実力を示せ!(後)
「素晴らしい戦いであった。
それで、だ。最後に福田殿達のも見たいのだが……頼むのが怖くなってきた」
「なら止めましょうよ」
「いや、実はな? 見せる事で、納得させる意味の他にな。
本当に勇者を捕獲出来るのかを知りたいんだ」
「なるほど。勇者に対抗出来ない可能性があるなら自国でするなって事ですね?」
「いや……まぁ……そういう事だ。
しかし、意味あるかなぁ……。もう誰もが戦意喪失してるように見えるが」
周りを見渡してみる。
俺と目が合うとすぐに逸らされる。
確かに! 少し悲しいけど。
「まぁ本人達の実力も見ておきたいかな。頼めるか?」
「それで交渉が進むのなら」
「判った。これを最後としよう。
福田殿だけで良いか? それとも、えぇと、ナグラ殿もかね?」
「ナグラさん、どうする?」
「私もやるわよ」
「じゃあ2人で」
「判った。うちにも女性騎士が居るので、それに相手をさせよう。
おい! ホズミとマギを呼べ!」
呼ばれて来たのは男性と女性。
早速鑑定する。
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名前:ホズミ
種族:エルフ(男)
レベル:75
所属:ギラアンス近衛兵
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名前:マギ
種族:エルフ(女)
レベル:65
所属:ギラアンス近衛兵
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どちらも近衛兵ですか。
レベルも高い。
まともに戦ったら大変な相手だ。
男の方は、俺とレベルが一緒だし!
「この者達は近衛騎士だ。ホズミは近衛団長をしている。
マギは近衛の女性騎士の団長だ。相手にとって不足はあるまい?」
「強すぎませんか?」
「怪我をするような事態になったら、すぐ止めるからな。
あぁ、魔法は無しで頼む」
チェンジはしてくれないようだ。
しょうがない。やりましょうか。
運? 勿論使いますよ?
毒? いやぁ、さすがにダメでしょ?
それくらい俺だって判ります。
まだ回復してないので、使う運は1で留めたい。
なので、詳しく願おう。
『ホズミとマギに、1発も当てられる事無く、圧勝出来ますように』
これでどうだ? 良し! 1しか減ってない!
俺達は木刀を渡された。
だが、俺は使わない事にした。多分大丈夫。
ナグラさんは『二刀流』の技術を持っているので、使うならと渡しておいた。
「それでは、始めっ!」
ナグラさんは俺から離れた位置に移動する。
そこにマギさんが襲い掛かる。
それを2本の木刀で捌いていく。
凄いなぁ。動体視力、どうなってるんだろ?
レベル差もあるし、技術のレベルも違う。
どんどんナグラさんが押していく。
最後にはマギさんの木刀を飛ばして終了となった。
お見事! さすが!
えっ? 俺?
ホズミさんがスタートと同時に突っ込んできて、赤い絨毯の縁に足を取られて転倒。
そこに俺が近寄り、木刀を蹴飛ばした。
その後、ホズミさんの上に座って木刀を首筋に当てて終了ですよ。
5秒くらいだったかな? 恥かかせてゴメンね。




