上陸!
はい! と言う訳で、やって来ました異世界!
いや、新大陸なんだけどさ、元々は異世界じゃん?
未知の領域なのですよ!
テンションアゲアゲなのです。
チョベリグです。
と、まあ調子に乗ったが、現実とは非道なり。
船の転移でやってきたのに、着いた場所はただの荒野でした。
普通さぁ! こういう時って町じゃないの?
100歩譲ってさ、村でしょ!
何で誰も居ない所なんだよ!
「明らかに知らない技術で作られた船、これで人の前に行けと言われるのですか?
間違い無く騒ぎになりますよ? そういうのお嫌いでしょう?」
「ぐっ! ……そう言われればそうだけどさぁ」
「御心配無く。ここから1時間も歩けば町に出ますので」
「思ったより、近かった!」
「認識阻害を使いながらここまで来たので」
「じゃあそれで町に行けば良かったじゃん!」
「船から下りた途端に発見されますよ?
突然現れた人。噂になると思いますけど」
くそぅ。このアンドロイド、正論ばっかりだ。
ロマンってものを判ってないな。
まぁ到着してるんだし、諦めて行きますか。
「馬車は?」
「先ほども言いましたように、知らない技術で作られた馬車。知らない馬のような生き物。
絶対に噂になります。歩いてください」
「……判ったよ!」
という事で、歩いて町に向かう事になった。
それでも下調べはしてくれてたらしく、町の情報を纏めた物を貰った。
それを読みながらのんびり進む。
A4の用紙3枚に書いてあるんだが、略すとこんな感じ。
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町の名前:オルト
気候:夜は10度、日中は30度。
住んでいる種族:エルフ
主な産業:漁業
備考:町に入るのに税金が必要。一人2000円程度。
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オルトという町らしい。
温暖の差が激しいな。確かに今は9時だけど、徐々に暑くなってきてるし。
エルフが住んでいるのか~。
文章で見ると、ちょっとドキドキするよね!
実際は狩猟が得意な人ってだけらしいけど……。
しかし、狩猟って漁業も含むのかな?
一番の問題は、入町税がある事。
2000円なんてすぐに払えるんだけどさ、この大陸で使われてる貨幣を持ってないんだよね。
どうしたものだろうか?
紙に記載されている情報だと、大丈夫だという事だが……不安だ。
1時間程歩くと、町が見えてきた。
石壁などは無く、木の板で壁がしてある。
人相手を想定しているのではなく、獣対策なんだろうな。
入り口を見つけたので、そこに向かうと早速門番の人に止められた。
うん、普通のおっさんだ。今までの大陸の人と変わりが無いわ……。
唯一の違いは、耳ではなく髪。茶色っぽいんだよね。
偏見だけどさ、何かおっさんが頑張ってオシャレしてるように見える。
このおっさんだけじゃないんだよね。周囲に居る人も皆茶色の髪。
この人達から見れば、俺達が髪を染めてるように見えるんだろうなぁ。
紙には素直に話せと書いてあった。
金を持ってないって素直に言うか。
「オルトの町へようこそ。
入るには1人2000円払ってもらうが、よろしいか?」
「すみません。今、お金を持ってないんですよ……」
「そうなのか? 盗賊にでもあったか?
何かお金に換えられる物を持っていれば、ここで換金する事も出来るぞ?」
なるほど、これか。
手持ちの物を出して換金すれば良いんだな。
ラノベでよくある、価値のある物を知らずに出して驚かれるパターンだろ。
知ってる知ってる。
それで大金を手にするんだよな。
あっ、その前にマジックボックスで驚かれるんだったっけ?
それで町中で噂になって……って噂になってどうするよ!
折角こっそりと来たのに!
って事で、マジックボックスに入れていた魚を出して換金しました。
5万円になったので、残金は42000円です。
ちなみに、船が道中で倒した5mもあるクラーケン(イカ)も出したけど、驚かれなかった。
普通に取れるらしい。買い取り価格は1万円でした。




