つうか
町を出て帰る道中、ヒマだからかナグラさんが話しかけてきた。
「ねぇねぇ。賞金で最高額の硬貨を貰ったんでしょ? 見せて」
「良いよ。え~と、これだよ」
貰ったのは100万円金貨10枚。
表(?)にはエルフの絵が、裏(?)にはドワーフが描かれてる。
ナグラさん達も100万以上稼いだらしいけど、10万単位の金貨で払われたらしい。
ちなみにこの世界は紙幣が無い。その代わりに1・10・100・千・万・10万・100万の7種類の硬貨がある。
1・10・100は鉄で、千と万は銀で、10万と100万は金で出来ている。
そう言えば、前世の頃いつもお金の事で気になってた事がある。
と言ってもラノベの話だけどさ。
何でお金の単位があるのに、鉄貨2枚とか銀貨3枚とか言うのかって事。
日本では円という単位があるから、わざわざ4円を「アルミ貨4枚ね」等とは言わない。
お金の単位が無いなら理解出来るけど、前世の世界でも単位が無い国って無かったよな?
後、わかり易くする為か、日本円に換算する。
物価や価値観が違うから意味無いんじゃない?って思ってた。
ついでに言えば、贋金を使うと処分はラノベのように甘くなく、死罪になるらしい。
まぁ当然だけど。貨幣偽造は大罪だからね。
闘技場を出て2日目。
道に人が居て、道路を封鎖している。
最初は盗賊かと思ったが、どうやら自衛団みたいだ。
「何かあったんですか?」
「すまないが詳しい事は教えられない。
今は通行出来ないので、悪いが引き返す事を薦める」
あっ、判った。
クーデター(?)の最中なんだな。
事故があったとかなら教えてくれると思うもん。
「何時頃通れる様になりますかね?」
「う~ん、ちょっと判らないな。
早ければ明日にでも通れるようになるとは思うが、遅ければ4日は掛かるぞ」
最長で4日か。
引き返すのも面倒だな。
なによりも無王なんて呼ばれる所に行きたくない。
そう考えてたら、ハーメルさんが自衛団の人と話をしてた。
「福田さん、通れるようになりましたよ」
「えっ? どうやったの? まさか賄賂……?」
「そんな事しませんよ!」
「じゃあどうして?」
「福田さんの事情を話しただけです。
盗賊を捕まえたとか、自衛団に口止めされてるとか」
「自衛団に口止めされてるのに、その事を言っちゃダメじゃん!」
「口止めされてるのは反乱の事ですよ。口止めされてるって事を口止めされた訳じゃありませんから。
それにちゃんとボカして言ったので、判る人にしか判りませんよ」
ややこしいな!
えっと、つまり「反乱の事を口止め=契約」と考えよう。
契約内容は言わないけど、契約してる事は言ってもOKって事か。
で、多分だけど「今起きてる事に関する事を口止めされてます」とか言ったって事だろう。
そこまで知ってるなら関係者って事と認知され、通行許可が出た。
「どうも他の人で福田さんを知っている人が居たみたいですね。
あっさり信用されましたよ」
「それが一番大きいんじゃないの?」
「いえ、町で顔を見た程度らしいですよ。
後は噂を聞いたくらいだそうです」
「……その噂については聞かない事にするよ。
とにかく、通って良いんだね?」
「そうです」
って事で通過させてもらった。
商人ってのは、やっぱり交渉能力があるねぇ。
商人登録しても俺には無理だなぁ。登録するだけだね。
商売はハーメルさんに任せよう。




