勇者の情報
翌日。
皆で手分けして町で勇者の情報を集めた。
驚く事に、誰もがその事を知っていたのだ。
詳しい事は誰も知らないが、そういうのが居るくらいは知っていた。
その情報の中で、一番大きかったのはナグラさんが仕入れてきたものだろう。
その人は1度だけ見た事があったらしく、曰くナグラさんに似ていたらしい。
似ていたと言っても雰囲気がという事らしく、外国で日本人を見たような感じみたい。
これは大問題だ。
もしかしたら転移や召還された日本人が居るのかもしれない。
だが、ここで1つ疑問が。
神様はそういうのを推奨していなかったはずだ。
考えられるのは、俺みたいに「死者の入り口」で転生を当てた人。
でも、確か『生まれ変われる権利』という転生はあったと思うが、転移は無かったはずだ。
まぁ、元々別の世界だから、召還魔法みたいなのがあるのかもしれないけど。
それだとしても、俺達の居た日本を引き当てるのは物凄く低確率なはずだ。
う~ん、どうしたものか。
やはり神様に聞いてみるのが一番早いんじゃないかな?
当然知ってるだろうしさ。
って事で、加護を貰ってる神様に連絡をしてみようと思う。
加護を使えば簡単に連絡出来るしね。
最初はルシファーさんにしようと思ったけど、加護を貰ってなかったわ。
あるのは、悪魔であるアサイさん・イイクラさん・閻魔様・シヴァ・カーリー・コローニス・カオス神、の6柱。
えっ? 7柱? 悪魔はカウントしませんよ?
日本の事だから仏様でも良いんだけどさ。
仏様の加護も無いんだよね。
常識のある神様が良いんだけどな。あっ、そうなるとルシファーさんはダメか。
「福田君」
誰が良いだろうか。
やっぱりイイクラさんが妥当かなぁ。
「……福田君?」
いや、直接閻魔様に聞くってのも手かな。
なんてったって、トップだ。詳しいだろう。
「福田君!」
「うおっ?! びっくりした! 誰?!」
「気づいてくれよ……」
「あっ?! えっと……神様じゃないですか!!」
「名前、出てこなかったんだね……。ヘファイストスだよ」
そうそう、十二神の中で影が薄い人!
え~と、何の神様だったっけ?
「お久しぶりです。どうされたんですか?」
「ちょっと用事があってね」
用事か。
俺に用事なのかな?
丁度良いや。勇者の事を聞いてみよう。
影が薄くても神様だ。何か情報を持っているかもしれない。
許可されてるなら俺が介入する事じゃないしね。
まぁ、その前に神様の用事が先だけど。
「どのような用事で? 俺に関係します?」
「あぁ。福田君に関係するね」
「そうですか。何でしょう?」
「今、クリュー大陸の勇者について調べてるね?」
「そうなんですよ。それを神様に聞こうと思ってたんです」
「そうか……。詮索するのは止めてもらえるかな?」
「えっ? 何です?」
「その件からは手を引きたまえ」
ヘファイストス神から、初めて存在感が!
って言うか、凄い威圧感が出ている!
動く事も、声を出す事も出来ない。
思わず『混沌』を使ってしまったが、お陰で動けるようになった。
何事?! 何か怒らせるような事したっけ?!
別ページにクリュー大陸の画像を掲載しました。
もう遅いかもしれませんが…。




