王子大興奮
ビーム攻撃を見て、兵士の人は警戒を強めた。
と言うよりも、今にも襲い掛かってきそうだ。
俺ですら平常心で居られない威力だったからね。
その中でも王子は変わらなかった。
「凄いな! 見事な魔法だったぞ!」
「王子! お下がりください!!」
「うるさいな。お前達、下がったくらいでこんな魔法を防げるのか?
どう見ても、人間の10人くらい貫通しそうなのに?
私の想像だが、おそらくあの船からも同じ事が出来るだろう。
逃げるならこの島、国を出なければ意味が無いだろう。
ならば、王族として攻撃されないように話をする方が安全じゃないか?」
「しかしですね!」
「くどい! ヘタをすれば島ごと吹き飛ばされるぞ!
私を守りたいのは判るが、守るべき者は民である!
私1人が死ぬだけで済むなら安い物だろうが!
今は相手の要求を聞く事が第一だ!」
凄いな王子。
ちゃんとした教育を受けているようだ。
民優先なんて、カッコ良すぎるぜ!
そう思ってたら、忍者のような黒装束を着た人が再度現れた。
服の色が若干違うので、その中でも偉い人なんだろうか?
「王子、本音は?」
「もっと見たい!」
う~ん、この王子も若干問題ありか?
そんなに希望されても、もうやりませんよ?
「それで用件は何だったかな?」
「王様にお会いしてお話をさせて頂けたらと思っています」
「そうか。では、私が案内しよう」
「宜しいのですか?」
「あぁ。自分は第二王子だ。
兄が居るから、私が死んでも問題無い。
それよりも、城に行くならその馬車に乗せてもらえるのだろう?
さあ、行こうじゃないか!」
案内よりも馬車が目的ですね?
忍者の人の表情は見えないけど、間違い無く呆れてますよ。
「馬車には武器の持ち込みは禁止。
乗るのは王子様のみとなります。それでも乗りますか?」
「勿論だ!」
チラリと忍者の人を見ると、肩を上げてヤレヤレって感じだった。
その後に軽く頷いたので、OKという事だろう。
「では王子様に許可を出します」
「お願いする!」
心の中でヒムカ王子はOKと考えた。
多分これで乗れるはず。
「はい。これで乗れるようになりました。
再度言っておきますが、武器を携帯されてはいませんね?
持っていた場合、結界を通れませんので」
「ちょっと待ってくれ、再確認する。
……鉛筆を持っていたが、これはダメか?」
「その程度でしたら問題無いでしょう」
「良し! では進むぞ!
おおっ! 通過出来た! 凄いなぁ!!」
「では案内をお願いします」
「うむ。所で御者台には誰も居ないが、どうやって案内すれば良いのだ?」
「馬に話してください。
彼らは賢いので、言った通りに歩いてくれます」
「なんと! 本当か?!」
「はい。ちなみに喋る事も出来ます。強いので怒らせないようにしてください」
「おおおおおおおおっっっっ!! すごいいいいいいい!!
ちょちょちょちょちょっと、話してくる!!!」
興奮しすぎです。
ゴメンな、2頭。
今、大興奮した王子がそっちに行くよ。
悪いけど、相手をしてやってくれ。
あっ、道を聞くのを忘れないようにね。




