今日の稼ぎ
宿とか取ってないので、商人ギルドの近くの食堂に集まる事になっている。
どうやら俺が最後だったようで、皆既に集まっていた。
さすがにこのまま出るのはアレなので、飲み物を注文する。
ノンアルコールの果実ジュースだ。
「お疲れ~。どうだった?」
「販売ですが、やはり漁業が盛んなだけあって、イノシシが高く売れましたよ」
「へ~、そりゃ良かった。仕事の方は?」
「ウェイトレスの仕事があったっス」
「私は漁業の手伝いをしました」
「福田さんは?」
「盗賊は全員捕まえたよ。でもなぁ……」
「何かあった?」
「まぁ、その辺は帰ってからって事で」
届いたジュースを飲んで、王都の家に帰る。
ここで本格的な話し合いだ。
さすがに外でお金の話とかするのはマズいからね。
「さて、今日の稼ぎは?」
「イノシシ1頭と、ウサギが3匹、合計で53000円です」
「へ~、イノシシが5万円か~」
「ウェイトレスは5000円っス」
「手伝いも5000円だったよ」
「じゃあ合計で63000円か。手持ちが、え~と、3万円だから、93000円だね」
37000円持ってたけど、2500円・2500円・2000円に分けて渡してあるんだよね。
昼飯は弁当持参だから良いけど、さっきみたいに食堂に行ったりするからさ。
ちなみに俺が2000円です。
さっきのジュースで1500円になったけど。
「福田さんの収入は?」
「0円だった……」
「えっ? 盗賊退治したんだよね?」
「うん、そうなんだけどさ……」
俺は自衛団で言われた事を皆に説明した。
「へ~、ちゃんとしてるのね。こっそり退治した方が良かったんじゃない?」
「いや、それだとバレた時に犯罪者扱いになるから」
「人権がちゃんとしてると大変ね……」
「そうなんだよ。
あっ、そうそう。ハーメルさんは、自衛団に届出はしました?」
「ええ。してあるんですけど……」
「何か問題が?」
「荷物のほとんどが食料品や調味料だったので、戻ってくる事は無いと思います。
後は現金ですね。そちらも証拠が無いので、半額になると思います」
「証明出来ないの?」
「前の町で販売した記録は残ってますので、それが唯一の証拠でしょうか。
そのお金で調味料を買って、ここで売る予定でした」
あ~、食料や調味料なら、とっくに使われてるよなぁ。
期待出来るのは現金だけか。
「ちなみに、半額でいくら?」
「多分10万くらいだと記憶してます」
「足せばギリギリ足りるかって所か。
まぁ、それが戻ってくるのも、まだ先の話なんだけどさ」
「盗賊退治が一番儲かる予定だったのにね」
「明日はどうするっスか?」
う~ん、早くハーメルさんには商人に復帰して欲しいんだよね。
でもお金が足りないし。
丁度20万になっても、意味が無いしなぁ。
せめて100万くらいは持っておきたい。
「しょうがない。明日からはマジメな方法は無しで行こう」
「どうするっスか?」
「船を出します」
「「「「あ~」」」」
「船? 船をお持ちなんですか?」
「あぁ、ハーメルさんは知らなかったよね。
あるよ、船。バカみたいなのが」
「バカみたいなの? どういう意味でしょうか?」
「説明しづらいなぁ。まぁ、乗ったら判るよ」
「こんなお屋敷に住まわれてるのですから、豪華なのでしょうね」
「そっちじゃないんだよね。いや、ある意味豪華か?」
「は、はぁ……」
あれを豪華と言って良いのだろうか?
ま、明日は船を使って漁だね。
あぁ、そうだ。陸では従魔に狩りをしといてもらうか。




