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本の店

その日はそのまま島に泊まった。

俺を含め全員が泳ぎ疲れたからだ。

そのお陰で全員泳げるようになったけど。



翌日。

新大陸まで後4日。

特に用事も無いのでどうしようかと考えてたらコタニさんから提案が。


「キフミさんから何を渡されたんスか?」

「あぁ、セキハイムで美味しい物を売っているお店を書いた本だよ」

「依頼したやつっスね」

「そう。後から聞いたけど、この本って人気になってさ。

 今、セキハイムの王都ではバカ売れらしいんだ。

 来年版も作るようだよ。国が主体となって、第三者に作られるらしいね」

「へ~、面白いっスね」

「そうだ! どうせヒマだから、皆で行ってみようか」


と言う事で、セキハイムにやってきました。

今回は船が無いので、王都の城に直接来ちゃった。

しかも丁度王様が居たよ。


「うぉぅ! 福田君か。脅かすなよ」

「すみません」

「今日は何の様だ?」

「いえ、ギルドに依頼して作ってもらった本の店に言ってみようと思いまして」

「ん? あぁ、あの本か。かなりの人気だぞ?」

「らしいですね」

「それでな、あの本を作る権利をギルドから譲ってもらったが良かったかな?」

「問題無いですよ。元々はお金を還元したかっただけですから」

「ありがとう。では売り上げの5%を福田君に渡そう」

「……なんでそうなるんですか?」

「案を出したのは福田君だろ? 草案代と思ってくれ」

「……はぁ、判りました」


別にこんなんで儲けようと思ってないんだけどね。

どうせセキハイムからは競馬の売り上げが入ってくるし。

ナグラさんが「こういう知識チートの手があったとは……」とブツブツ言ってるが、計画的じゃないからね!


そのまま城を後にし、まずは本に載っている順番に周ってみる事に。

1件目は……赤木亭かよ。

あいうえお順に記載されてるからだけど、まさか赤木亭とはね。

まぁ、確かに美味しいけどさ。

今日は違う店に行ってみたいんだよなぁ。


って事で、2件目に行く。

2件目はウシジマ食堂というらしい。

……なんか暴利な金利の闇金みたいだな。


店に着くと、凄く賑わってた。

さすが本に載っただけはあるね。

いや、載ったから流行ってる可能性もあるな。


一杯で入れないので、入り口にあった予約表に名前を書いておく。

書いた順番に呼ばれるシステムだな。

並んで待っていると、まだ俺達の順番じゃないのに名前を呼ばれた。

皆を列に残して呼んだ人の所に行ってみる。


「あの~、福田ですけど、呼びました?」

「あっ! やっぱり本物だ!! 凄い!!」

「えっ? えっ? 何が?」

「この本を考えた人ですよね!」

「何で知ってるの?」

「だって、ほら、本の最後のページに」


なんてこった。

最後のページに俺の名前と著者近影が載ってるじゃないか!

写真なんて技術があったのか?

あっ、よく見れば、これ絵だわ。

誰だよ、書いたやつは!


いかん! 確かに列に並んでる時もチラチラ見られてると思ったんだ。

そういう事か!!


「本のお陰で売り上げが一気に増えました! ありがとうございます!」

「い、いえ。お気になさらず?」

「今日は食事ですか?」

「え、ええ。そうなんです。仲間と一緒に来ました」

「そうですか! じゃあお席に案内しますね!」

「えっ? まだ並んでる人が居ますよ?」

「特別室があるので! ちょっと待ってくださいね! お父さーん! 福田さんが来たー!」


おい! 大声で名前を言うなよ!

ほら、周りから「やっぱり本人だ」「すげー、本物だ」とか聞こえてくるし!


「じゃあご案内しますね!」

「でも俺達よりも先に待っている人達は……」


そう言って周りを見ると全員がどうぞどうぞと、どこかの芸人トリオみたいになってた……。

830話「水泳」を少し改編しました。

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