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演技には演技で

「むむっ……で、では信じよう……」


えっ?! 信じるの?!

スマホ見ただけで?!

水戸黄門の印籠じゃないんだから!


あっ、あれも不思議だった。

何で印籠を見て皆納得するんだろうって思ってたわ。

あれ、印籠じゃなくて印を見てたんだよな。

あの印を使う事が許されてるから本物だって事。

許されてない者が使うと死罪だったっけ? いや、もっと厳しかったかな?

ま、子供の頃だから知らなかったんだけど。


それよりもスマホだよ!

あの警察のマークを見せただけで信用するって!

この世界でも有名なの?

と思ったら違いました。

信用する理由を教えてくれましたよ。


「私は元ギドグラキン国の領主だったのだ。ランテビオに滅ぼされたがな。

 そのままここを収めろと言われている。税が重くなったので、ご覧の有様だが」

「大変そうですね」

「あぁ、無茶苦茶だ。そんな事よりも信用した理由だったな。

 滅ぼされた後、勇者が来て私にここを引き続き収めるように言ったのだよ。

 その時に黒目黒髪の容姿を見ている。だから勇者関係だと言ったのだ」

「それだけじゃないでしょ?」

「勿論。この税を重くするのも勇者が言ったのだよ。

 最後に『民は生かさず殺さず、だ』とも言った。それの調整を各領主はやらせられている……」

「あの~、愚痴じゃなくて、信用した理由が聞きたいのですが……」

「おお、すまない。簡単に言えば、勇者が嫌いだからだ!」


本当に簡単に纏めましたね。

でも嫌いなら、同じ異世界人も嫌いって事でしょ?

さっきもそう言ってたし。


「勇者と同じ異世界人。だが、勇者を捕まえに来たと言う。

 そこで証拠を出せと言ってみた。すると一生懸命証拠を出そうとしてるではないか。

 ウソをつく人間は、そういう物を用意してたりするんだよ。

 ウソを付くのがヘタな人間は、開き直る傾向があるな。

 君達のような反応をするのは、かなり信用出来る方だ」

「じゃあ、もし本当に証拠を持ってたら?」

「『こんな物、信用出来るか!』って言ってたね」


演技だったんですね。

あ~、何かで読んだな。

演技に演技で返されると見破れないって。

まぁ、それ以前に、見破る能力なんか無いんですけどね。


「ついでに言えば、ウソだろうと勇者をどうにかしてくれるならそれでも良いと思っている」

「あ~、なるほど。それくらい嫌いなんですね」

「嫌いだね」


即答頂きました。

そりゃ国を滅ぼされてたらそうなるか。

所で、さっきからナグラさんが静かなんだけど。

チラっと見たら怒ってました。


「知識チートの使い方が間違ってる! 許さない!」


はて? どこに知識チートがあった?

あれか。『民は生かさず殺さず、だ』ってやつ?

あれも知識チートになるの?

誰が言った言葉なのか知らないんだけど、何か聞いた事はある。


でも、それくらい誰でも考えそうだけどな。

いや、ラノベなんかでは疲弊するまで搾り取ろうとしてるな。

でもそれはラノベだからだろ?

判り易く悪役になるから。

実際にやったら、国が傾くと思う。そこまでバカな領主は実際にはいないだろ。


「それで私に何の用かな?」

「あっ、そうそう。そうです。用事があって来たんです」

「出来る事なら手伝うが?」

「いえいえ、勇者の居場所を教えてもらおうかと思いまして」

「それだけかね?」

「そうです。あぁ、後、噂を流してもらえれば良いかな~と」

「噂?」


はい、勇者の一番嫌がる噂ですよ。

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