運で再会
引率者については何も考えてなかった。
確かに40人のクラスに俺達4人じゃ少ないよね。
1人で10人の面倒を見るのは難しいだろう。
せめて模擬戦をした時のように、4人に1人付くのが正解か。
って事は、後6人必要だなぁ。
そうだ、アンドロイドを連れて行こう。
アレなら護衛も出来るし、コンピューターからの支持も受けれる。
3体居るので、後3人……。
誰でも良い訳じゃないんだよなぁ。
やっぱり護衛の経験があるような冒険者が良いだろうね。
この国で依頼を出すか?
でもなぁ、やっぱり信用出来る人が良いよね。
会った事も無い人に子供の護衛を頼むのは怖いわ。
それにギルドランクが高い人が望ましい。
でもそういう人って、やっぱり誰もが頼むから忙しいんだよね。
明日よろしくって言って、来てくれる人は居ないだろ。
こういう時、ラノベだと偶然知り合いの冒険者に出会うんだよね。
しかも予定が空いていて、簡単に雇えるんだよな。
そんな運の良い事なんかありえないだろ。
ん? 待てよ? 運?
俺が運を使えば、出会えるんじゃない?
って事で早速『知り合いで信用出来るランクの高い冒険者に会えますように』と願う。
そのまま王都に戻り、冒険者ギルドに向かう。
受付に向かい、依頼を出す準備をする。
雇うにしても依頼を出す事が大事だからね。
直接やり取りしてたらギルドが潰れてしまう。
しかし俺って、冒険者なのに依頼を出してばかりだなぁ……。
で、依頼書を書いてたら、誰かがギルドに入ってきた。
その人達は、俺の横の受付に行き話をし出した。
こちらも依頼を出すようだ。
「ノートルダムに福田哲司という冒険者が来ていると聞いた。
探す依頼を出したいのだが」
「俺ですけど?」
「うん? あっ! 福田さん! 探しましたよ!!」
来たのはセキハイムで雇ってたキフミさんだった。
やるじゃないか、運。確かこの人はランクが赤だったはずだ。
「すみません、依頼はキャンセルで!」
キフミさんは依頼を出すのをやめて、こっちにやってきた。
俺は依頼を書いて、提出だけしてない。
「何で俺を探してたんですか?」
「何で? 当然じゃないですか!
本、完成したんですよ?! 渡そうと思ったのに、全然ギルドに来ないし。
伝手を辿って探してみれば、もう出国したって言うじゃないですか!
ギルドにどうする?って聞いたら、本人に渡すまで依頼完了じゃないとか言われるし……。
しょうがないので、福田さんの母国であるニーベル国を目指して来たんですよ」
「あぁ、なるほど。
じゃあ何で、ノートルダムのギルドに?」
「国境でですね、いつごろ通過したか聞こうとしたんですよ。
そうしたら、ノートルダムに居ると言われたんです。
だからここに来たんです」
「それはご苦労様でした」
「本当ですよ! 依頼料を上げてもらわないと納得出来ませんよ?!」
そりゃそうだろうな。
情報を纏めて、本にしたのに依頼者が居ない。
しかも探して渡せと言われる。
最悪なのは依頼者が俺って事。『コネクト』で飛び回ってるから捕まらないだろう。
「ごめんね。依頼料とは別に、ボーナスを出すから許してよ」
「ま、まぁ、そう言われるんでしたら……」
「ところで、この後はヒマ? というか、2~3日はヒマ?」
「えっ? 何ですか? 確かに後は帰るだけなので用事はありませんけど」
「新たな依頼を受ける気はある?」
そう言って、持っていた依頼書をキフミさんに手渡した。




