安全策?
そう言えば大事な事を言い忘れてる。
ま、これは王様に会ってからで良いか。
さすがに王子では決められない事だろうし。
ようやく城に到着。
さて、ここからが本番である。
まずはナグラさんを呼ぶ。
静かだなと思ったら、部屋で本を読みながらお菓子を食べてたよ……。
俺は頑張って交渉してたのにな!
問題は、ここからなんですよ。
城に入る=結界が無くなる、って事。
どうやって身の安全を図るか。ここです、ここ。
結論。
1.運を使う。
現在110で、まだ120にまで回復してないけど、しょうがないでしょ。
死にたくないので使うのです。
2.従魔を使う。
これでしょ。
レイが居れば守ってくれるだろ。
威嚇の為にガーも呼んでおく。
さらには空の警戒にチョロだ。
シロも呼んじゃう? 近衛付きなら安全かな? 警戒を増やすだけ?
ええぃ、どうせ警戒されてるんだ、呼んじゃえ!
ついでに、ナグラさんも従魔を呼んでも良いんですよ?
えっ? 変態が来るから嫌だ? そうですか。
って事で、玄関(?)には従魔が大集合です。
シロはナグラさんに抱きつかれてる。
レイは俺の服の中で、平らになって張り付いている。
チョロ。今日はフード付きの服を着てないからって、俺の頭に張り付くのは止めなさい。
ガーもヤレヤレって顔で寝そべってないで、どうにかしなさいよ。
周囲には近衛アリが20匹ほど待機。
全員が槍を携帯してます。
はっきり言って怖いです。
王子様はと言うと……従魔を見て大興奮です。
そんなに珍しいかね?
聞くと、ここまで沢山の従魔を連れてる人は居ないそうだ。
いや、近衛アリはいつの間にか従魔扱いになってたんですけどね。
近衛アリに周囲を守られた状態で馬車から降りる。
その内2匹は馬車の警護をするらしい。
結界があるので必要無いと伝えたが、職務ですからだって。
守るべき王様はナグラさんと遊んでますけど……。
さすがにこれだけのモンスターを見れば、馬車を取り囲んでいた兵士の緊張も高まる。
だが、王子の「この者達は、今から国賓扱いである! 道を開けよ!」の声で道を開けた。
さすがに王子の護衛である忍者は、近寄ってきたけどさ。
「王子、さすがにこれだけの獣を引き連れて城に入る事は出来ません」
「これだけ兵士が囲っていれば、警戒も当然だ。しょうがあるまい?」
「それでもです。安全は私が責任を持ちますので、止めて頂けないでしょうか?」
「お前が責任を持った所で、異国の者が納得出来る訳無いだろう!
2人を殺してしまってから、お前が責任を取って何をするんだ?」
「そう言われても困ります……」
う~ん、護衛の人の言う事は良く判る。
こっちが警戒するのと同じで、あっちも警戒してるって事だもん。
逆の立場なら止めて欲しいって思うよね。
良い方法と言うか、妥協点を考えないとなぁ。
「じゃあこうしましょう!」
「何? ナグラさん。今まで静かだったのに突然?!」
「良い方法を考えたのよ」
「どういう事かな?」
「向こうは従魔を無くして欲しい。こっちは危険だから連れて行きたい。そうよね?」
「まあ、そういう事だね」
「なら、間を取って減らしましょう。レイ……は見えないから、こっちはガー、シロ、ついでにチョロの3匹だけ。
ここが妥協点ね。どう? 忍者さん?」
「確認を取らなければなりませんが、それならば……」
「じゃあ、近衛は置いていくのか?」
「そこは別の案があるの。シロ、お願いね」
「判った」
シロの指示で、近衛アリは一斉に地面の中に潜って行った。
あっという間に居なくなったわ。
「忍者さん、確認を取りに王様の所に行くんでしょう?
ついでに伝えておいて。今、城の地下に近衛アリが潜んでいますって。
万が一私達に危害があったら、城が崩壊する可能性がありますって。
当然、馬車と船からの攻撃もありますから、ってね」
何だろう。ランテビオ大帝国の方が優しい気がしてます……。




