転移ゲート
銀星号とショムコムに乗り、山の中腹に行く。
道はちゃんと整備されている。石畳で舗装までされている。
不思議に思いヒタキさんに聞くと、元々軍事施設があったそうな。
そこの跡地を利用して、今回転移ゲートを作ったらしい。
到着すると、商人らしき人で賑わっていた。
どうやら既にオープンしてるっぽい。
よく判らないので、近くに居た兵士さんに聞いてみる事に。
「すみません、ちょっと良いですか?」
「はい? あっ! 貴方は!」
「へ? 何?」
「こちらへどうぞ!」
「は、はい……」
兵士の人に案内されて建物の中へ。
連れて行かれたのは、指令室と書かれた部屋だった。
ここの施設の1番偉い人の部屋じゃないか?
「失礼致します。福田様をお連れしました」
「うむ、入りなさい」
「福田様、中で司令官がお待ちです。どうぞお入りください」
「は、はぁ。あの、絶対ですか?」
「お願いします! 是非ともお願いします!」
「わ、判りましたから、落ち着いてください!」
「は! し、失礼しました」
入室すると、そこにはムカイ団長が待っていた!
「やあ、福田君! 久しぶりだね!」
「何でココにムカイ団長が?!」
「ここの護衛を任されたんだよ。出来たばかりだから信頼の置ける護衛をと仰ってね。
光栄な事だ。まぁ幸い、何も起きてないけどな」
いや、さすがにムカイ団長が警備してる所で、暴れるとかするような者は居ないだろ。
騒いだら最後、人生が終わると思う。
「所で、何処と繋がったんですか?」
「今はまだ近場だけだな。コルラド国とノートルダムの2国だけだね。
だが、両方とも首都と繋がっているぞ」
「あっ、そうなんですね」
コルラドとノートルダムか。
そうだ、それならコルラドに行ってみようかな。
トイレの消臭のヤツを買いに行きたい。
「それなら、コルラド国まで行ってみたいですね。
あっ、料金はいくらなんですか?」
「どちらの国でも片道10万だぞ」
高いな!
いや、飛行機と比べるから高いって思うだけか。
馬車しかない(魔法道具で出来た車はあるけど、あれは馬より遅いはず)世界だ。
移動時間や距離を考えれば妥当な金額か?
例えば商人が仕入れに行くとしよう。
当然護衛が必要だから冒険者を2人は雇う。
片道3日だとして、1日1人1万なら6万円。
自身の食事や宿まで考えたら3~4万は必要。
とすれば、同じくらいになるか。
なのに、転移ゲートなら一瞬で到着出来る。
魚とか仕入れても、鮮度が変わらずに持ち帰れる。
そう考えればお得なのかもしれないね。
「じゃあ、ちょっとコルラド国まで行ってみます」
「おお、そうか。だが、稼動時間は9~17時だから気をつけろよ」
『コネクト』は使う時に魔力を消費するが、消すまでは消費無しで動き続ける。
一度繋げたら、後は放置で良いはずだ。
だけど、国境を越える為にチェックがある。
そういう人達も込みで就業時間がそうなってるのだろうな。
「判りました。気をつけます」
「おっと、忘れる所だったぜ。福田君にはこれを渡すように言われていたんだ」
「何ですか、この木の板は?」
名刺サイズの木の板を渡された。
厚みは1cmくらい。真ん中に魔法石が埋まってるので、魔法道具っぽいけど。
「それは転移ゲートのフリーパスだ。
それを提示すれば、10人までチェック無しでタダで移動出来るぞ」
「マジですか?!」
「あぁ。基本的に外交官が所持する物だ。前に外交官してただろ?
問題無いから、使っとけ」
「は、はぁ。ありがたく使わせてもらいます」
何か凄い物を貰ってしまった。
まぁ、結局この転移ゲートを使う事は少ないと思うけどさ。




