購入計画
不本意ながらもホテルを取れた俺達は、次の目的に行く事に。
そう、移動方法の馬車の手配だ。
そこでキジマさんから提案が。
「定期便なら安いですが、決まった日時にしか出ません。たしか2週間に1度だったと思います。
臨時で雇うと高くなります。
商人など、移動する人に護衛として雇ってもらい行く方法もありますが、要るとは限りません。
ここまでもウエダさんに乗せてもらいました。いっその事買うという方法もありますよ?」
「買ってしまえば自由になる、か。それもいいねぇ」
「当然維持費がかかりますが、自由度は高くなるでしょう。
カンダが馬の扱いを知っていますので、御者をさせればいいでしょう」
「なるほど。専用に人を雇わなくて良いんだ。
でも馬と馬車っていくらぐらいするんだろう?」
「それもピンキリですね。馬車は安物だと振動がヒドいと聞きます」
「う~ん、そうなるとほどほどの物を買った方がいいね」
「一度見に行ってはどうでしょう?」
「そうだね。悩んでてもしょうがない。行ってみるか! で、どこに行けばいいの?」
「さあ?」
「おいこら……」
良い案を提示しといてソレかよ。
しょうがない、受付の人に聞こう。
なんかまた大事にされそうでイヤなんだけどなぁ。
準備して受付に向かうと、いつもの人が居た。
またこの人か……。
「すみません、ちょっといいですか?」
「はい! 何でしょう福田様! 何でもおっしゃってください!
目でスープを吸えと言われればすぐにでもやりますよ!!」
「そんな事言うか!! ちょっと聞きたい事があるだけですよ」
「はい! 何でも聞いてください! 私の知っている事でしたら何でも話しますよ!
ええ! 何でもです! この町で不正をしている人間の名前でも、町一番の美人の名前でも、何でも話します!」
「そんな事は警察で言えよ!! 町一番の美人ってお前の主観だろ!!
いや、馬と馬車を買いたいので、どこに行けば良いのかを教えてもらいたいだけだよ」
「ああ、そうでしたか。それなら北門に行かれたら良いでしょう。
北門の辺りは物品の買取所があります。ギャンブルをする為に物をお金に換える人が行くのですよ。
それ以外には、払えなくなり差し押さえされた物が流れてくる場所でもあります。
そうやって集まってきた物が売られています。その中には馬や馬車もありますよ」
……結構悲しい場所だな。
馬車でやってきたのに、ボロ負けして売らざるえなくなった。とか実際にあるんだな。自業自得だけど。
「新品は売ってないんですか?」
「この町では売ってないですね。なんせギャンブルの町ですから。
特に馬は、馬を専門に育てている人から直接買うか、卸売りしてる業者から買うしかありません。
この町には馬を売っている業者が無いのです。買っていく商人は定期的に来ますけど」
「そうですか。判りました。行ってみます」
「はい。では、少々お待ちください」
ん? 何で『少々お待ちください』なんだ?
そう言い残して奥に引っ込んで行ったけど。地図でもくれるのかな?
「お待たせしました。どうぞこちらへ」
何故かホテルの入り口に案内される。
入り口から出ると、立派な馬車が目の前に。
荷馬車ではない。明らかに人が乗る専用の馬車だ。
受付の人は、その馬車の昇降口の扉を開けて待っている……。
「いや、歩いていきますよ?」
そう言うと、また青い顔になった。
「お願いです! 乗ってください! 福田様の行動にはこのホテルの全従業員の運命が!!」
「判った!判ったから、土下座はやめて!!」
「で、では、乗ってくれますね?」
「乗るよ。乗ればいいんでしょ?」
「ありがとうございます!!」
何だろう、この過剰接待は!
立派な馬車に乗って、中古の馬車を買いに行くって変だろ?!
何かさぁ、全然関係無いけど、ドナドナを歌いたくなってきたよ……。
やっと40話まで修正が終わりました…。
ブックマークや評価が増えてきて、感謝感激です!!




