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勇者がやってきた

2日後。

今日は勇者がやってくる日だそうだ。

歓待したりと引き伸ばし作戦をしたが、早く行きたいらしく今日って事になったそうな。

ちっ、そんなのだから、モテないんだよ!


この国の予想通り、勇者は勇者ではなく外交官の1人として来るらしい。

港町では勇者として歓待を受けてた(させてた?)のだが、他国だしバレないと思ってるようだ。

知識チートを持っていても、所詮子供か。

いや、コンプレックスに振り回されているだけかも。


こちらには昼くらいに到着予定。

既に準備は万端。いつでも来い!

俺やナグラさんは姿でバレる可能性があるので、隠れているけどね。



昼過ぎ。

パレードが始まった。

俺は民家の2階から、こっそりと覗いている。

民に見せる為にとオープンカーならぬオープン馬車でのパレード。

歓待されている事に戸惑いつつも、良い気分になっているな。

外交官は全部で5人。全て男か。


馬車は騎士が周囲を護衛している。

実際は護衛ではなく、民を近付かせない為なんだが。

近付くだけなら問題無い。だが、和睦バンザイとか言われたら困る。

よしよし、何も気づかないまま通っていったぞ。


「福田様」

「ん? おや、忍者さんですか。どうでした?」

「さん付けは止めてください。忍者で結構です。

 勇者は到着後すぐに城へと言ったのですが、歓待のパレードがありますと聞かされ譲歩しました。

 その後に行けるのかと言いましたが、高級宿でまずは休んでくださいと言われると上機嫌でした」

「ふむふむ。予定通りだね?」

「はい。問題ありません」

「名前とか判った?」

「年の頃は16~18歳だと思われます。

 名前は偽名を使っていましたので、不明です」

「まぁそうだろうね。了解です。

 じゃあ次は宿だね」

「はい。では監視に戻ります」


俺も宿に向かう。

向かうと言っても宿に行く訳ではない。

近くにある小屋に移動だ。


宿には、作ったばかりの吉田君のブロマイド(5人バージョン)が置いてある。

それを見てイラ立つ事だろう。

くくく、既に嫌がらせは始まっているのだよ!



「報告します」


夜になって、忍者さんがまたやってきた。

宿での勇者の動向の報告だろう。


「どうだった?」

「はい。吉田様の絵を見てからは苛立ってました。

 近くに居た者に事情を聞いたそうです。それを聞いて更に苛立ってました。

 夕食にはナグラ様から教わった、和食という物を2品付けて出しました。

 それを見て料理人を呼んだようです。

 料理人は吉田様一行の1人から習ったと伝えました。

 勿論、褒める事も忘れずに。

 福田様の言う『知識チート』ですか?それをやっている事に驚愕したようです」

「順調だね。他には?」

「夕食後、支配人を呼び、吉田様の事を色々聞いてました。

 福田様の指示通り、『ポンプを設置』『町中の女性が熱狂中』『姫様も陥落』等の情報を与えました」

「イヤな顔したろ?」

「ええ。それはもう! もう聞きたくないと言って、部屋に戻りましたよ」

「フヒヒ。大成功だね」

「福田様、悪い顔してますよ?」

「そうかい? それからは動きは無い?」

「女を呼ぼうとしたらしいですが、万が一何かがあってはいけないと止められました」

「他国に来てまでか~。元気だねぇ」

「どうしましょうか? 娼婦でも呼びますか?」

「その方がグッスリ寝てくれるだろうけど、必要無いかな。

 人質に取られても困るしね」

「判りました。では、次は襲撃時に参ります」

「よろしく~」


さ、仮眠しておこうかな。

勇者君、もうすぐ地獄が始まるよ~。

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