夏休みがやってきた!
吉田君達が仏様に連れられてやってきた。
集合・解散場所は俺の家になるそうな。
活動時間は9~17時で、昼飯は俺持ち。
昼休憩30分で、10時と15時に15分の休憩も。
本当に働きに来たみたいだよ、仏様!
バイトじゃなくて、派遣みたいだ!
「よろしくお願いします」
「よろしくね~。あぁ、もう噂は流れてると思うから」
「それが一番イヤなんですけどね……」
「気にしない! ギラアンスって国では実技もあるから。
さあ、行こうか!」
「ちょっと待ってください!
今、サラっと変な事言いましたよね?
実技って何ですか?」
ちっ、聞かれてたか。
流してくれれば良いのに。
「いやぁ、ギラアンスの王様がやる気でね。
噂を目に見える形にするみたいなんだよね~。
俺は止めたんだけどなぁ。頑張ってみたんだけどさぁ。
いやぁ、止めたかったなぁ。
さ、行こうか」
「絶対止めてませんよね! どっちかと言えば煽りましたよね?!
そうでしょう?!」
「チガウヨ? トメタヨ? ホントダヨ?」
「嘘っぽいです! どうなんですか、ナグラさん!」
こらっ! ナグラさん、目を逸らすな!
鳴らない口笛を吹くんじゃない!
「凄く帰りたいです……」
「大丈夫大丈夫。実際に食われる訳じゃないんだから。
いや、吉田君が望むなら、それもアリか?
あっ、嘘です。冗談です。
だから、3人共、三種の神器を持って近寄るのは止めてもらえないかな?」
怖~。
微笑を浮かべたまま、ジリジリと近寄ってくるんだもん。
フライパンやお玉を素振りしながらとか。ブォンブォンと音がします。
菜箸をフェンシングみたいにしながらとか。ヒュッヒュッと音がします。
もう、行こうよ。諦めてさ。
向こうでは皆が待ってるよ?
皆で馬車に移動し、外に出る。
馬車は城の中庭に置かれている。
常に近衛兵が2名常駐しているのだ。
俺達が到着すると、1人がすぐに城の中に走る。
誰かが来るまでは、残った1人と話をしてよう。
「どうですか? 進行具合は?」
「ほぼ完了ですね。そちらの方が噂の方ですか?」
「そうです。納得出来るでしょ?」
「ええ! 納得です。これなら問題無いでしょう」
「福田さん? 問題無いって何ですか?」
「ん? えっと、あっ、そうそう。
今日はこの後、謁見だからね」
「そうですか。って、誤魔化されませんよ!
何が問題無いんですか?!」
「え~と、謁見すれば判るって!!」
「……帰って良いですか?」
「もう門は閉じたし、帰れませ~ん」
「……。楽しんでますよね?」
気のせいだって!
あっ、ほら、迎えがきたよ?
おや、ヒムカ王子自らですか。
さあ行きますよ。ほれほれ。
「おおっ! 息子よ!!」
「「「「息子?!!」」」」
王様。何の説明もしていないんです。
いきなり息子呼びは止めてください。
しかし、ノリノリですね!




