加護
紅茶を入れて、一口飲むと落ち着いてきた。
当初から疑問だった事を聞いてみる。
「そうそう、聞きたかったんだけど。
ステータスの『付属』って所に『アサイさんの加護・イイクラさんの加護』ってあるんだけど、あれって何?」
フュ~フュ~ピュ~
「誤魔化すなって! あっ最後ちょっとだけ音が鳴った!! いや鳴った事はどうでもいいんだよ!!」
「ノリツッコミですか?」
「恥ずかしいから言うな! いいから、加護って何だよ!」
「……マーキングです」
「チクショウ! 考えてた通りかよ!」
「一応良い事もあ~りま~すよ~だ!」
「……何?」
「加護は、加護を与えた者の属性が付きます」
「へ~そうなんだ。じゃあ二人の属性が俺には付いてるって事か~。二人の属性って何?」
「イイクラの属性は『操作』です。それのお陰で運が操作出来るのですよ」
「そうだったんだ!! イイクラさんありがとう!!」
「中間管理職の者は大体『操作』ですね。部下を動かしてるのでそうなるみたいですよ?」
「……悲しい情報をありがとう」
「いえいえ、中間管理職って大変ですよね~」
「で? アサイさんの属性は?」
「よくぞ聞いてくれました! 私の属性は『魅力』です! どうです? ピッタリでしょう!!」
「詐欺だね」
「失礼な!! この魅力タップリのアサイを見れば判るでしょう?!」
「どうせイイクラさんのように、働いている所で決まってるんでしょ?」
「ぐっ、、、鋭いですね。そうですよ。受付してる者は大体『魅力』になるんですよ!」
あ~なるほど。魅力の無い受付はトラブルの原因になりそうだもんな。
「あっ、でも俺のステータス見れます?俺、魅力(E)なんですけど?」
「ハッハ、何を冗談言ってるのかな?」
「いや、本当ですよ?」
「またまた~、どれどれ? アレッ? アレレッ? アッルェ~~??」
この人の加護は役に立ってないようだ。
「いやいやいや、ちょっと待ってくださいよ!! おかしいです!! バグですって!!」
「はいはい、バグですよね」
「信じてよ~~!! ちゃんと加護あるから!! 事実だから!! 魅力あるから!!」
「だって上がってないじゃん?」
「だからバグだって言ってるじゃないですか~~! あっ!!」
「ん? 何? どうした? 諦めた?」
「違いますよ! 『-属性-』の『力系』の中に『運力』が無い!!」
「『運力』?」
「そうですよ! イイクラさんの加護を持ってるなら、それが在るハズなんです!!」
「えっ? そうなの?」
確認してみるが、たしかに表示されてない。
「本当だ! 無い!!」
「でしょ?! だから魅力がEってのも間違ってるのですよ!!」
「へ~、そうなんだ~」
「あっ! まだ信用してない!! くっ、、、そういえば、貴方って良い人と出会ってますよね?」
「ん? ああそうだな。ウエダさんにカンキジコンビ、コタニさんにサガワさん。良い人ばかりだなぁ」
「それって運の力だと思ってます?」
「そうだろ? 人との出会いは運じゃないの?」
「出会いはそうです。でも魅力が低い人には付いてきてくれませんよ?」
「そうなの?!」
「はい。Eの人になんか誰も付き合いませんって! プークスクス」
「おう、笑うのはこの口か! このっこのっ!!」
腹立ったので、ほっぺを左右にひっぱってやった。
「ふみはへん、ひみはへん!!」
「ちっ、バカにしやがって……」
「イタタタタ……。も~。貴方は多分、加護の力で魅力はC以上になってるはずですよ」
そうだったのか。じゃあ後はバグを修理してもらうだけだな。
「じゃあ修理をお願いしま~す」
「軽いですね?! まあ、それは帰ったらイイクラに報告してやらせますよ」
「うん、そうして」
「あれ~、ツッコまないの? 『自分でやれ!』って」
「いや、信用出来ないから」
「私、優秀だよ?! 出来る子だからね?!」
「優秀な人は、幸運ポイントを10も忘れて、この世界に来てないと思う」
グフッ!!
かなりのダメージを負ったのか、アサイさんはその場に崩れ落ちた。合掌。




