執事の仕事
さて、報告も済ませたので家に帰る。
事が収まるまで2~3日かかるという情報を貰ったので、その間は新大陸はお預けだ。
翌日の朝。
家で、2~3日は何をしようかと相談会議。
ちなみにハーメルさんも同行しているが、困っている。
そりゃそうだ。こっちの大陸の事は知らないんだから。
まずはそれの説明からかな。
「実はね、ここはあちらとは違う大陸なのですよ」
「はぁっ?! 違う大陸?! そんなの聞いた事も無いですよ?!」
「いや、あるんですよ。船に乗って来れますよ。途中で海の生物に襲われなければ」
「じゃあ無理じゃないですか!!」
「いやいや、俺達がそっちに行ったのは、船でですよ? 可能でしょ?」
「あのバカみたいな船でしょ?! あんなのが他にある訳ないじゃないですか!!
はっ! もしかして、こっちの大陸にはあんな船が沢山……」
「残念ですが、あんな船は俺しか持ってませんよ」
「そ、そうですか。しかし信じられません」
「じゃあ、ちょっと外に出てみますか。買い物もしたら良いですよ。
ハーメルさんからしたら、珍しい物ばかりだと思いますんで」
そう言うと、カンダさんとナグラさんが護衛で付いて行くと言い出した。
カンダさんは護衛だろうけど、ナグラさんは買い物したいだけだと思う。
あっと言う間に会議が中断してしまった。
コタニさんはキジマさんの所に行ってしまったし。
俺はどうしようかなぁ。
そう考えてると、ヒタキさんが手紙を持って来た。
どうやら2日前に来てた手紙だそうだ。
緊急のでは無いので、俺がヒマになるまで出さなかったらしい。
封筒は既に開いていた。
そう言えば、今までも開いてた気がする。
執事が勝手に開けて良いのかと思ったので聞いてみた。
「あの、封筒が開いてるんですけど……」
「ええ。チェック済みでございますよ」
「チェック?」
実は、チェックするのは普通らしい。
主に見せる必要の無い物は捨てたり、危険物が入ってないか調べたりするんだそうな。
その他、緊急性の高い物はすぐに渡す為とか。
カミソリの刃とか入ってたら危険だもんね、って古いわ!
誰からだろうと裏面を見ると、この国の王、ニーベル国王からだった。
王からの手紙って緊急じゃないのか?!
内容は「転移ゲートが明日試運転する。式典に参加して欲しい」というもの。
昨日じゃないか!
「ヒタキさん……これ……」
「福田様はこういうのはお嫌いのようですので、不参加と返信しておきました」
「あ、ありがとうございます」
それで許されるんだ……。
城で働いてたヒタキさんの影響力だろうか?
まぁ、出る気が無いので良いんだけど。
ただ、完成した『転移ゲート』は見たい。
どこの国と繋げたのか知っておきたいしね。
「この転移ゲートだけど、どこに出来たか知ってる?」
「はい。町の横にある山の中腹に出来たそうです」
「あら。結構遠い場所だね」
「そこまでの行く馬車があるそうですよ。往復便を定期的に運行するらしいですね」
「ふ~ん。ちょっと行ってみようかな」
「左様でございますか。では私がお供致しましょう」
皆出払ってるからねぇ。
護衛が必要って事なんだろうな。
コタニさんが残ってるけど、キジマさんと談笑中だろうしお願いしようかな。
「じゃあお願いします」
「では馬車を呼びますか?」
「いや、うちの馬車で行くよ」
「それなら2人なので、馬だけでよろしいのでは?」
あぁ、そうだね。
騎乗も練習したいし。
流鏑馬の時はショスコム任せだったけど、ちゃんと乗れるに越したことは無い。
ヒタキさんなら騎乗も教えてくれるだろう。




