サミット記念
「重要な話……なんでしょう?」
「今回サミットが開催された事は有名な話です」
「そ、そうですね」
「各国が手を組んで平和を維持しようというのは、非常に嬉しい事です」
「ですよね」
「そこで!」
ゴクリ。
何があるのだろうか?
「それを記念して『宝くじ』を発売しました!」
「く、くじ?!」
「ええ。前回は福田さんが色々と当てたアレですよ。覚えてるでしょう?」
「覚えてますけど……。重要な事って?」
「明日、それの抽選をいつもの会場でやります。
そこで福田さんには玉を回していただきたいと考えてます」
「それが重要な事?」
「そうですよ! 公正でないといけませんから。
帝王の名を持つ福田さんに文句を言う者はいません。
あっ、くじを持ってないですよね?」
「今回は持ってないですけど……」
「良かった! じゃあお願いしますね!」
「は、はあ……」
これが重要な事かよ……。
あっ! あっけに取られてる内に引き受けた形になっちゃったよ!
まぁいいか。どうせする事無いんだし。
それに、俺が回すなら任意の人を当選させる事も可能だ。
個人的な見解で当たる人が選べる。
苦労してそうな人のくじを当てるとしよう。
あれっ? これって公正じゃないような……。
「これが今回の景品です」
渡されたチラシを見てみる。
前回は補助券を配ってのくじだったけど、今回は1枚300円で販売したらしい。
なので、景品に現金が含まれている。
1等:現金1000万…2人
2等:運気底上げのイヤリング…5個
3等:「髪神温泉」ペア旅行券…10枚
4等:10万円分のカード…20枚
5等:選べるカタログ(5万円)…20枚
2~5等は前回と同じだな。
ただ、当たりの数が増えている。
そして、また「髪神温泉」が入ってる。
また薄い人が沢山来るんだろうなぁ。
そして驚く事に、もう1つ景品があった。
帝王賞:現金1万円…100人
何だよ、この夏前にやるダートG1みたいな名前は!
もしかして、俺の事か?!
だから俺が必要だったのか!
俺の了承も得ずに決めるなよ!
いや、俺が帝王ってのを認めた訳じゃないよ!
しかし、1等で2000万払えるほど儲かってるのか。
まぁ1億も俺に払うくらいだしな。
翌日。
新大陸まで、後1日。
いつもの会場に向かう。
おぉ、居る居る。凄い人だ。まぁ薄い人が多いんだけどさ。
前回来てた人とか居るのかな?
皆、自力で行ったら良いのにね。いや、行ってるのか。
温泉って通う事で効能が出るって言うからね。
ずっと居るのもお金かかるしね。
300円で当たるならありがたいよな。
俺は舞台袖で待機してて、呼ばれたら出る段取りだ。
いつものお姉さん、というかギルドマスターが司会だ。
俺はその間に客を見ておいて、当てる人を選ぼう。




