協力者は?
しかし俺も腹が立っている。
神とかは置いといても、子供を人質に言う事を聞かせている?!
最低じゃないか!
協力して欲しいと言われたけど、解決するならいくらでも手を貸そう。
「しかし、日本から勇者を呼んだみたいですけど、そんなに強いんですか?」
「あぁ、嫁の加護が付いてるからね」
「……何で付けたんですか?」
「死んで欲しくないからだよ。それに何の能力も無いとバレたら大変だろ?」
「巻き込まれた人は?」
「私の加護を付けたから、上手く隠れてると思う」
「なるほど。で、奥さんの加護は何です?」
「『初見』の能力が付く。
どんな攻撃でも1度見れば対応出来るようになるんだ。攻撃限定だけどね」
さすが軍神。
シャレにならない能力だわ。
1発で仕留めないと、すぐに対応されてしまうのか。
「それで、協力するとして、どうするんですか? プランは?」
「福田君の『混沌』があれば、椅子の呪縛から解き放たれるはずだ。
息子の救出をお願いしたい」
「息子さんはどこに?」
「首都じゃないかな?」
「何故疑問系?」
「椅子にも『隠蔽』がかかってるから、場所が判らないんだ」
「自分の能力でしょ?!」
「改造しまくった時点で、それを凌駕した物になってるんだよ。
あっ、でも『巻き込まれた人』は加護が付いてるから、何処に居るかは判るよ」
「って事は、勇者も?」
「奥さんなら何処に居るか把握出来るだろうね」
うん、これは重要な事だ。
懸念材料は日本人2人と息子さんだからね。
それさえ処理してしまえば、自由に出来る。
「後は……こちらの協力者は?」
「奥さんと君だけ」
「少ない!! 俺の仲間はダメですか?」
「う~ん……同じ日本人のナグラさんくらいならOKかなぁ」
「それはどうして?」
「話が通じないので。事情に詳しい人ならOKだけど、無理だと思う」
「まぁ、確かに……。
待てよ? 話が通じる人ならOKなんですよね?」
「そうだけど、当てがあるのかい?」
「元勇者を呼びましょうよ」
「元勇者? だからナグラさんはOKだよ?」
「違いますって。もう日本に帰った人ですよ」
「……ダヒュテム関係の?! 無理無理!!
バレるって!! 今でもバレるんじゃないかとビクビクしてるのに!!」
「だから、ついでに仏様くらいにはバラしましょう」
「それが出来たら苦労しないって!!」
「何でですか?!」
「職を失うよ?! ヘタしたらダヒュテムのように逮捕だ!!」
「えっと、神様にこんな事言うのはアレかもしれませんが……。
アンタ、職と息子、どっちが大事なんだよ!!」
「勿論息子さ!!
でも、ダヒュテムのように、どうでも良い物をを司ってるんじゃないんだ。
私は鍛冶の神なんだよ。居なくなったら、私が係わった世界全ての鍛冶に支障が出るんだよ!!」
そういう事情があるのか。
確かに、この世界で鍛冶がダメになったら大事だ。
冒険者は廃業だろうし、家庭でも包丁が無くなるかもしれない。
しかし、それでも協力者は必要だ。
そんな強大な国相手に俺とナグラさんだけじゃ話にならない。
「……それでも仏様には話をしましょう。その上で助けてもらうんです。
あの神様なら、ちゃんと事情を話せば判ってくれると思いますよ」
「福田君は知らないだろうけど、仏って神同士には厳しいんだよ?」
「あのですね、もし黙って解決してもですね、その2人を送り返す必要があるんですよ?
その時にバレたらどうします? もっと面倒になると思いませんか?」
「……それは確かにそう思うけど……」
「自分が上手い事話しますから。ドジした部分やマヌケな所はボカして話しますから」
「あれ? 何か非難してる?」
「気のせいですよ?」
「…………う~ん、判った! どうせ現状では手詰まりなんだ!
覚悟を決めるよ!」
「そういうと思って、既に加護を通して連絡してあります」
「事後承諾だった!!」
しょうがないじゃん。
いつまでもウダウダしてるんだもん。




