競馬場へ
コタニさんは、よく見れば『運気底上げのイヤリング』を装備してた。
こういう所はしっかりしているようだ。
野次馬からは『スロットクイーン』と呼ばれるようになっていた。
本人がソレを誇らしく思っている事が気に入らない……。
いや、そんな事を考えている場合ではないのだ!
全員のカードを回収して初めて気づいた。
馬車買う時よりも金が増えてる!!!
なんと、合算して1764万5300円となっているのだ!
そりゃそうだ、全員が1~3等を当てたのだから。
……南門に行かなくてもいいんじゃね?
いや、競馬での検証はしておきたい。
競馬がしたいんじゃないよ? 本当だよ?
既に野次馬に取り囲まれてるが、そこは運を使って脱出する事にした。
『店から出て、南門に向かいたい!!』そう願った瞬間、人ごみが2つに割れた。
割れた理由は簡単、サガワさんが来たのだ。お付きの私兵が道を作っている。
「福田様、探しましたぞ!」
「サガワさん、探してたのですか?」
「はい、馬車を購入されると聞きまして。当ホテルの馬車を無料にてお譲りしようと思ったのですが……」
危なかった! あんな高級な馬車を貰うなんて無理無理!
「いやぁ、掘り出し物がありまして。もう買ってしまいましたよ」
「そのようですな。東門に置かれると聞いて見てきましたよ。なかなか良い買い物をされましたな」
「サガワさんの目で見て良い物だと言われるのなら、安心できますよ」
「いえいえ、なかなかの鑑識眼でいらっしゃる。だからこそギャンブルもお強いのでしょうなぁ!」
何かに付けて褒めてくるよね、サガワさんって。
ここまで褒められると、何か裏があるんじゃないか?って思ってしまう。
従業員の人の話を聞くに、裏なんか無くて本当に尊敬してるって感じだけど。
そんな立派な人間じゃ無いんですよ! 無職でギャンブルばかりしてるレベル12のダメ人間ですよ。
自分で言ってて悲しくなってきた……。
「ところで、福田様。この後のご予定は?」
「あぁ、そうですね。南門に競馬場があると聞きまして、行ってみようかなと考えています」
「競馬場ですか! 丁度良い! 今日は私の持ち馬が出走するのですよ!」
「ほう! そうなんですか?」
「はい! 良ければご一緒されませんか?」
「ありがとうございます。じゃあお願いできますか?」
「喜んで!」
馬まで所有されてるとは! 本当のお金持ちだなぁ。
だからといってお金に固執してる感じも無い。真のお金持ちってこうなのかもね。
こういう人の所に、またお金は回ってくるのだろう。
中途半端な金持ちほど、お金に執着するのかもしれない。
サガワさんの高級な馬車に乗って南門にある競馬場へ行く。
その道中で気になったことを聞いてみた。
「そういえば、馬無しで走る車があるそうですが、ご存知ですか?」
「さすが福田様、耳が早い! 今王都で流行っていますぞ!」
「そうなんですか?」
「はい、私も既に1台発注しました。火の魔法石を使って走るそうですな。運転には練習が必要との事」
もう買ってるのか?!
火の魔法石を使うって事は蒸気機関なのかな? ま、排気での公害が無くて良い事だね。
「ぶしつけな質問ですが、いくらしました?」
「1台2000万でした。今買われても1年待ちだそうですぞ」
2000万! そして1年待ち!!
こりゃ無理だ。欲しいけど手が出ないよ。
「買われるのであれば、口利きいたしますが?」
「いえいえ!いつかは買おうとは思いますが、今すぐでは無いのでお気になさらず!」
「そうですか。決意されたらいつでもおっしゃってくださいね!」
「その時はお願いします」
そんな話をしていると、競馬場に到着した。
馬主席という特別室があるそうで、我々もそこに招待してくれた。
特別室は4階にあり、レース場が見渡せるようになっている。
サガワさん以外にも、いかにも金持ちって感じの人が沢山いた。
その中の1人がサガワさんに近づいてきた……。
kuroさんより間違いのご指摘を頂きましたので、修正しました。
修正:34話 『ぬ-175』~『ぬ-186』 1枚多いので『ぬ-185』に修正
修正:36話 コタニさんの番号を『ぬ-186』に修正
ご指摘、ありがとうございました。




