売買所
何故か高級そうな馬車に乗って北門周辺にやってきました。
しかも中古の馬車を買いに。
到着したのは良いけど、非常に降りたくないです。
目立ちすぎです。
御者に売っている場所を馬車の中から聞き、少し離れた所に移動してもらった。
ここで降りて歩いて買いに行くと伝えると、御者は怯え出した。
はぁ、またか……。
だが、ここではハッキリ言わしてもらおう!
「ここで降ります!!
あぁ! 大丈夫ですから! サガワさんには御者の人はちゃんと職務を全うしたって伝えますから!
俺の意を汲んでくれて、これ以上無い御者でしたって言うから!
だから泣かないで! 心配無いから!!」
10分も話し合って、ようやくこの場で開放してもらえた。
サガワさんとは一度話し合う必要がありそうだ。
人目につかないような細い道ばかりを通って、目的の店に向かう。
目立ちたく無いだけなのだが、何か犯罪者みたいだと自分でも思う……。
サングラスや帽子やマスクがあれば買おうかなぁ。
目的の店は非常にわかりやすかった。
何故なら店名が『馬&馬車 売買所』だったから。
そして店の裏は広い放牧場になっており、沢山の馬がのんびりすごしていたから。
店に入る前に大事な事を思い出したので、しておく事に。
それは『良い馬と馬車が売ってますように!』と祈る事。
今までで判った事なのだが、、、
運というモノはゲームで言う『パッシブスキル』だという事。常に稼動している。
これは誰でも当てはまる事なんだろう。100が増減するって話だったから。
俺は120あり、普通の人よりも幸運になっている。
パッシブスキルだとしても、他人と違い常に運の良い状態だという事だ。
そして、俺の場合『アクティブスキル』でもある、という事。任意で発動可能だ。
しかも、良い方にも悪い方にも稼動させられるという点。ココが大きい。
もし、良い方にしか稼動出来ないとなれば運は使い減って無くなってしまう。
それか、いつか反動で大きな不幸が訪れて最悪な事が起きるかもしれない。
発動条件だが、祈ると言うか願うと言うか、まあそんな感じで発動する。
総合すると、『常に人より少し運が良い状態だが、任意で幸運不幸が起こせる』となる。
買い物をする場合、祈らなければ通常より良い物が買える。祈れば掘り出し物が買える。
大きな金額の買い物をするなら、祈った方が得。
って事で、店に入る前に祈るのです。はい。
なぜ入ってから祈らないかって?
会話とか見て回るとか、する事が多い時に祈ってられないからですよ。
ムニャムニャ
店の中は広くなく、入るとすぐ目の前にカウンターがあり、男の人が何かを書いていた。
入ってきた俺達に気づいて、難問を解いていたような顔を上げる。
「いらっしゃい。売る? 買う?」
「買う方です」
「了解。馬? 馬車?」
「両方ですね」
「了解。荷馬車? コーチ?」
「コーチって何ですか?」
「人が乗る為の馬車の事だよ」
「行商するつもりも無いからコーチでいいかな?」
「了解。定員は?」
「う~ん……6~8人ですかね?」
「了解」
う~ん、この人プロだなぁ。凄く簡単に話が進んでいく。買う方からすると、非常に楽だ。
「馬は2頭? 4頭?」
「どう違うんですか?」
「4頭の方がパワーがあるし速度が出る、が維持費が高い」
「じゃあ2頭で」
「了解。馬2頭に6~8人乗りのコーチだな。問題無いか?」
「はい、大丈夫です。それでお願いします」
「了解。で、予算は?」
あっ! 肝心な事を考えて無かった!!




