ボックス違い
朝になり、全員が集合する。
その中には当然の様にアサイさんも居る。
とりあえず朝食にしようと、アイテムボックスからサンドイッチを取り出す。
ついでにコンロとヤカンも出して紅茶を入れる。
その時、アサイさんが爆弾を投下してきた。
「福田君さ~、いつも『アイテムボックス』って言ってるけどさ~、違うからね?」
「えっ? 違うの?」
「それは『マジックボックス』だよ?」
「一緒でしょ?」
「違~う! 『アイテムボックス』は空間魔法で作る物入れ。中に入れても時間は進むの!
『マジックボックス』は神が与えた個人能力で、容量も重さもMP消費も無いし時間も進まないの! レアなの!」
へ~、そうだったのか~、、、じゃない!
神が与えたとか、皆の前で簡単に言うんじゃねえよ!!
皆、ポカーンとしてるじゃないか!!
「誤魔化す為に『アイテムボックス』って言ってるかと思ったんだけど……。
アイテムボックスって信じてたんだね。プークスクス」
コ・イ・ツ・は~! 腹立つわ~! 何なのコイツ!! 本気で捨てて行きたい!!
それ言わなきゃ、隠す為にそう言ってたんだって言い訳出来るのに!!
とにかく3人に何か言わなきゃ!
「えっと、ね……」
「冗談でしょ?」
「本当に誤魔化していたんじゃないんですね?」
「知らなかったっスか?!」
「あれ? もしかして皆知ってたの?」
「普通気づきますよ?」
「えっ?! 何で気づくの?!」
「だって使う時に『アイテムボックス』って唱える所を見た事ないっスから」
「あっ……。唱えて使うんだ……」
「それに、魔法をこないだ初めて覚えたって言ってましたよね?」
「あっ、はい、そうですね……」
完全に俺が間違ってますね。
こりゃ言い訳できないわ。
アサイさんはいまだにクスクスと笑ってやがるし。
「あれだけ運が強いなら、他にも何か持っていると思ってましたよ」
「そういうものなの?」
「はい。神に選ばれた者は色々与えられているという話ですから」
「有名な話っスね」
「そ・そうなんだ……」
誰も驚いてない事に、アサイさんは不満そうに口を尖らせている。
ムカつくわ~。
「そうですよ。だから福田さんは、多分『運の強さ』と『マジックボックス』以外に『必中』があるんじゃないかな、と」
「必中?」
「必ず狙った所に当てれるという技術です。あれ? 知らないという事はお持ちじゃないんですか?」
「うん。持ってない」
「そうですか……」
あれ? カンキジコンビが少しガッカリしてる。何故?
「いえ、お持ちなら教えてもらおうと思ってましたので」
「教えたら覚えれるの?」
「はい。『技術』は教えてもらう事で覚える事が出来ます。鍛錬する事で強くなりますし」
そりゃそうか。剣技とか生まれた時から知ってる訳無いよな。
こりゃ良い事聞いたね。技術にポイントを振らなくても覚えれるって事だ。
無駄にポイントを使わなくて済んだよ。
「そういえばさぁ、アイテムボックスって制限あるの?」
「ありますよ。入る量は魔力の5分の1、重さは1kgごとに魔力1を消費、出し入れにも魔力を消費します」
「えっと、よく判らない……」
「例えば、魔力が100の人の場合、、、
入る量は20個まで、重さは99kgまで、となります。100kg入れてしまうと魔力が0になってしまいますので。
出し入れにも魔力が必要ですから、80kgくらいが限界じゃないでしょうか?
入れてから24時間で魔力が減ります。バラバラの時間に入れると、魔力の管理が大変ですね。
なので大概は半分の50kgで入れるのを止めます。
結論として、魔力が100の人の制限は『20個まで・50kgまで』となりますね。
これで判りますか?」
「大体理解できた……と思う。便利なようで面倒なのね」
「そうですね。なので、普通はお金を入れる為に利用してます。取られる心配が無いですから」
「その人が死んだ場合はどうなるの?」
「出せなくなりますね。入っていた物がどうなるのかは今でも研究されています」
へ~、そうなんだ。
アサイさんなら知ってるかもしれないね。
「アサイさんは知ってる?」
「そんな他人行儀な~。昔みたいにアサイちゃんって呼んでよ~」
「い・い・か・ら・答えろよ!」
「死んだ時、アイテムボックスの中身がどうなるか? でしょ? 知ってるよ?」
皆は驚いた顔で、一斉にアサイさんを見た。




