実力を示せ!(中)
5分後、何とか王様が復活した。
そこは王子の手柄である。
なんせ、しつこく「ほらっ! 見てください!」と王様に押し付けてたのだから。
王様はそれを受け取り、色々な角度から見ている。
「これは……何とも……凄まじいな……」
「すみません……」
「い、いや、こちらが頼んだのだ。床の事も気にしないでくれ。
人的被害も出ないようにしてくれたようだしな」
「すみません……」
「さて、これで1つ実力は示された。
次にモンスターの事なのだが……必要かなぁ?」
「王様?」
「いや、これだけで、この部屋に居るほとんどの者が意気消沈してしまってる。
本来ならそこに居る虎と誰かを戦わせようと思ってたのだがなぁ……。
まぁ良いか。騎士団長……騎士団長! 返事をせぬか!!」
「は、はいっ!!」
「木刀を持って来い。そしてそこに居る福田殿の連れている虎と模擬戦をするのだ。
判ったな!」
「は、はひ!」
あっ、噛んだ。
今の内に鑑定させてもらおう。
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名前:ヘイス
種族:エルフ
レベル:70
所属:ギラアンス騎士団
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ヘイスさんね。
レベル70か。強いなぁ。
ただ、ガー相手に木刀じゃあいくらレベルが高くてもダメだ。
今の内に釘を刺しておこう。
『ガー、今から対戦してもらう』
『望む所だ。先ほどから主に殺気を送ってくる愚か者共を思い知らせてやろう』
『いやいやいやいや、ダメだからね! 怪我させたらダメだからね!!』
『何故だ、主! 万死に値する行為だぞ!!』
『一番偉い人に謝ってもらったから! で、もう許してるから!
俺が許してるんだから、ダメなのは判るだろ?!』
『むぅ……主がそう言うなら……』
良かった!
確認って必要だね!
ヘイスさん、貴方の命は守りましたよ!
程無くして、ヘイスさんは木刀を手に戻ってきた。
何故か2本持ってるけど。二刀流なのかな?
「福田殿、宜しいかな?」
「はい。大丈夫です。ガー、頼んだぞ」
そのまま謁見の間で行うらしい。
良いのかなぁ。王様が許可してるから良いんだろうなぁ。
「それでは、始めっ!」
王様の号令でヘイスさんはガーに切りかかる。
ガーは避けもしない。
当然だ、ファントムなんだから。
木刀はガーに当たる事なく、床を叩いただけだった。
今度は横に切り払うが、それも宙を切るだけ。
そのまま何度も斬り付けるが、当たる事は無かった。
ガーがこちらを見たので、軽く頷いておく。
多分攻撃して良いかの確認だろう。
すると、ガーは左前足をヘイスさんに振る。
それだけで、ヘイスさんは吹っ飛んでしまった。
おい! 死んでないよな?!
「そこまでっ! 福田殿、その虎を止めてくれるか?!」
「は、はい! ガー、待て! ストップ! ハウス!」
『我は犬では無いぞ?』
『追撃しようとするな! もう良いから! 戻って来い!』
しぶしぶ戻ってきたガーは、ナグラさんに捕まった。
味方には実体化するので、ナグラさんにモフモフされてる。
あっ、シロも参戦した。
皆、まだここは謁見の間なんですよ。
温い空気を出すのは止めてもらえないでしょうか?




