く階段が壊されています。まずは外に出る事が肝要かと」
「ちっ! よし、案内しろ」
「はっ」
危ない危ない。
やはり戦う気だったか。
50人相手でも大丈夫って、どれだけだよ。
とりあえず、逃げる前に鑑定しておくかね。
おっと、鑑定が効かない!
あぁ、『隠蔽』の効果か。
ではこちらも『混沌』を使っておきましょうか。
気づかれない程度に加護を弱めておくってヘファイストスさんが言ってたから、通用するだろ。
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名前:ミシマリョウタ(三島良太)
年齢:17
種族:異世界人
レベル:90
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ミシマ君ね。
17歳か。やはり高校生は騙しやすいんだろうなぁ。
性に興味津々だし、調子に乗りやすい年頃だもん。
レベル90って、俺よりも上かよ!
やっぱり『隠蔽』と『初見』の力のお陰だろうな。
こっそりモンスターに近付き、倒す。バレても2回目からは簡単に倒せる。
そりゃレベルも上がるわな。
隠し通路と通って、外に脱出。
出た先は近くの林の中の小さな小屋だ。
そう、俺が潜伏してた所なのだ。
ここからは屋敷が見えるが、屋敷からは見えにくく偽装してある。
どれだけ警戒してたんだか。
「ここまで来れば大丈夫です、ミシマ様」
「キ、キサマ! 何で俺の名前を知っている?!」
あっ、いけね。つい名前で呼んじゃったよ。
この作品はフィクションです。
実在の人物とは関係有りません。
でも、全国の三島良太さん、すみません。




