レクチャー
再起動を待つ時間も惜しいので、強制再起動を試みる。
と言っても電源ボタンを長押しではなく、脳天チョップだけど。
「痛いっ! えっ、あっ、そう言えば……!!」
「おっと、また止まるのは無しですよ。
はい、こちらが神様です。いきなり現れた事で納得してもらえますかね?」
キフミさんのパーティー全員が、無言でコクコクと頷く。
神様相手に否定したら、どんな恐怖が待っているかといった感じだ。
「その神様が大森林への立ち入り許可を出してます。
そうですよね、ルシファーさん?」
「そうです。許可してますよ。これからは誰でも入れますよ。
あぁ、伐採はNGなので気をつけてね」
「あっ、思い出したんですけど。
枯れ木は切っても良いんですか? 後、落ち葉回収とか」
「大丈夫。ついでに言えば、多少枝が折れるくらいはOKです。
立ち入ればどうしてもそういう事になるでしょうし」
「じゃあ、歩きやすいようにする為に、枝払いするのは?」
「う~ん、まぁ、それくらいなら許可しましょう。
ある程度枝落としされた方が良く育つし」
「蔓系のを切るのは?」
「それはOKです。あれらはすぐに育つから」
「って事です。なので、伐採はNGで採取・狩猟はOKですよ」
「ちょっと待って。1つだけ補足。
乱獲はダメだから。植物も次の芽を出す為に実を付けるんだからね。
動物も同じ。子供の獣は狩らないように」
「それは当然ですね。皆さん、判りましたか?」
さっきと同じように無言でコクコク。
理解してくれたようだ。
「じゃあ帰るから。
早速マップをバージョンアップしないとね!」
「お願いします」
「了~解」
そう言って、来た時のようにその場から消え去った。
「福田さん! あの人、本当の神様なんですね?!」
「そ、そうだよ。だから首絞めないで!」
「あぁ、すみません……。少し興奮してしまいまして……。
神様に会っちゃったよ……」
「余韻に浸るのは後にしてくださいよ。
とにかく、大丈夫なのは理解出来たでしょ? 犯罪じゃ無い事も。
じゃあ、詳細を決めますよ」
こうして、話し合いは進んだ。
簡単に言えば、キャンプをするようなものだ。
テントを設置して、大森林から食材を採取して料理。
一晩過ごして帰宅する。それだけ。
キフミさん達には、その間の護衛が仕事。
護衛以外にも、採取や狩猟もやってもらう。
「狩猟はともかく、採取は……」
「何か問題が?」
「どれを取って良いか、どれがダメなのかが判りません」
「それは、今から実地で覚えてください」
「あぁ、だから急いでたのね。判ったわ」
という事で、全員で大森林に移動。
キフミさん達は移動方法を持ってなかった。ここまでは乗合馬車で来たそうな。
なので、俺の馬車で移動です。
乗った瞬間からまた機能停止してたけどね。
もう、大森林に着くまでは放置ですよ。
大森林に到着後、強制再起動して早速中へ。
全員がビクビクしながらだった。
だが、さすが出来る冒険者。
一度入ってしまうと、ちゃんと周囲を警戒している。
食べられる植物と食べられる獣を見せて覚えてもらった。
タケノコは彼女らには楽勝だけど、子供には危険って事も教えておいた。
これでキャンプの護衛は問題無くなったよ。
って安心してたら、またコタニさんからの疑問が。
「ここまでの移動はどうするんスか?」
慌てて帰って、馬車の手配をしましたよ。
民間は無理だったので、城に行って王に頼みました。
もう不備は無いよな?




