料理の時間です
生徒を集合させて、これからの事を話す。
「皆さん、無事に帰りましたね。
どうでしたか、森の中は? 初めての冒険は面白かったでしょ?
しかし、獣にも襲われたと聞いています。アリでしたっけ?
楽しかったからと安易に立ち入ってはいけませんよ?」
「「「「「はい!」」」」」
「うん、良い返事です。
ではこれからは晩御飯の準備です。
自分達が採ってきた食材を使って自分達で料理をします。
ここには親も料理をしてくれる使用人も居ませんので、頑張って料理してください。
あっ、指導者には手伝ってもらっても構いませんので」
「「「「「……はい」」」」」
誰もが料理経験が無いのか、若干落ち込み気味だ。
まぁ、無難に鍋を作るように言ってあるので、食べられない物は出来ないと思うが。
ちなみに鍋のスープは、セキハイムの赤木亭に分けて貰っている。
「それと、今回は俺が捕ったイノシシの肉を提供しましょう」
そう言って、マジックボックスからイノシシを取り出して全員の目の前に出す。
倒したのは俺じゃないけどさ……。
生徒は全員100kgくらいのイノシシに興味津々だ。
「こういうのが襲ってくる事もありますよ?
絶対に自分達だけで森に入らないように!」
「「「「「はい!」」」」」
「じゃあ、料理にかかってください。
料理道具はここに置いているので、各チーム取りに来るように」
全員が鍋やまな板や包丁を持っていく。
じゃあ俺はイノシシをバラしますかね。
さすがにココでやる訳にはいかないので、イノシシを持って森に入る。
どこかのアの付く痛い人のせいで古い知識を入れられたけど、こういう時は役に立つ。
それを言うと「そうでしょ!」ってドヤ顔しそうな気がするから、絶対に言わないけど。
自分でも驚くほど、手際良くイノシシを解体する。
傍から見ればかなりスプラッターだけど、全く気にならない。
常識の入れ替えって便利だな。
ビビる所か、美味しそうって思ってるもん。
本当は2~3日置いた方が美味しい肉になるけど、今日は時間が無いのでそのまま使う。
肉の塊を11個作り、内臓は『ピットフォール』を使って出来た穴の中へ捨てる。
これは生徒が10チームと、護衛の騎士の人達用だ。
それの料理はヒタキさんにお任せ。
こっそり馬車から家に帰り、ヒタキさんに肉を渡して弁当を作ってもらうんだ。
肉を各チームに配ったら、最後にハズキ君のチームの所に行く。
ここは俺の代わりにアンドロイドが来ている。1体余ってたからね。
ちなみに指導者は、指導しているチームと一緒に料理を食べる。
だから、変な物を作られると自分も辛いんだ。
俺が行くと、まだ料理中だった。
アンドロイドに教えられながら、食材を切っている。
う~ん、手つきが怖い。見ててハラハラするわ。
「ほい、肉を持ってきたぞ~」
「あっ、先生。うわっ! 大きい肉ですね!」
「おう、さっきのイノシシの肉だ。これも一緒に鍋に入れるぞ」
「それはどうすれば良いんですか?」
「薄く切って、入れれば熱が伝わりやすくなる。
さ、頑張って切ってくれ」
「はい!」
なんとか20分後には料理が完成した。
と言っても、ぶつ切りされた食材を醤油ベースのスープで煮込んだだけの鍋だけど。
それでも自分達で採ってきた食材を使い、自分達で作った料理だ。
皆、笑顔で食べている。
楽しいが何よりです。
俺はその後に家に戻り、弁当を受け取って戻る。
騎士に弁当を配って、今日はもう休養してもらう。
騎士の人達も自分達用のテントを持ってきてるので、設置してその中で食べるようだ。
生徒達は魔法で水を作り、使い終わった料理道具を洗っている。
片付けが終われば、後はもう風呂入ってテントで寝るだけ。
テント内の明かりも、自分達の魔法で灯してもらう。
こういう経験で、生活魔法って便利だって事を体験してもらうのだよ。
うん、俺、良い事言った! 教師っぽいぜ!
当然、風呂とトイレには驚かれた。
が、すぐに気にしなくなってた。さすが子供。柔軟だなぁ。
俺達とキフミさん達は俺の馬車で泊まる。
入った途端に固まってたけど。
えっ? 周辺の警戒?
そんなのレイで十分です。
魔改造されて、広範囲が守備出来るようになってるからね。
内部の見回りは夜目の利くチョロの仕事。喋れるし。
テントから出てきた子供には声をかけるように言ってある。
大半がトイレだとは思うけどさ。




