装備ダッシュ
全員に武具を装着してもらう。
これは本物。馬車を借りに城に行ったついでに買ってきた。
安物ばかりだけど、当然剣などは切れるし防具はしっかりしている。
やはり魔法職の子達はローブのような物を選んでいた。
はっきり言ってミスチョイスです。
まぁ、間違えるようにとローブも買ってきておいたんだけどね。
戦闘職の子達は、逆にゴテゴテに着込んでいる。
確かに安全だけど、それもミスチョイスだ。
両立派だけが、まともな服装をしている。
何でだろうと思ったら、ハズキ君が選んでいた。
どうやら、俺とカンダさんを基準にしてるようだ。
「はい、皆ストップ!
魔法職の子達、ローブを着てては木々が生えたような所は歩けませんよ。
採取をすると言ってるのだから、ソレに合った服装をしましょう。
戦闘職の子達もです。戦争じゃないんだから、そんなに着る必要はありません。
時と場合を考える事。これも重要ですからね。
ハズキ君達は正解です。でも俺とカンダさんを基準にしたでしょ?
それでは少し重たいと思います。もう少し軽くしましょうね」
「「「「「……は~い」」」」」
ションボリしちゃったよ。
多分憧れてた格好だったんだろうなぁ。
今回のキャンプをちゃんと出来たらあげるからね。
ちなみに、全員分は当然無かったので、カンダさんが武具屋に走っている。
どれだけ買ったかって? 結局50人分の武具(外れを含む)だよ。
結構な出費だったよ。それでも月々入ってくるセキハイムからの入金には届かないけど。
はっきり言って、遊んで暮らせます。
えっ? 元々そんなに働いてないって? うるさいわっ!
武具だけど、タルーンさんの所では買わなかった。
量が無いだろうし、それにあそこは高級店だ。
さすがに50人分も買ったら俺が破産する!
全員がお揃いの格好になった。
運動出来る服装の上から胸当てをつけて、腰にはショートソードを下げてる。
頭には野球帽のような簡易ヘルメット。
手首と首には皮で出来た防具を巻いている。
冒険者の初心者ならこんなもんでしょ。
ついでに言えば、背中にはリュックを背負わせている。
荷物運搬の意味で。
今は空っぽなので、4Lの水の入った袋を入れてます。
「その格好で50mを走ってもらいます」
「「「「「えーっ!」」」」」
「必要なのは倒す力ではなく、逃げる力です。
その格好で冒険に出てるんだから、その格好のまま逃げるのが当然。
今回は実力をつける為ではなく、それくらい大変か知ってもらう為にやるんですよ」
全員、50m先に居るカンダさん目掛けてダッシュ!
でも20mも進むと、目に見えて遅くなった。
剣とか片側に着けてるから邪魔だし、以外に重いんだよね。
頑張れ!
全員がゴールしたので、俺も50m走ってそっちに行く。
皆座り込んでいる。戦闘職の子達は座っては無いけど、ゼイゼイ言ってる。
「はいはい、座ったままで良いから聞くように。
大変だったでしょ? 体験しないと判らなかったでしょ。
冒険者はこれくらいは普通だからね。
騎士なんかはもっと重たいのを着てるぞ。
魔法職は軽い格好だけど、もし戦争になったら生きる為に逃げ足は必要だからね。
楽しても良いって事にはならないから。
じゃあもう外しても良いよ」
全員勉強になったようだ。
カッコいいばかりじゃないからね。
「じゃあ皆、装備を俺の所に持ってくるように。
はい、ちゃんと1列に並んでね」
持ってきた装備をマジックボックスにしまって、エリクサーを1滴飲ませる。
今日筋肉痛になったら可哀想だから。
エリクサーって、筋肉痛にも効くってホウズキさんから聞いてるし。
ちなみに二日酔いにも効いたらしい。
こんな使い方で良いのかなぁ。




