スロット祭り
残金が少ないが、出発は明日。
この危機的状況を乗り切るには、ギャンブルしかないでしょう。
だってギャンブルの町だし? 別に悪い事する訳じゃないし?
ちょっと運を使って儲けるだけだし?
元手も少ないしスピードが勝負って事で、スロットをする事にした。
東門の所にあった店は一度行って当ててるので、西門に向かう。
西門である程度稼いだら、南門に寄り最後に東門のホテルに帰る。
つまりは反時計回りで稼いで買える算段。
所子の町は西門から出た方が近いという事らしいのだが、場所の判る東門に買った馬車は送ってもらった。
明日の朝に行けば、そのまま乗って出れる。
町の外周に沿って道があるそうなので、それを通って西門に行き所子に向かう予定。
野宿になるのかと聞いた所、大体馬車で8時間くらいの場所に宿場町があるそうだ。
野宿の用意はまだだったので、助かる情報だ。
とりあえず、乗合馬車に乗って西門に到着。
西門の換金所で、2万円のカードを3枚と10万円のカードを1枚作っておいた。
丁度そこに警察の人が居たので、スロットの場所を聞く。
すると、わざわざスロットの店まで案内してくれた。
その道中、色々な話をしてくれた。
西門のギャンブルは、東門よりも高額なのが特徴。
それに、インディアンポーカーのように客同士が賭け合うギャンブルが多いらしい。
南門は競うモノが多い。競馬場や闘技場があるそうだ。
闘技場は主に人対人だそうで、基本的には犯罪者同士が戦うそうだ。
しかし、死ぬまで戦わせる事は無く、ちゃんと治療も行われるとの事。
たまに冒険者のパーティー同士が対決する事もあり、大盛り上がりするんだそうな。
闘技場はともかく、競馬場には行ってみたいな。
運の力で勝てると思うけど、生き物のレースだから勝つまでのプロセスが知りたい。
例えば、予感を感じて馬券を買い当たるのか、勝った馬が勝つのか。
そんな話をしていると、スロットの店に到着した。
警察の人にお礼を言い、店に入る。
前に行った店は1回500円で『777』で100万だったが。
張り紙を見ると、ココは1回1000円で、
『777』200万
『$$$』100万
『¥¥¥』50万
と書いてあった。
「せっかく来たんだからさ、全員でプレイしようよ」
「私もっスか?」
「そう、お金は俺が出すからさ」
「おぉ! とうとう師匠の技の伝授っスね!」
「師匠は止めて。実験したいんだ」
「「「実験?」」」
皆を集めてヒソヒソ話をする。
「スロットのレバーを引く前に、小声で『ハズレろ!』と言って欲しい」
「当たりが欲しいのにですか?」
「そう。当てたいのに『ハズレろ!』って言う人はいないだろ?だから実験」
「欲が無い方が当たりやすいって事っスね?!」
うん、まあ、そういう事にしておこう。
実は、『この店でレバーを引く前に『ハズレろ!』と言ってる人は友達で、俺のお金使ってるから当たって欲しいな~』
と祈ろうと考えてる。
俺の運の有効範囲が知りたいのだ。
これが成功するなら、店内は有効範囲と判る。
3人に2万円のカードを渡して、好きな場所でプレイしてきてと伝える。
果たして実験は成功するだろうか?
俺は近場にあったスロットに座る。
カードを置くだけで回さずに、今は先ほど考えてた事だけを祈る。
実は俺自身の実験でもあるのだ。
さて、他人の事は祈ったが、自分には『当たれ!』と祈らない。
ステータスで確認したが、現在俺の運は120になっている。
この人より20多い状態で祈らずに回した場合、当たるのか? 当たるとしてどれが当たるのか?
それが知りたい。
そんな事をしていると、店のアチコチからファンファーレのような音が聞こえてきた。
どうやら最初の実験は成功したようだ。
ステータスを見ると、運が117になってる。
1回的中で1しか減ってないのね。
そんな事を思いながらレバーを引くと『¥¥¥』が揃い、ファンファーレが鳴りだした。
3等でも鳴るのかよ!恥ずかしいわ!!




