ノートルダムからの手紙
結局全員夕方まで遊びっぱなし。
その後は温泉でくつろぎ、夕食後にバタンキューで就寝。
翌日も、何とビーチに行くそうだ。
今日は最終日なんですけどね。
昼になったので、全員に帰ってもらった。
離れない、帰らない、と言い出すので、ええ、強制的に送り返しましたよ。
各国の人達には「今帰らないなら次は海の中にご招待になりますよ?」と言ったら素直に帰った。
ただ、帰り際に、ノートルダムの王様から握手をされた。
その手の中には小さな紙切れが。
どうやら俺宛の手紙のようだ。
俺と仲間だけになってから確認してみると「後で連絡ください」とだけ書いてあった。
ホウズキさんが電話を持っているので、かけてみる事に。
「福田ですけど、何でしょう? 皆の前では言いにくい事ですか?」
「そうなんだ。ちょっと頼みたい事があって……」
「はぁ、そうですか。じゃあそっちに行きますよ」
「そうしてくれると助かる」
って事でノートルダムに移動。
新しい魔法の話かなと思ったので、皆にも付いてきてもらった。
「わざわざすまない」
「いえいえ。で、何です?」
「実はニーベル国の孫が通っている学校なんだが、ちょっと問題が発生しててな」
「あらら」
「そこで、福田君に教師をやってもらいたいんだ」
「……えっと、話の流れが判らないんですけど?」
「学園編ね!!」
「うわっと。何、いきなり言ってんの、ナグラさん」
「破天荒な主人公が学園に行くなんて、学園編でしょ!!」
「人の事を破天荒って……。
それにそれは生徒として入って、常識外れな事をするんでしょ?
で、ライバルが~とか、ハーレムが~とか、バトルが~とか、起きるやつでしょ?
俺、教師としてって言われてるよ?」
「古い! 生徒として入学なんてもう古いわ! 今は教師として入るのよ!
そして生徒を魔改造するのよ! その教師の生徒だけが異常に強くなるの!
これがトレンドよ!」
そうかなぁ。
それも良くある話っぽいんだけど。
「そして他校との大会で、生徒が無双するのよ!
それで教師が貴族や王族に目を付けられるの! でも面倒とか変な理由で断るのよ!」
「いや、既に王族とは知り合いだけど……」
「ちぃっ! そういう問題があったか!」
「そもそも魔改造って何だよ。そんなの出来ないぞ?」
「現代知識を教えるだけでOK!
あのタローやジローを負かせる作戦を教えれば! ……いや、それはどうかしらね」
「自分で言っておいて否定するなよ! 立派な作戦だろ!」
「いやぁ、あれはさすがにドン引きするわ~」
ヒドい言われようだ。
まぁ、さすがに俺も、毒で弱らせてからチクチクと攻撃しろ、なんて教えられないけどさ。
「福田君、もう良いかな?」
「あぁ、すみません。で、何で教師?」
「実はな、戦闘職と魔法職で確執があるんだよ。
昔から少しはあったんだが、最近それが顕著になってきてな……」
「まぁ、良くある話ですね。で、何で俺?」
「その確執の原因になったのが、ハズキ君、そうニーベル国の孫なんだよ」
ハズキ君が?
そんな子じゃないと思うんだが。
「あの子は君の戦闘を見た事があるだろ?
それを喋っててな。魔法と近接戦闘は同時にやるもんだ、と。
お陰で3極化してるんだ。魔法至上派と近接戦闘派と両立派だ」
「あ~、なるほど。だから、両立派のハズキ君が言ってる俺を呼ぶって事なんですね?」
「そういう事なんだ」
両立するのが理想だけど、軍とかになると話は違うだろ。
子供にはまだ、そういうのが判らないのかもね。
「ちぃっ! 既に魔改造された生徒が居たか!」
はい、ナグラさん。少し黙ってようか。




