A4ノート
俺は手を叩いて、アホな踊りを終わらせる。
「はいはい、そこまで。判ってもらえましたか?
貴方達は、今は何も出来ませんよ。そう、神の世界に帰る事さえもね」
「てめぇ! 何をした!!」
「だから、封印したって言ったでしょ? 判りませんか?」
「てめぇ……神の力を封印したからって調子に乗ってんじゃねぇぞ!」
やはり来るか、アレス。
さすが戦争の神。
だが、その拳は俺に届く事はなかった。
近くで踊って(?)いたポセイドンに当たったからだ。
「いてっ! 何で俺を殴る?!」
「違うんだ! そいつを殴ろうとしただけだ!」
「はいはい。内輪揉めも止めてくださいね~。
貴方達は、俺にも触る事は出来ませんよ。そういう風に封印しましたから」
「何ぃ?! バカ言ってんじゃねぇぞ!!」
アレスは切れやすいなぁ。
あっ、アテナとアルテミスとポセイドンも加わったわ。
4人で俺に攻撃しようとしてくる。
当然ながら、誰も俺には触れずに同士討ちばかりしてるけど。
さすがに5分もこの状態が続いたら異常と判ったのだろう。攻撃する事を止めた。
いや、ただ単に同士討ちがイヤになっただけかも知れないが。
「……お前、何者だ?」
「この島で一番偉い人です。名前は福田哲司です。よろしく」
自己紹介をしたら、隅っこに避難してた神様が手を上げた。
「少し、よろしいでしょうか?」
「はい。えぇと?」
「私はヘファイストスです」
「貴方が。噂は聞いています」
この人か!
確かに影が薄い。
と言うよりも、目立ちたくないって感じ。
この人にも何か問題があるのか? 不思議だ。
「は、はぁ……。あのですね、私達の力を封印したのは判りました。
それで福田さんはどうしたいのですか?」
「そうですね。出来れば帰って欲しいですが、まぁ観光したいというなら許可しますよ」
「良いのですか?」
「ええ。ただし、この島にいる限りは神様として扱いません。
誰もが平等です。お願いする事は出来ても強制は許しません。
それがイヤな人は帰ってください」
「ふざけるな! 神だぞ! 一般人と同じ扱いだと?!」
俺は左手に持ってたノートを開いて、中に書き込む。
アレス、-1と。
「あの、福田さん。そのノートはどこかで見た事なるのですが……。
良ければそれが何か教えてもらえないでしょうか?」
「良いですよ。これはいわゆる『閻魔帳』ですよ。お借りしました」
「「「「「「はぁ?!(全員)」」」」」」
無茶苦茶驚いてるな。
そりゃそうか。下界(?)の人間に貸すような品物じゃないもんね。
「閻魔様には『迷惑をかけた者は、これに記載する事』と言われています。
なので俺はこれにプラスマイナスを付ける事にしました。
良い行動をすればプラスですが、悪い事や常識の無い行動をしたらマイナスを付けます。
ちなみにマイナス1で給料が1%減ると思ってくれれば結構です。
ちなみにちなみに、今のアレスはマイナス1になってます」
「「「「「「げぇ!!(全員)」」」」」」
神様だって給料を貰っている。
働いてるんだから当たり前だ。
その給料が減るってのはかなりのダメージだろ?
何せ、100回ダメな行動したら給料が無くなるんだよ。
俺に対しては脅しも神の力も効かないしね。




