幼馴染
アサイさんは携帯電話を取り出して、どこかに電話してる。
どうやら俺の言った、リストを発注しているようだ。
今思ったのだが、携帯電話がガラケーなのね。どうでもいいけど。
アサイさんは何か抗議しだしたが、その内無言で電話を切った。
「リスト作るのに2日かかるって言われました……」
「そんなにかかるんだ……」
「かかる訳無いじゃないですか! これだからお役所は……ブツブツ」
「いや、お前もそこに勤めてるから」
どこの世界でもお役所はアレなんだな。
「じゃあ、2日後に会いましょう。お疲れ様でした~」
「さらっと別れようとしないでください!! どこでも付いて行きますからね!!」
「え~、ついて来るの~?」
「見捨てたら、犯されたって言って警察に行きますからね!!」
「うわっ! 脅しだ!! 冤罪だ!!」
「一文無しなんだからしょうがないでしょ?! 逃がしませんよ!!」
「はぁ……判りましたよ。でも仲間に何と説明したものか……」
「幼馴染って設定でいきましょう! 冒険に出てた二人が偶然出会った。燃える!!」
「何が燃えるんだか……。それでもいいですけど、レベルとかどうなってるんですか?」
「は? 初めてスフィアに来たんですよ? レベル1に決まってます!」
「……それで冒険者って無理がありますよ? あっ魔法が使えるとか?」
「魅力が高いだけですよ?」
「冒険者、無理。それに魅力も高くないと思う。」
「失礼な!! じゃあ追いかけてきたって事で良いです。」
「一文無しで?! 無謀だな!! いや、そっちの方が良いかも?」
「ん? 自分がモテるアピールの為ですか?」
「失礼だな! バカだから、無謀な方が合ってると思ったんだよ!」
「そっちこそ失礼ですね!」
ギャアギャアと言い合いをしてたら、何も決まってないのに皆が帰ってきてしまった。
ヤバい、どうしよう……。
「どうも皆さん! 私はアサイ! 福田君の幼馴染です!」
その設定、生きてたのかよ!
皆、「はぁ」「どうも」としか言ってない。ってか、それしか言えないだろうよ。
「旅先で野盗に襲われて……。何とか逃げたのですが、無一文になってしまいました。
困っていた所、丁度この町で福田君に出会いまして。そしたら助けてやるって言われました。
カッコイイですね。惚れますね。そうでしょう?
と言う事で、少しの間ですが一緒に旅をする事になりました! よろしくお願いしますね!!」
うわっ! 先手を打ってきやがった!!
しかも白々しく俺をヨイショしてるし!
コレを聞いた後に出てけとは言えない。汚ねぇ!!
こんないい加減なウソを聞いた一同は、
「野盗、許せねぇな! 撲滅するか?!」(カンダ)
「危なかったですね。もう安心ですよ」(キジマ)
「さすがっス! シビれるっス!」(コタニ)
と簡単に信じていた……。おい、魅力使ってないか?
結局、しばらく一緒に旅する事になってしまった。
今日は他の女性陣と共に宿で泊まってもらう事に。
こっそりと聞いた話だと、アサイさんは神とか仏とかソッチ側の人間なので、俺の運は通用しないそうだ。
チッ、運の力を使って追い出そうと思ってたのに見破られたか!
まあいい、イザとなれば、閻魔様にでも祈って天罰を与えてもらおう。
それよりも10ポイントの使い道を考えないとなぁ……。
こういうのって、考え出すと「後1ポイントあればな~」とかなるんだよね。
とりあえず、何か魔法を貰おう。後は属性と技術だな。余ったら運に入れとけばいいか。
こんな事を考えてたら、いつの間にか寝てしまってた。
81話に間違いがあったので修正しました。
修正:ササワさん→サガワさん




