開拓開始!
「とにかく! これを使えば福田君の希望の家なんか、すぐに作れるのよ。
家を組み立てるのに1日、開拓に2日って計算なの」
「なるほどね。じゃあ明日の朝に迎えに来るから」
「わざわざ来なくても召還してくれれば良いわ」
「前に召還はイヤだって言ってなかった?」
「変な時に呼ぶからよ! 事前に知ってれば問題無いわ」
「じゃあ9時って事で。現場に直接呼ぶから」
翌日。
9時に現場に行き、トムさんを召還する。
トムさんを初めて見るハーメルさんは固まっている。
紹介しておこうかな。
「ケンタウロスのトムさんです。
レベル200なので、ケンカ売らないように」
「こここここ、こんな人にケンカなんか売りませんよ!
自分が死ぬ未来しか見えません!」
まぁ、そうだろうなぁ。
俺でも相手したくない。運も作用しないしさ。
あっ、『混沌』使えば何とかなるのか?
「福田君……今、変な事考えたでしょ? 寒気がしたわ」
「……気のせいです」
「あわわわわ……福田さんにもケンカ売りません! 逆らいません!」
トムさんの勘も凄いが、ハーメルさんも凄いな。
まぁ商人だもんな。そういう所にまで頭が回らないとダメなんだろう。
紹介も終わったので、早速開拓の開始である。
トムさんから教えられた作業は、簡単な物だった。
まずはロープを使い、建てる場所を仕切る。
大きく取る必要が無いので、5m四方とした。
次にその中にある木を伐採する。
これは俺とカンダさんの仕事。
斧を使って倒したい方向にくの字に切れ込みを入れて、その後に反対側からも同じ様にする。
ある程度入ったら木にロープを引っ掛けて、トムさんが引っ張ると簡単に倒す事が出来た。
倒した木は後で使うので、女性陣とハーメルさんが枝打ちする。
仕切った内部の木を全部倒したら、今度は伐根。
一番面倒な作業と思ってたけど、トムさんのアイデアで簡単に。
抜きたい木の周辺に『ピットフォール』を使うのだ。
これで根の周辺の土が無くなるので、抜きやすくなった。
その後は根にロープを巻き、またトムさんが引っ張って抜くだけ。
魔法を使うので、カンダさんとコタニさんは作業を交代してる。
簡単に抜いてるけど、根が2m以上あったのには驚いた。
倒れない為とはいえ、そんなにまっすぐ地下に根を伸ばすんだなぁ。
それを簡単に引っ張り抜いてるトムさんのパワーも凄い。
凄い人力だ。いや、馬力か?
ここまでが今日1日の作業だ。
仕切った中は穴だらけになってしまった。
トムさんの話では、明日はこれを埋める作業と基礎工事らしい。
翌日。
ハーメルさんは再登録をする為に商人ギルドへ。
1日空けたので、さすがに連絡が来てるだろうし。
護衛としてカンダさんが一緒に行く事に。
俺達は工事の続きです。
「どうやって穴を埋めるの?」
「『アースウォール』の魔法があるでしょ? それを穴に使うのよ。
その後解除すれば、簡単に土が集まるわ」
「でもあの魔法って、周囲の土を集めるんじゃなかったっけ?」
「そうよ。だから上手く使えば、仕切りの外は少し溝が出来るわね」
「少し?」
「ええ。昨日見たけど『ピットフォール』って魔法は、掘った土を周囲に移動させてるでしょ。
均一に移動させてるから判りにくかったけど」
ピットフォールって、そんな仕組みになってたのか。
逆に言えば、そこまで考えてないと魔法が作れないのか。
確かに土が消える訳無いもんな。思いつかなかったよ。
凄いな、ホウズキさん。
「場所を変えながら魔法を使ってね。大体埋まればOKだから。
少しは人力で埋めるから。あぁ、後、そこの穴は埋めないでね」
「ん? 何するの?」
「浄化槽を埋め込むから」
あぁ、トイレのヤツね。
根を抜いた後まで利用するのか。考えてるなぁ。
もう、ダンジョンとか死者の管理とか辞めて、建築家になれば良いのに。




