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作戦立案

程なくして吉田君達が仏様に、ナグラさんがヘファイストスさんに連れられてやってきた。

早速事情を皆に話す。

それを聞いた皆は、当然だが憤慨した。

「知識チートを戦争に使うなんて間違ってる!」

ナグラさんの怒りの方向は少し違うようだが。


「議長! 質問があります!」

「ん? 議長って? もしかして俺か?!」

「まぁ福田さんだろうね」

「まぁ、いいか。どうぞ、え~とお玉の娘」

「止めてください! 小嶋です!」

「ごめんごめん。で、質問は?」

「仏様にバラしたのだから、もう他の神様にも話して助力してもらったら良いんじゃないですか?」


おおっ! なかなか良い質問だ。

それならあっと言う間に解決するだろうしね。


「いえ、それは止めた方が良いですね」

「何でですか、仏様」

「勿論そうすればすぐに解決するでしょう。

 しかし、怒った神が何をするか判りません。

 この世界全て滅ぼすと言い出しても不思議じゃない事態なので」

「はい、俺達で解決しましょうね!」


そんな事は無いだろ、とは思わなかった。

ゼウス神ならやりかねない。

だって、孫が拉致されてるんだよ?

怒り狂うだろ?!

うん、他の神様にはバレないようにしないとな。


「どうしてバレてないんですか?」

「おっと、フライパンの娘、ツッコんだ事を聞くね」

「気になったので!」

「加護の力『隠蔽』だけど、自分達の世界では役に立たないんだ。

 そこで、こっちの世界で鍛冶の力を利用して、それを付与した魔法道具を作った。

 それを複数持つ事で少しだけ『隠蔽』を使う事が可能になったんだよ。

 だから今、神の世界では私の事は印象が薄くなってるんだ。

 何をしても気に留めないだろうね」


神様にしては影が薄いと思ってたけど、そんな事してたのか。

確かにサミットの時も居るかどうかすら判らないくらいだったわ。


「では僕も質問させてください」

「どうぞ」

「福田さん、どういう作戦をするつもりですか?」

「あぁ、作戦ね。

 簡単に言えば、見つけて捕まえる!」

「簡単過ぎます!!」

「そう? 具体的に言うなら誘い出すって感じかな」

「誘い出すんですか?」

「そう。

 今居る国、マンダ国って言うんだけど、そこに勇者が居ると吹聴する。

 しかもモテモテと付け足してね。

 そうすれば絶対に現れるはずだ。そこを捕まえる」

「……モテモテって必要ですか?」

「必要だね。間違い無くハニートラップにかかってるからな。

 自分がモテモテだと思い込んでるはずだ。

 ついでに言えば、そういうのに引っかかるやつは日本ではモテてない。

 だからコンプレックスがあると思う。そこを刺激するんだよ」

「……相変わらず、ヒドい事を考えますね」

「いやいや、弱点を攻めるのは常套手段だよ?!」


俺が外道みたいな言い方は止めてください。

セオリー通りですよ。


「勇者を捕まえたとして、その後はどうするの?」

「まぁ、首都に乗り込んで救出だよね。

 その後は、王族はボコって終わり?」

「ボコ……良いんですか?」

「いや、ボコるで済むなら、助かったと思うだろ。

 どう考えても神様に殲滅される未来一択しか見えないし。

 それにさ、勇者が居なくなって王族が全滅したって他国が知ったらどうなるかな?」

「戦争が起きそうです……」

「そうなんだよ。それはマズいでしょ。

 だから、王族は残す。変な気を起こさないようにボコるけどね。

 それで、他国には賠償をさせる。奪った土地は返させて」

「そこまで上手く行きますかね?」

「死との二択になれば、言う事聞くでしょ。

 ま、その辺はナグラさんに任せるよ」

「何で私?!」

「お好みの知識チートじゃないか。頑張れ!」

「規模が違いすぎる!! 子供に国の事が出来る訳ないじゃない!!」

「ラノベでは国を治めてたよ?」

「どれだけ知識があっても、実践は別! そういうタイプの話は偶然が重なって上手く行くようになってるの!

 最後に『今回は運が良かった』とか毎回言うんだから!」


それなら、上手く行くんじゃない?

俺が運を使えば済む話だ。

あぁ、吉田君の『強運』もあるから、完璧じゃない?

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