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アイデア

「ポイズンですか……。聞いた事が無いですね」

「そりゃそうでしょう。出来たばかりの新作魔法ですから」

「なんと! 魔法まで作れるのですか?!」


皆の視線が一斉に俺に注がれる。

違うんです。俺じゃないんです!


「いえいえ! 作ったのはホウズキさんですよ!」

「えっ? あぁ、そうだったのですか。しかし、何故貴方がそれを?」

「魔法のアイデアを出したのが俺なので、出来た物を試してもらいたかったそうで……」

「ほう! アイデアを!」


何だ? 俺を見る目に尊敬が加わりだしたぞ?

アイデアって所に反応したみたいだけど。


「ど、どうしたんですか?」

「おや、ご存知無いのですか?

 新しい魔法のアイデアを出すという事がどれだけ難しいか。

 勿論、それを魔法にする事も凄いのですが、いくら作り出す能力が高くてもアイデアが無ければ意味がありません」

「まあ、確かにそうですね」

「福田さんは魔法について、どれだけご存知で?」

「ええっと、初級・中級・上級・禁忌魔法がある。

 それと、生活魔法・攻撃魔法・支援魔法・空間魔法の4種類に分けられている。

 これくらいですかね」

「それだけでも結構な事です。

 では、魔法がどれくらいあるか知っておられますか?」


魔法の数か。

俺が覚えてるのでどれくらいあるだろう?


「50くらいですか?」

「現在、全部で70ほどです。

 これは禁忌魔法も入れた数になっています」

「へ~、そうなんですか」

「魔法は年に1~3くらいしか増えないのですよ」

「えっ? こんなに魔法使いが多いのに? それくらいなんですか?」

「つまり、ほとんど既存の魔法に似た物ばかりが作られるのです。

 例えばファイアーボール。

 ファイヤーアローは矢の形をしていますが、これは玉の形をしています」


おおっ、有名な魔法じゃないですか!

あれっ? 俺、覚えてないな。

何巻に入ってるのだろ?


「なにやら期待されてるようですが……。単純に矢を玉にしただけなのです。

 当然ながら、矢の形状の方が速度もあり貫通力もあります。

 わざわざ玉の形にする意味が無いのです。

 しかも形状を維持する為に消費魔力も増えていますし」


……夢も希望も無い話ですね。

確かに、ボールの必要性は無いわな。

空気抵抗を考えたら、矢の形が理想系か。

ラノベとかだと、アローよりもボールの方が上だったりするんだけどなぁ。


「そういう事もあり、結局既存の魔法の方が使いやすいので認可されないのですよ。

 なのにですよ! 福田さんは魔法のアイデアを出している!

 しかも既存の魔法とは違う物を! それは凄い!」


すみません。既存の魔法です。

しかも禁忌魔法です。


そういえば、確かにホウズキさんにも似たような事言われた気がするわ。

アイデアを出して、それを魔方陣にするのが一番難しいって。

魔方陣が難しいと思ってたけど、アイデアまでが1つの難しい作業なのか。


そうなると、俺やナグラさんが有利かもね。

なんたって異世界の人間だ。

既存の魔法を知らないから、好きな事が言える。

しかも日本人だぞ? ゲームやマンガでどれだけの魔法を学んだと思ってる?

アイデアだけなら、沢山出てくるよ?


ゲームならではの魔法とかもあるしね。

ほら、守備力下げるとか変身するとかさ。

どうやったら出来るかは判らないけど。


「それで、先ほどの魔法はどのようなアイデアを元に作られたのですか?

 名前から毒、いえ薬系だとは判るのですが」


あっ、濁した。

薬系とは上手い事言うね。


「えっとですね。あの水を被ると1分後には被った部分が麻痺するんです。

 飲んだ場合は即効で効果が出ます」

「ほう! それは凄い! その後は自由になりますね!」

「ええ。殴るなり蹴るなりチクチク攻撃するなり、自由です」


あれっ? 全員からドン引きされた。

さっきまでの尊敬の眼差しはどこへ?!

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