権利
「で? 結局その幸運ポイントはどうなる訳?」
いまだに崩れ落ちているアサイさんに、聞いてみた。
するとさっさと復活してきたので、大したダメージでは無かったのだろう。
チッ!
「本来なら抽選をするのに使うポイントなんですが、現状で抽選してもらうと当たりばっかり引きますよね?」
「あぁ、多分そうなるだろうなぁ」
「それじゃあ抽選の意味が無いので、お詫びも兼ねて『好きな物を増やす権利』を差し上げます」
「好きな物?」
「はい。例えば、現在『性欲(E)』を4使ってAにするとか。このスケベ!」
「お前が言ったんだろ?!」
「どれを上げますか?」
「流した?!」
「無い物を追加しても良いですよ。Eからになりますけど」
「無視した?! もういいや……。無い物は何があるの?」
「色々ありますよ? 槍技・弓技・盗技、変わった物では、性技とか。本当にスケベですね」
「他は!!」
「無視ですか。そうですか。他には、魅了、何てのもありますね。エロ魔王ですね」
「イイクラさ~ん! 閻魔様~! セクハラしてきま~す!!」
「報告はしないで~!! 本当に攻撃され……ギャー!!!」
突然アサイさんは、電気ショックを受けたみたいに痙攣しだした。
ナイスな攻撃です!! ありがとうございます!!
それをザマミロと見てると、電気ショックが終わった後に今度は電子音が鳴り出した。
どうやらアサイさんが持ってる携帯電話が鳴ってるようだ。
何故かそれを俺に押し付けてくるが。
「……電話です。出てください」
「いや、お前にだろ?」
「出たくありません! それに内容は福田さんの事なので、本人が喋ったら良いじゃないですか!」
「いやいや、もしそうだとしても、まずは本人が出るのが普通だろ?」
「普通とか知りませんよ! とにかく出てください!」
「俺、異世界人だから、電話?だっけ? それの使い方が判りませ~ん!」
「Why Japanese people?! 知ってるでしょ?!」
「何の事やら? ほらほら、早く出ないとまたお仕置きがあるんじゃない?」
「ムムム……しょうがありません」
よほどお仕置きが効いたのだろう。しぶしぶながら、電話に出た。
ペコペコしてるから、かなり偉い人からの電話なんだろう。
怒る声がここまで聞こえてくるよ。
結局3分くらい謝り続けて電話を切った。
「ううう……減俸された……」
「う~ん、同情出来ない……」
「ヒドイ! こういう時は慰めるんですよ?! これだから魅力(E)は……」
「何か言ったかな?」
「いいえ、何も?」
「……まあいい。それで、電話は何だったの?」
「お叱りが8割、減俸が1割、福田さんの事が1割でした」
「俺の事が少ないなぁ。で、何だって?」
「『好きな物を増やす権利』ですが、範囲は『能力』『属性』『技術』『付属』『称号』『魔法』の6つです」
「『能力』って何?」
「レベル・HP・MP・体力・速さ・運、この6個の事です」
「10ポイントあるけど、例えばHPに全部って言ったら+10になるの?」
「それなら生命力を上げた方が得じゃないですか~。1ポイントで+50にしてあげますよ」
「何か上から目線なのが腹立つなぁ……。無い物含めて10個選べって事ね?」
「はい。当然同じ物に10全部でも良いです。さっ、決めてください!」
「だ~か~ら~、無い物は判らないからすぐに決められないっての!!」
「決めてくれないと帰れないんですよ~~! 早く~~!!」
「へ~そうなんだ~」
少しは反省してもらおう。
そう考えニヤリと笑う。
「何、悪い顔してるんですか……?」
「全部のリストを頂戴。ソレ見て決めるわ」
「リストですか? 判りました。送ってもらいます」
「で、ソレ見てから1週間ほど検討するから」
「はい、1週間ほど……えっ?」
「1週間後にまた来てね♪」
「いやいやいやいや、帰れないんですって!! この世界の物を何も持ってないし!! 死にますって!!」
「死にそうになれば、さすがに迎えが来るでしょ」
「何をサラッと怖い事言ってるんですか?! 決めるまで離れませんからねっ!!」
うわっ、逆にやっかいな事になった……。




