船で漁
その日は、俺だけカジノの町のギルドに行った。
ギルドマスターに付けた名前を教える為に。
「おや、福田さん。今日はどのようなご用件で?」
「ダンジョンギャンブルの名前を決めたので来ました」
「おぉ! やっとですか! それでどうのような名前に?」
「略して『ダンブル』にしましたよ」
「あ~、なるほど。判りやすくて良いかもしれませんね。
じゃあそれで登録しますので」
「ええ。よろしくお願いします」
これで用事は終了。
帰って明日に備えよう。
翌日、早速船に転移する。
ハーメルさんは船が想像以上に小さかった事に驚いていた。
「この船で漁をするんですか?」
「ええ。そうですよ」
「この大きさでは転覆しませんか?」
「大丈夫ですよ」
「しかしですね……」
やはり納得出来ないようだ。
そりゃそうだろうなぁ。地球でクルーザーに乗って漁に出るようなもの。
無謀に見えるだろうね。
大丈夫だからと念を押して、早速出航する。
アンドロイドのオリには、とにかくデカい魚を獲るように伝えておいた。
ハーメルさんは船の速さに驚いていた。
いや、これくらいで驚いてたら大変なんだが。
「あ、あの、皆さんくつろいでますけど……漁の準備はしなくて良いんですか?」
「あぁ、問題無いですよ。あっ、お茶飲みますか?」
「えっ? あぁ、頂きます……」
「後ろのデッキに行ってみてくださいよ。面白い物が見れますよ。
案内しましょうか」
「は、はぁ。で、では」
ハーメルさんを連れて後ろのデッキへ。
そこにはビーチチェアを置いて寝ているナグラさんとコタニさんが居た。
ちぇっ、水着じゃないのか。
「……女性がくつろいでるのを見るのが面白い事ですか?」
「違いますよ! あっ、そろそろかな?」
さっき魚群探知機をチラッと見たけど、大きな反応があったんだよね。
だから、そろそろ捕獲に入ると思うんだ。
そう考えてたら、早速船からビームが発射された。
それから1分もすると、5mもありそうなクラーケンがポカリと浮いてきた。
俺はそれをすぐにマジックボックスに収納。
ハーメルさんは目を見開いて硬直している。
やっぱり異常だよね、この漁のやり方。
「ふふふふふふふ、福田さん……。ささささっきのは……?」
「え~と、え~と、魔法です」
「魔法?!」
「正確には魔法道具です。そうです。そう決めました」
「魔法道具?!」
「ええ。獲物を狙って仕留める魔法道具です。
収納も出来るんですけど、後で詰め替えるのが面倒なので俺のマジ、いやアイテムボックスに入れました」
「……」
「だから、ほら、転覆の心配とか無いでしょ?」
「そうですけど……。福田さんって……」
「ん? 何です?」
「福田さんって……非常識ですね」
失礼だな!
そこの女性2人! 一緒に頷くんじゃない!




