思考
「現在、エークがリビングに向かっております。
それと、臨時にオリとティガも呼びました。オリにはリビングの出入り口を見張らせます。ティガは皆様の相手を。
そうそう、現在進行形で神は不平不満を言っております」
「何っ?! 誰だ?」
「11人ですね」
11人もかよっ!
誰が言ってるかすぐに判るわ!
多分、仏様とルシファーさんとヘファイストスさん以外だろ!
「その通りです」
「ん? 俺、声に出してたか?」
「いえ。思考を読みました。先ほど水晶玉に触れていただいた時に念話も登録しましたので」
「……念話で喋ってたか?」
「いいえ?」
「ウソなのかよ! 思考を読み取れるようにしただろ!」
「正解です。ちっ、勘が良いですね。
御主人様の命令を100%遂行する為に必要な措置です」
舌打ちしやがった! 舌なんか無いくせに!
「何で、思考を読む事が100%遂行する為なんだ?」
「考えた事を言葉にしても、100%伝わる事はありません。
大概、50~80%になります。察しが悪い人になると、10%以下の場合も。
勿論伝える側に問題がある場合もあります」
「うん、確かに。昔そういう人が居て苦労した経験があるわ」
「しかし、考えてる事が判れば100%伝わります。
例えば、ある人物を想像したとしましょう。
金髪・メガネ・アゴが割れている・男・40代、このように伝えても確実に見つけれるでしょうか?
しかし思考が読めれば、人物の顔が判りますので確実に発見出来ます。
ついでに言えば、こういう説明も必要無くなりますよね?」
確かに判りやすい例えだ。
なのだが、何かバカにされてる気がする……。
まぁ良い。今はそれ所じゃないな。
起きだした来賓の相手をしなきゃ。
「じゃあ頼んだぞ」
「了解しました。
あっ、閻魔帳記載を忘れていますよ。ちゃんとマイナスを付けてください」
「……何でそんなにソレを推すんだ?」
「御主人様に逆らう事は、万死に値するので。
そこは許されておりませんので、せめて給料を減らしてダメージを与えたいのです」
「怖いわ! 絶対許可しないからな!」
「……了解しました。なので、マイナスをお願いします」
「判った、判った。書いておくよ」
地下室を出て食堂に向かう。
入り口にはティガが立っていて、俺が行くとドアを開けてくれた。
中に入ると、既に7人の人が居て好きな物を飲んでいた。
王様はロッツギルだけか。ま、ジジイだもんな。朝は早いだろう。
お茶を飲んでるし。
他は護衛の人達だね。
主より先に起きるのは当然か。
「おはよう、福田君。素晴らしい寝室じゃったよ。
あのまま天国に召されるかと思ったくらいじゃ」
「死ぬなら自国で頼むわ」
「ふぉっふぉっふぉ、比喩じゃよ比喩」
「知ってるよ! 今日は神様に会わすからな。本当に死ぬなよ?」
「ふぉっふぉ……?! 本当か?!」
「ああ。しかも大勢居るからな。迷惑をかけられないようにな」
「判っておる。……ん? 今、変じゃなかったか?」
「何が?」
「迷惑をかけないように、じゃろ?」
「違う。神様は基本的に人間を見下している。
だから無理難題を言ってくる事もある。そういう場合は無視して良いから。
それでも言ってくるなら、扉の所に居たうちの執事に言うか俺に言え」
「……それ、本当か?」
「おう。ダメな国の王様だと思え。で、皆が国民だと思えば判りやすいだろ?」
「不安になってきたのじゃが……」
「何とかするから、我慢してくれ」
「わ、判った……」
まぁ、ジジイは何とでもするだろ。
俺が危惧してるのは、グランザム・コルラドの2国の王とアイ姫だよ。
大丈夫かなぁ……。




