知らない国
大陸に関しても皆は興味津々だった。
少しは慣れたのか、神様にも積極的に質問している。
ドワーフやエルフについては判らないようだが。
この世界、違う人種が居なかったからね。
差別が起きない事を祈るばかりだ。
って祈る相手である神様はここに居るんだけどさ。
おっと、俺の聞かなかった質問が出た。
それは大陸の場所だ。
俺は勝手にセキハイムから西に行けばあると思ってたわ。
セキハイムの西には森のある大陸が出来るそうだ。
新しい大陸は、南なんだってさ。
コルラド国とロッツギルが喜んでいる。
ダヒュテム国が余計な事をしなきゃ良いけど。
コルラド国は魔法道具が売りの国だから、良い船を作るんじゃないかな?
頑張って大陸を目指して欲しい。
あ、それと俺の知らなかった事が出てきた。
それはロッツギルとグランザムの東にもう1つ国があるって事。
その国の名はザラキ。何か即死しそうな名前だ。
ホウズキさんに詳しい事を聞いてみた。
「おや、福田君はザラキを知らないとはね。
あの国は一番東にある国じゃ。大きさは一番小さくロッツギルの半分も無いじゃろう。
あの国にも大森林の名残と思われるザラ森林がある。
その森林から名前を取ってザラキと言うんじゃよ」
「そうなんですか。どの王様も全然話に出さなかったので、知りませんでした」
「そりゃそうじゃろうなぁ」
「どういう事ですか?」
「あの国は、民主制なのだよ。王が居ないのだ。
だから、王の居る国はあまり関わりたくないのじゃよ」
「民主制だからって、何で嫌うんです?」
「昔は王が居たのじゃ。だが、碌な事をしない王でな。
そこを付け込まれてグランザムに何度も攻められた。だから国土が狭いんじゃ。
さらに最後には国民が発起してクーデターが起きた。それ以来民主制になったのじゃよ。
各国はその情報が入ると自分の国でもクーデターが起きるのではないかと恐れているのじゃ」
「起きるような悪い政治をしなきゃ良いでしょうに」
「当然じゃな。だが、国民は必ず何らかの不満を持ってるのじゃ。
それが溜まって爆発したら困るじゃろ?
それに、あの国はたまたま上手く行ったが、今までにも民主制をした国はあったのじゃ。
だが、全ての国が滅んでしまった」
「何で滅んだかは判ってるんですか?」
「ああ。簡単じゃ。
まず言い出すのは税を軽くしろ。それで収入が激減。
しかも今まで政治なんかした事の無い者達が治めるようになって、上手く回らない。
その内に前と比較してまた不平不満が溜まる。そしてクーデター。
それの繰り返しで疲弊したり国民が流出したり。
そうなれば、隣国が攻めてきて終了」
あ~、そういう事か。
税金は高くてもちゃんと使われてれば問題は無いんだけど、それを国民が知らないからなぁ。
私腹を肥やしていた貴族も居ただろうけど。
使い道を目に見える形にしないとダメだよな。
そこをちゃんとしないから、前世の日本のN○Kみたいに、無理やり徴収されてる気分になる。
まぁ、あれは法律にも問題があったけど。
加入は法律で決まってるけど、料金は1択ってのがおかしい。
スクランブルかけて料金も各種用意しろよ!
徴収したお金の使い道も見ないドラマとかだったし、金が貯まったから建物建て替えるとか……。
近い内にクーデターが起きるかもな。いや、起きてしまえ!
おっと、今は関係無い世界の事を考えて暴走してしまった。
だが、その件は仏様に何気に話しておこう。改善求むと。
今はザラキの話だったね。
正確にはザラキ民主国と言うらしい。
神様の話ではザラ森林も同じにするそうだ。
ただ、ここに居る王様達のように、トップに話が出来ないのでどうしようかって事のよう。
そこはグランザムが意見を出した。
「放っておきましょう」だってさ。
ホウズキさんによると、そのまま統合するはずだったのにクーデターで出来なかったらしい。
グランザムは少なくともザラ森林には隣接しておきたかったんだって。
それ以来、仲が悪いそうだ。
ちなみにロッツギルも、ザラキの事をあまり好きではないらしい。
流民が大量に来たんだけど、税金使って保護したのにクーデター後に流民は黙って帰ったそうだ。
う~ん。こうやって聞くと面倒な国っぽいな。
行かなくても良いかも。




